残業100時間は違法。過労死など長時間労働のリスクと対処法を徹底リサーチ
日本の残業時間は法律によって原則45時間と定められていますが、中には100時間を越える残業時間を課されている方もいらっしゃいます。
100時間を越える残業を続けていくと肉体的な疲労の他に精神面での不調も見られるようになり、最悪の場合には自殺や過労死といった事態を引き起こしかねません。
そこで、本記事では残業100時間を越える労働を続けていくとどのような状況を招いてしまうのか、また最悪の事態を回避するための対処法にはどんなものがあるのかについてご紹介します。
残業100時間の実態
月の残業が100時間を越えるとどのような弊害があるのでしょうか。まずは残業100時間を課された場合の一日のスケジュールを見ていきましょう。
残業100時間のスケジュール
残業が100時間ある場合と言っても、さまざまなパターンが考えられます。ここでは週5日勤務で毎日均等な時間の残業が発生しているケースを見ていきます。
【残業100時間のスケジュール(週5日勤務)】
8:50 出社
↓
9:00 始業
↓
12:00 昼休憩開始
↓
13:00 午後勤務再開
↓
18:00 本来の終業時間
↓↑ 残業(5時間)
23:00 終業、退社
月に100時間の残業ですから、1ヶ月が4週間だと考えると週25時間、1日5時間の残業が発生するということになり、上記のスケジュールの通り毎日23時に退社することになります。
では、土曜日にも出社して週6日で働いた場合はどうでしょうか?
単純に計算すると、週25時間を6日で割ると1日4.2時間の残業ということになります。そうなると、毎日22時過ぎに帰宅すれば月100時間の残業となります。
他にもさまざまなパターンが考えられますが、たとえば土曜日に10時間働くように調整すれば、平日は毎日21時に帰宅できることになります。
このように聞くと、深夜まで働いているというわけではありませんし、月に100時間の残業を経験したことがないという方は「意外と平気かも」と感じるかもしれません。
しかし、これはあくまで自分の業務量やスピード、業務を行うタイミングを自分でコントロールできる環境に限った話です。
企業によってケースはまちまちですが、実際のところは月内に一定期間発生する繁忙期により長い残業を課せられることが多く、想像以上に過酷な業務を強いられることになります。
残業100時間の実態は毎日一定の残業時間が発生するのではなく、泊り込みで働くような期間が一定期間発生するという事実を把握しておきましょう。
残業100時間は違法
そもそも、月に100時間の残業を従業員に課すことは、現在労働基準法で禁止されています。大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から、働き方改革の一環として法改正が行われたのです。
これまでの規定においては、特別条項(ここでは労使の合意)を設けることによって企業は従業員に対して上限なく時間外労働を行わせることができていました。
また、長時間労働を行わせていることに対する罰則による規制もなく、日本の労働者は簡単に長時間労働を課せられてしまう環境にありました。
しかし、日本国内では過去に長時間労働を原因とする過労死・自殺者が多数発生しており、政府としては国民の”働き過ぎ”を防ぐ必要がありました。
そこで、今回の働き方改革により罰則を伴った時間外労働の上限が法律に付与され、また特別な事由がある場合でも上限を上回れないように制限する規定が設けられています。
これにより時間外労働の上限は原則月45時間、年360時間とされ、特別な事由がなければこれを超過することが許されないようになりました。
また上記で特別条項として軽く触れましたが、特別な事由があって労使(労働者と使用者)が合意する場合でも、以下の項目を守る必要があります。
*時間外労働が年720時間以内
*時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
*時間外労働と休日労働の合計について、「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平
均」「5ヶ月平均」「6ヶ月月平均」が全て1月当たり80時間以内
*時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6ヶ月が限度
※上記に違反した場合には、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科される可能性があります。
※引用元・・・厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
また特別条項の有無に関係なく、企業は従業員の残業時間と休日労働の合計が年間100時間未満、2~6ヶ月間で平均80時間以内となるよう調整しなければならない定めがなされています。
わかりやすいように例を挙げると、月内の平日の残業時間の合計が45時間以内に収まっていても、休日に行った労働を足して月100時間以上の労働時間となっていては違法ということになります。
残業の平均は何時間?
特に残業を多く課せられている方であれば、一般的に人がどれくらいの残業をしているのか層憎悪がつかないでしょう。
これについてはさまざまなデータがありますが、dodaが調査した「残業時間ランキング2019【15,000人調査】」によれば、日本のビジネスマンの月平均残業時間は約25時間となっています。
ちなみに、厚生労働省の発表によると月平均残業時間は約14.5時間とされており、これは上記のデータと比較すると約10時間の差があります。これは一体なぜでしょうか?
考えられる原因のひとつとして、厚生労働省の発表しているデータは雇用主の主張が基となっていることが考えられます。
特にサービス残業を課している企業からの申告であれば、実際に行われた残業を隠している可能性もあるでしょう。そういった企業では月100時間を越える残業を課していても決して不思議ではありません。
残業を100時間行った場合の残業代
では、残業を月に100時間行った場合の残業代はどうなるのでしょうか?その場合、企業は違法に従業員を働かせていることになりますが、従業員サイドはそれに関係なく残業代を請求することができます。
特に、サービス残業の文化が自分の勤めている企業で当たり前になっていたり、残業代が未払いとなっている場合にはしっかりとチェックしておきましょう。
残業を行った際の賃金の割増率は、働くのが平日か否か、あるいは深夜帯か否かなどによって変わります。以下の表を参考に自分の場合について計算してみてください。
ここでは残業時間と休日労働、深夜労働について賃金割増率の低い順に並べています。
残業時間(時間帯) | 賃金割増率 |
---|---|
時間外労働 | 25% |
休日労働 | 35% |
1ヶ月60時間以上 | 50% |
残業+深夜労働 | 50% |
休日労働+深夜労働 | 60% |
1ヶ月60時間以上の残業+深夜労働 | 75% |
※深夜労働・・・22時~5時の間に行う労働を指す
※参考元・・・労働問題弁護士ナビ「残業が月100時間を超えたら労働法違反|100時間残業の実態と健康リスク」
残業代の申請は従業員自身で行うことが可能なため、それで受理してもらえれば問題ありません。しかし、場合によっては対応してもらえないケースも考えられます。
もしそういった状況に陥ってしまった場合には泣き寝入りをするのではなく、弁護士に相談することを視野に入れてみましょう。
ただし、未払いの残業代は発生してから2年で時効となってしまい支払ってもらえる権利が消滅してしまうため、できるだけ早めに対応するようにしましょう。
過労死のリスク?残業を100時間行うとどうなるのか?
次に、月に100時間を越える残業を行うと一体どのようなリスクが考えられるのかを見ていきましょう。
過労死ラインは80時間
皆さんは過労死ラインという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
過労死ラインとは、働き過ぎが原因で身体面・精神面の健康状態に障害が生じた場合を想定し、労災認定と労働時間の因果関係を判断するために設けられた時間外労働時間の目安のことです。
過労死ラインは80時間となっており、単純計算で週20時間、1日4時間の残業時間を超えると過労死との因果関係が認められやすいということになります。
具体的には、健康面における障害や疾患の症状が発生する2~6ヶ月前の期間において、平均残業時間が80時間を越えている場合には労働と健康被害の因果関係が認められるということになります。
これでおわかりいただけるように、100時間の残業は健康被害に直結すると考えられます。引き起こる可能性が高い症状・疾患には以下のようなものが考えられます。
不眠症、摂食障害
個人によって差はありますが、不眠症や摂食障害などの身体面の不調が発生しやすくなると考えられます。
人は毎日約13時間以上働く日々が続いてしまうと、仕事を頭から完全に切り離しにくくなります。
ほとんどの方は仕事の後に趣味などのリフレッシュをする時間を設けてONとOFFを切り替えているかと思いますが、長時間労働を行っているとそのような時間も体力も残されておらず、完全にOFFにすることが難しくなります。
そうなると、寝ようと思っても脳が仕事のことを考え続けてしまうことで寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなり頻繁に目が覚めてしまうなど、睡眠を十分にとることができません。
すると、睡眠不足が原因で業務に集中することができないまま働き続けざるを得なくなり、疲労は蓄積していきます。
身体が疲れれば自然と眠ってしまいそうなものですが、精神面でのストレスがそれを妨害してしまい、眠いのに寝られないという悪循環を引き起こしてしまうのです。
また、長時間労働によって蓄積されたストレスが過食や拒食という症状となって現れることもあります。そうなると栄養バランスが取りにくくなり、身体に悪影響を及ぼしてしまいます。
さて、次に精神面におけるリスクをお伝えいたしますが、以下のような症状が自分に出ていると感じた方は要注意です。
うつ病など、各種精神疾患
働き過ぎが長期間続くと、仕事における過度な心的ストレスが原因となってうつ病などの精神障害を引き起こすことが考えられます。
特別な根拠のない自己嫌悪や無力感、倦怠感などに襲われ、最悪の場合には自殺したいという衝動にかられることすらあります。
しかし、うつ病をはじめとした精神疾患は自分一人では自覚するのが難しいとも言われています。
ある看護師の方の話では、「”自分はうつ病ではないだろう”と考えている人ほど重症なケースが多い」といいます。本人が自分の心理状況をあまり把握していないうちに自殺してしまうこともあるそうです。
そのため、自分では大丈夫と思っていても家族や周りの人が心配してくれている場合には、自分が働き過ぎていないか今一度振り返ってみましょう。
また、働き過ぎが原因で自殺に追い込まれた方は多くいらっしゃいます。自分がそのような状況に日々近づいていないかどうか、しっかりと自分の心の声を聞いてあげることが重要です。
過労死・自殺
2017年12月、精神疾患を発症後自殺に追い込まれた男性(40代)がいらっしゃいます。
三菱電機の子会社・メルコパワーデバイスの工場に勤務していたその男性には裁量労働制が適用されていましたが、通常の労働時間に照らし合わせると月に100時間以上の時間外労働をしていたそうです。
その結果精神疾患を発症して休職し、その後別の部署にて業務を再開しましたが2017年12月に自殺されました。
また、NHK首都圏放送センターに勤めていた女性記者(30)の方は2013年7月に鬱血性心不全で亡くなりました。
この女性は過労死ラインの約2倍にものぼる月159時間の残業を行っており、東京労働局渋谷労働基準監督署は、2014年5月付でこの女性について労災認定をしています。
このように働き過ぎが原因で死に至ってしまう方は多く存在しており、2019年に厚生労働省が発表した「過労死等防止対策白書」によれば、仕事を原因とする過労死・自殺者数は158人となっています。
ちなみに、働き過ぎが原因で過労死や自殺に追い込まれてしまう可能性が高いのは、仕事に対して日々真面目に取り組んでいる方です。
そういった方は仕事に真面目になり過ぎるあまり、「周りに迷惑をかけないうように頑張らないと」「もっと出来るはず」などと自分で自分を追い込んでしまいやすくなります。
しかし、そうなると仕事を与える側はその性格を利用して更に負荷をかけてきます。ところが真面目な方は仕事を放り出すことができず、無理をしていることに気がつかないまま働き過ぎてしまうのです。
そのため、周りから「真面目だよね」「もう少し肩の力抜いたら?」などと言われた経験があるという方は、今一度自分の働く環境を俯瞰して見てみてください。
“退職→休息→転職”で苦しみから解放されよう
このように、長時間労働は過労死や自殺に直結します。自分では平気だと思っていても、突然心不全や脳梗塞などで倒れてしまう危険性を常にはらんでいるのです。
そのため現在違法な範囲での長時間労働を強いられているという方は、できる限り早急にその働き方を改める必要があります。しかし、職場の文化や働き方はそう簡単に変えられません。
したがってできるだけ早く退職し、少しの休息期間を設けた後でかまいませんので転職活動を始めてみてはいかがでしょうか。
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おわりに、「仕事探し」って実は難しくないんです
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本当に自分のやりたいことができるのか、よくない意味での「想像とのギャップ」はないだろうか、自分で務まる業務内容なのだろうか...。
「仕事探し」というものがとてつもなく難しいものに思え、孤独を感じている人もいるのではないでしょうか?
でも、「仕事探し」って実は難しくないんです!
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