内定取り消しに遭うケース10選!取り消された場合の対処法もリサーチ!
「内定が取り消しになることはあるのでしょうか?」「内定を取り消されないためにはどうすれば?」このような質問や相談を、私たち転職エージェントが受けることが多くなっています。
就職や転職は、人生においてとても重要なこと。内定が突然取り消されては、その後の人生が大きく変わってしまいます。
そこで本記事では、内定取り消しに遭わないよう、内定取り消しとなるケースとその対処方法について詳しくご紹介します。
内定取り消しの定義を知ろう
「内定」とは労働契約の1つで、法的には「始期付解約権留保付労働契約」となります。初めて聞くような言葉でしょうから、かみ砕いて説明していきましょう。
始期付とはすぐに働くのではなく、働き始める期日があらかじめ設定されていることを意味します。新卒の場合は4月1日がほとんどですし、転職の場合は企業により様々です。
解約権留保付とは、場合によっては内定の解約を行うこともあるということです。つまり採用内定は、この2つの条件が付いた労働契約だと言うことができるのです。
内定は労働契約なので、内定取り消しは解雇にあたります。解約権が留保されているとはいっても、しっかりとした理由がなければ内定を取り消すことはできません。
内々定の定義も知っておこう
内定と似たようなものに「内々定」があります。内定と内々定の大きな違いは、法的な拘束力です。先程も見たように内定は労働契約にあたりますが、内々定はそれには該当しません。
労働契約をまだ締結していないので、内々定の段階では取り消しも十分にあり得ます。内々定を貰ったからといって、安心するのは早いということです。
では内定と内々定は、どこで見分ければよいのでしょうか。それは内定通知書の有無です。
内定通知書は入社の決定を通知するもので、これにより労働契約が成立したことを意味します。口頭での通知だけでは内々定であり、内定通知書が交わされて初めて内定になることは覚えておきましょう。
内定取り消しになるケースとは?
内定取り消しにはルールがあります。そのルールを守らなければ、内定取り消しは無効となります。というのは、内定取り消しは解雇と同じ意味合いを持つものだからです。
企業が解雇を行うには、それ相応の理由と手順が必要になります。
労働契約法第十六条には「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められています。
企業の都合だけを優先した、正当性のない内定取り消しは法的に認められません。ここで注意が必要なのが、合理的で正当性のある理由ならば、内定取り消しとなる可能性が生じるという点です。
企業が内定の取り消しを行う理由はケースバイケースです。同じような理由でも、内定取り消しが認められたり認められなかったりすることがあります。
とはいえ過去の裁判などにより、内定取り消しが認められやすいケースが存在するのも事実。
そのケースを知っておくことは、内定取り消しを避けるためにはとても重要です。具体的なケースとしては、次の5つが挙げられます。
既存の社員の解雇を回避するため
企業の経営状態の悪化により、社員の数を増やせないということはあるものです。その際に新入社員を採用しては、既存の社員を解雇するしかなくなります。
そのため既存の社員の解雇を回避するという名目は、内定取り消しの理由となり得るのです。
現代は変化の激しい時代です。内定後に市場が大きく変化したり、何らかの理由で業績が予想を下回ったりすることも少なくありません。
このような事態に企業が陥った場合には、既存の社員を優先的に守るために新入社員の内定を取り消すこともあるでしょう。
とはいえ業績が悪化したからといって、簡単に内定を取り消せるというわけではありません。
経営の悪化により内定を取り消すためには、従業員の解雇を回避するための努力を行っている必要があります。
経営が悪化したとしても、解雇を防ぐための対策を何もしていないのならば、内定の取り消しは認められない可能性が高くなります。
あらゆる手を尽くした上でも解雇者が出るような状況でなければ、内定取り消しは難しいのが実情です。
内定者の病気や怪我
内定者の病気や怪我は、内定取り消しの要因となる可能性があります。というのは、病気や怪我をしていることにより、仕事を行うのが困難になることがあるからです。
企業は入社日から、仕事や研修を開始してくれることを期待して求職者に内定を出すものです。その対象となる新入社員が病気や怪我で仕事ができなくては、新たに社員を雇った意味がなくなります。
新入社員が不在となっては、既存の社員の負担が増してしまいます。また、採用計画の変更が生じるため、企業の今後の活動に影響を与えてしまうことも。
新入社員の病気や怪我の回復を待つ余裕が企業に無い場合は特に、内定取り消しはやむを得ないと判断されかねません。
だからといって、病気や怪我をしたならば必ず内定取り消しになる、というわけではありません。内定取り消しには、病気や怪我の程度が関係してきます。
数日程度の入院や通院で回復する見込みがある場合は、内定取り消しが認められないこともあります。入社が数日遅れるからといって、内定を取り消すのは難しいでしょう。
内定後の妊娠発覚
女性の求職者が内定後に、妊娠が発覚した場合にも内定取り消しが認められる可能性が高くなります。なぜなら妊娠・出産は母体の負担が大きく、仕事を休まざるを得ない事態が考えられるからです。
また出産後も育児のため、1年以上休職となってしまうこともあります。入社後に戦力となることを期待して内定を出すものなので、1年もしないうちに休職となるのでは企業も困ります。
1週間くらいならまだしも、出産と育児は長期の休職となることが多く、会社にとっては大きな痛手です。
身体を使う業種は特に、妊娠していては仕事にならないもの。内定後の妊娠発覚は、内定取り消しになることを覚悟する必要があります。
内定者の申告に虚偽が発覚
内定者が申告の虚偽をしていた場合も、内定取り消しになることがあります。特に学歴の詐称は、悪質と判断される可能性が高いでしょう。犯罪歴を隠すのは論外です。
申告の虚偽はある種の詐欺行為ともよべるものなので、内定取り消しとなっても仕方ありません。学歴詐称や犯罪歴の隠匿だけではなく、入社するためにでっち上げた虚偽も同様です。
ある求職者は、入社までに仕事に必要な資格を取得することが可能だと申告していました。ところが実際は、資格を取得することが見込めない状態だったのです。
その資格を得ていることが内定のための大きなポイントだったので、内定取り消しとなってしまいました。
グローバル化を進めている企業にとっては、外国語を扱う能力も大きな選考のポイントとなります。
そのため履修していない外国語を得意だと申告したり、TOEICの点数を水増しして申告したりすることも内定取り消しの要因とみなされます。
申告の虚偽を行うと内定が必ず取り消されるというわけではありませんが、虚偽の内容に関わらず求職者の不利になるのは間違いありません。
内定者が学校を卒業できなかった
転職ではなく新卒での就職の場合、内定取り消しのケースの1つに内定者が学校を卒業できないという事態も含まれます。というのは、学校を卒業するのが内定の前提条件としてあるからです。
学校を卒業せず、中退となっても入社できることはありますが、まれなことだと思っておくのが無難です。学校を卒業した上で入社するのが、企業との約束ごと。
その約束を破っては、信頼関係を損なわれても仕方ありません。卒業できないと知った上で面接等を受けるのは、もちろん許されない行為です。
また学校を卒業できないということは、学力や能力が不足していると判断される可能性があります。
内定取り消しが不当であるケース
内定取り消しとなるケースでも説明した通り、企業が内定を取り消すためには法によるルールに従っていなければなりません。
この章で紹介するようなケースは法にのっとっておらず、そのため内定取り消しが認められないことがあります。
これらの理由で内定の取り消しが行われた場合には、あとで解説する方法で争えることを覚えておきましょう。
赤字が続いていたことが発覚した
企業が内定を取り消すことの理由の1つに、赤字のため人件費が賄えないというものがあります。
赤字が常態化しているのに内定を出し、結局改善しないために内定を取り消すことは法的に認められないことがほとんど。
採用内定後に思わぬ事態が発生し、業績が悪化して経営が困難になった場合は別です。
しかし赤字を改善するための対策をとらず、もしくはもともと赤字の克服が困難だった場合の内定取り消しは、正当性の面で問題があります。
というのは、赤字のままで新入社員を採用し、内定を取り消すのは企業の落ち度だと考えられるからです。
内定者にとって赤字による内定の取り消しには、何の責任もありません。完全に企業側の責任なので、内定取り消しを争うことが可能です。
とはいえ赤字が続く会社で働くかどうかは、また別の問題です。内定取り消しを争い、結果的に入社できたとしても赤字では、いつまで会社が存続するのか不安になることもあるでしょう。
赤字が継続している企業からの内定取り消しを争うかどうかは、よく考えてから判断するのが賢明です。
採用の余裕がないことが発覚した
企業が内定を通知した後で、実は人員採用の余裕がなかったことが発覚する場合があります。しかし採用の余地がないからといって、内定を取り消すことは認められません。
また、あらかじめ内定を辞退する人が現れることを想定し、実際に必要な人員数よりも多めに内定者を出すという企業も存在します。
その場合、辞退者が少なかったため採用の余地がなくなることがありますが、もちろんこれも内定取り消しの要因としては認められないのがほとんどです。
どちらのケースにしても内定者には落ち度がないので、内定取り消しを争うことが可能です。
赤字続きの会社とは違い、採用の余裕がない会社の経営状態が悪いとは一概に言えません。そのため内定取り消しを争った上で入社するのは、1つの判断として成り立ちます。
正当性のない内定取り消しを拒否し、入社を望むのは内定者の権利です。入社後のことなどを含めてよく検討し、どうしてもその企業で働きたいのであれば、内定取り消しを争うのもよいでしょう。
やっぱり社風に合わないと判断した
内定を一旦通知したあと、社風に合わないので内定を取り消したという事例が実際にあります。そしてその事例は裁判で争われ、内定を取り消された側の主張が認められました。
社風に合わないという理由だけでは正当性や合理性に欠けるので、内定取り消しは認められなかったというわけです。
なぜ社風に合わないと感じた学生に内定を出したかというと、入社までにそれを覆す何かが出現するかもしれないと考え、とりあえず内定にしておいたのだと伝えられています。
当初この事例では、内定取り消しの理由が開示されていませんでした。裁判を起こすことにより、内定取り消しの真相が明るみに出てきたということになります。
このように社風に合わないと判断するのなら、最初から内定を出さないのが筋というもの。もし同じような理由で内定を取り消された場合には、裁判を起こすというのも1つの選択肢です。
入社前のアルバイトの影響も
上記の3つ以外にも、不当な内定取り消しと判断された事例は存在します。
入社前に行っていた水商売のアルバイトが原因で、内定を取り消された事例はニュースにもなっており、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
この事例では和解が成立し、最終的には入社が認められています。内定取り消しの理由に納得できない場合には、争うことが可能なのです。
内定取り消しにあった際の主な対処方法としては「裁判を起こす」「損害賠償請求をする」「未払賃金を請求する」という3つが挙げられます。
どの対処方法を選ぶにしても、最初にしておくべきなのが内定取り消しの理由を問い合わせることです。企業は求職者からの、この問い合わせに答える義務があります。
その場合、口頭ではなく文書で回答してもらうのが肝心です。というのは口頭よりも文書の方が、裁判の証拠に適しているからです。
また、学生ならば大学に相談してみるのもよいでしょう。転職者やすでに大学を卒業しているような場合には、弁護士などの専門家に相談してみることをおすすめします。
個人でも争うことはできますが、顧問弁護士を雇っているような企業相手には荷が重すぎるからです。
また、私たち転職エージェントに相談するというのもおすすめしたい方法です。
我々はこういった問題に関する経験が豊富で、適切なアドバイスを行うことができます。弁護士に相談するのは気が引けるなら特に、気楽に相談できる転職エージェントを利用してみましょう。
内定取り消しを回避するための注意点
内定取り消しは、人生に大きな影響を与えかねない出来事です。内定の通知を受け取ったため、それ以降の就職活動を止めてしまうこともあるでしょう。
また、内定となったので他の企業に断りの連絡を入れてしまうことも考えられます。就職の機会を失わないためにも、内定取り消しはできるだけ回避するのが賢明です。
では内定取り消しを回避するための注意点には、どのようなものがあるのでしょうか?
申告に虚偽は絶対にないように
内定取り消しを防ぐために注意しなければならない最大のものは、申告に虚偽の記載を絶対に行わないということです。
面接時や選考時には隠しおおせても、虚偽はいつかばれるもの。
申告の虚偽には軽度なものもありますし、求職者の中には「これぐらいなら構わないかな」と、選考が有利になるよう嘘を混ぜた申告をする人もいるかもしれません。しかしこれは大きな間違いです。
申告の虚偽は犯罪行為とも言えるもので、求職中に嘘をつくことは、信頼関係を根本から崩しかねません。また申告の虚偽は、たとえ入社できたとしてもその後の勤務に悪影響を及ぼします。
転職なら、職歴をごまかさないのが鉄則です。面接や選考で不利になることを避けるため、実際には仕事をしていたのに記載したくないということもあるでしょう。
しかし空白期間があった場合には、必ずと言っていいほどその理由を問われるものです。そこで嘘をついてしまうと、その嘘がばれないようさらに嘘をつく羽目になります。
どこかで矛盾が生じ、結果的に嘘はばれてしまいます。信頼を損なわないためにも、申告の虚偽は最初から絶対にしないのが賢明です。
学校を卒業できるよう心がける
内定を得たとしても、学校を卒業できなければ入社することはほぼ無理でしょう。内定を貰ったからと油断して、学業を怠るのは避けなければなりません。
大事なのは、最終学年になる前から卒業の準備を進めておくことです。最終学年になってから、単位数の計算を間違えていたことに気づくのでは遅すぎます。
しっかりと卒業できるよう、就職活動を開始する前から計画的に単位を取得しておくようにしましょう。単位数に問題がないのなら、あとは卒試や論文の対策を怠らないことです。
ゼミの単位を取るために、ゼミ活動などにも積極的に参加しておきましょう。そうした活動は、入社後にも役立つものです。
単位の取得がおぼつかないようなら、学校に相談してみるのも1つの手です。
追加の試験をしてくれるかもしれませんし、追加の課題を出してくれるかもしれません。学校をきちんと卒業するためには、精一杯努力するのが大切です。
SNSでの軽率な発言、行動に注意
スマホの普及で、SNSはとても身近な存在となっています。だからこそ、SNSは慎重に扱う必要があります。
SNSで軽率な発言や行動を行ったため、勤め先や学校に迷惑をかけたという事例には事欠きません。それにより学校や会社を辞めざるを得なくなったというニュースも、たびたび目にするものの1つです。
そしてその危険性は、内定においても変わりません。まだ勤務していないからといって、SNSで軽率な言動をしていては内定を取り消されかねないのです。
企業はSNSにもアンテナを立てています。特に自社に関することを軽々しく話題にする内定者に対しては、不信感を抱くのは当然です。
他の人の迷惑になるような動画を投稿するのは論外です。目立ちたいからといって、不謹慎なものを投稿するのは避けましょう。
ネット上に広がってしまっては、消すのは簡単ではありません。一時の気まぐれで人生を棒に振らないよう、SNSでの言動に注意するのは大事なことです。
手続きなどの各種期限を守る
忘れがちなのが、各種手続きなどの期限を守ることです。内定は労働契約の1種なので、手続きの期限はしっかりと守る義務が生じます。
やむを得ない理由があったとしても、たびたび期限に遅れるようではだらしない人間だと思われかねません。
一度の遅れだけでは内定取り消しにはならないかもしれませんが、総合的に判断する際のマイナスポイントとなる可能性があります。
すでに労働契約を結んでいるわけなので、手続きの期限はしっかりと守るのが基本です。
特に注意したいのは、資格の取得です。入社するためには資格の取得が必要な場合、取得する機会を逃しては内定取り消しとなってしまうかもしれません。
資格試験の申込時期をしっかりと把握し、入社前には必ず取得しておくようにしましょう。
体調管理の徹底
大きな怪我や病気は、内定取り消しの要因となることがあります。まだ若いからといって、不摂生な生活を送るのは避けましょう。特に注意したいのが飲酒です。
ゼミの合宿や新歓コンパなどで、一気飲みしたため体調を崩す学生は珍しくありません。最悪の場合は死に至ることもあります。酔ったため、転倒して怪我をしてしまうケースも考えられます。
飲酒や喫煙はほどほどにしておき、万全の体調で入社後の身体検査を迎えるようにするのが賢明です。体調は日頃の心がけ次第で変わります。適度に運動し、ある程度身体を鍛えておくのもよいでしょう。
転職エージェントを利用する
私たち転職エージェントは、内定の取り消しを防ぐためにも役立つ存在です。というのは、転職エージェントは企業と求職者の仲介をしているため、内定取り消しなどといった不測の事態が起こりにくいからです。
また転職エージェントは、企業との特別な結びつきを得ていることも多いもの。そういったルートを活用し、内定が取り消しにならないよう助言をすることも可能です。
転職エージェントを積極的に利用し、内定が取り消しになるのを防ぎましょう。
おわりに、「仕事探し」って実は難しくないんです
新たな環境に身を置こうと考えたとき、誰しも必ず「不安」と出遭うことになります。
本当に自分のやりたいことができるのか、よくない意味での「想像とのギャップ」はないだろうか、自分で務まる業務内容なのだろうか...。
「仕事探し」というものがとてつもなく難しいものに思え、孤独を感じている人もいるのではないでしょうか?
でも、「仕事探し」って実は難しくないんです!
仕事を決めるときに必要なのは「自分の良いところを武器に前向きにぶつかること」、言ってしまえばこれだけなんです。
「でも自分に良いところなんてないよ~…」なんて嘆いているそこのあなた!長所や強みは誰しも絶対にあります。可能性のある存在を否定するほどもったいないことはありませんよ。
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