【5万人超】「コロナ解雇」から解く、非正規雇用の危険性
2020年9月1日、厚生労働省は新型コロナウイルス感染拡大に伴う解雇や雇い止めが、8月31日時点で5万人を越えた(見込み含む)ことを明らかにしました。
同年8月28日時点では、そのうち非正規雇用者が約43%を占めています。
これまでアルバイトや契約社員などの非正規雇用者として働いてきた方の中には、「あ、正社員でもこういう時は解雇されるんだ」と感じた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、コロナ禍において特に非正規雇用者の解雇、あるいは雇い止めにはある危険性が潜んでいるのをご存知でしょうか。
そこで本記事では、「コロナ解雇」から読み解く、非正規雇用者の危険性とその回避法をお伝えいたします。
コロナで5万人以上が職を失った
2019年12月頃に中国の武漢で発生してから翌年8月31日現在にかけて、たったの9ヶ月間で5万人以上の解雇・雇い止めを発生させてしまった新型コロナウイルス。
現在もその収束の目処は全く立っておらず、米ハーバード大学の研究チームが下記のように論文で発表しているほど、長期化が予想されています。
“新型コロナウイルスの世界的流行を抑えるためには、外出規制などの措置を、2022年まで断続的に続ける必要がある”
ただ、「失業者が5万人を超えた」と聞いてもイマイチその規模にピンと来ないかもしれません。
朝日新聞デジタル「新型コロナウイルスの感染状況」によれば、2020年9月1日時点での国内感染者数はなんと68,295人。
つまり、新型コロナウイルスの感染者数と同じくらいの人数が職を失っているということになります。このように考えると、途端に現実味を帯びてくるのではないでしょうか。
このグラフは厚生労働省が公開した情報をもとに、2020年5月29日~8月28日までに集計された新型コロナウイルスによる解雇・雇い止めの人数を可視化したものです。
ご覧の通り、過去1ヶ月間で解雇・雇い止めに遭った方はなんと約1万人。7月以降の感染者数の急増と比例して、解雇や雇い止めの増加傾向が続いています。
新型コロナウイルスの収束の目処が立っていない今、このまま推移を続ければ年内いっぱいで9万人もの失業者が出ないとも限りません。
筆者を含め、現在失業を免れている方にとっても、決して他人事ではないといえます。
“製造業”が最多。一体なぜ?
ところで興味深いのは、現時点で最も解雇・雇い止めが発生している業界が”製造業”であることです。
厚生労働省が発表した「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について(8月28日現在集計分)」によれば、それまで宿泊業、飲食業が上位を占めていたところを、製造業が1位となりました。
順位 | 業種 | 解雇等見込み労働者数(人) |
---|---|---|
1位 | 製造業 | 7,918人(16.00%) |
2位 | 宿泊業 | 7,140人(14.43%) |
3位 | 飲食業 | 6,912人(13.97%) |
宿泊業や飲食業であればウイルス感染拡大の影響を受けやすいことはある程度容易に想像できます。では、なぜこのタイミングで製造業への影響が増したのでしょうか?
朝日新聞デジタル「青森)解雇など915人 製造業が最多420人に」では興味深い内容が掲載されています。
ここでは青森労働局による県内での解雇・雇い止めの発表について触れられていますが、業種別に見ると青森県内においても製造業がトップとのこと。
この中にはストッキングやインナー製造を営んでいる「アツギ東北」が、330人もの大規模な人員整理を行ったことが挙げられています。
同記事によれば、外出の頻度が減ったことによりストッキングの消費が減少したことが、経営を直接的に圧迫したとあります。
もちろん家電製品やゲームなど、コロナ禍だからこそ製造業の需要が増す側面もありますが、たとえばオフィスをメインに弁当を卸していた工場などは、テレワークが推進される中で大きな打撃を受けています。
たとえば、大阪市で仕出し弁当の製造販売を行っているW社は、緊急事態宣言が発令された1ヶ月後の5月、非正規雇用者を中心に全従業員の30%の解雇を余儀なくされています。
企業での会議やオフィスランチでの需要が低下したことはもちろんですが、こちらの会社の代表取締役の方は「数多くのイベントへ弁当を卸していたことも経営難に陥った原因です」と語っています。
コロナ禍で明らかになる「非正規雇用の危険性」
このように新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、数多くの方が職を失っています。
冒頭でもお伝えしたように、8月28日現在で解雇・雇い止めに遭った人数は非正規雇用者が約43%を占めています。
この数字だけを見れば正社員の方が解雇されている割合が多いように見えますが、実はコロナ禍においては、元非正規雇用者の方の失業期間の方が、より長期化する可能性があります。
採用の余裕がない企業の増加
というのもコロナ禍にある現在、とても採用に予算を割けないという企業が急増しているからです。
HRogによれば、2020年7月の有効求人倍率は1.08倍。つまり、求職者1人につき約1件しか求人がないということになり、競争率は激化しています。
それでも、リーマンショック後の2009年8月の0.42倍という数値に比較すればまだ救いの余地はありますが、今後もその倍率が悪化しないという保証はありません。
▼参考元
厚生労働省「労働経済の推移と特徴」
「就業経験なし」が影響しやすい
では、どうしてそれが非正規雇用者の危険性に繋がるのでしょうか?たとえば、アルバイトやパートの方には就業経験がつきません。
採用に慎重になっている企業が多いこの状況下においては、採用の条件を狭めそのハードルを上げることによって、より優秀で即戦力となる人材を確保しようという企業の動きが高まります。
そのため、最低限就業経験がある方を採用したいと条件を設定する企業が多く、非正規雇用としてしか働いたことがない方にとっては痛手となります。
「即戦力」になりにくい
また、非正規雇用者の方は正社員として働いている方に比較すると、そこまで責任の伴う業務を任せてもらえないというケースも往々にしてあります。
責任が大きい業務ほど自主的に勉強する機会が増え、現場での経験値も上がっていくため、非正規雇用者の方はスキル面においても不利になります。
もちろん、資格の取得を行っていたり、具体的に数値などでアピールできる実績があればまた別ですが、なかなかそういったアピール要素を持っている非正規雇用者の方は少なく、基本的にはどの職種にも未経験として応募することになります。
未経験者歓迎としている求人は現在でも多くありますが、他の経験者に採用枠を奪われてしまうリスクは通常よりも高くなります。
また今から資格を取得しようにも、新型コロナウイルス感染拡大の影響で試験が中止、または延期になっているものも多く、取得したくでもできないという状況も見られます。
このように、コロナ禍において元非正規雇用者の方が職をを探すことには通常以上の苦労が伴うことが考えられます。
では、非正規雇用者の方はコロナ禍において就職あるいは転職することができないのでしょうか?結論から申し上げれば、答えは“No”です。
先ほどもお伝えしたように、コロナ禍だからこそ業績を上げている業界も存在しています。
そして、こういったタイミングだからこそ意欲の高い人材を採用して、よりパフォーマンスを上げようと考えている企業はたくさんあります。
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おわりに、「仕事探し」って実は難しくないんです
新たな環境に身を置こうと考えたとき、誰しも必ず「不安」と出遭うことになります。
本当に自分のやりたいことができるのか、よくない意味での「想像とのギャップ」はないだろうか、自分で務まる業務内容なのだろうか...。
「仕事探し」というものがとてつもなく難しいものに思え、孤独を感じている人もいるのではないでしょうか?
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