当直の働き方とは?当直がある仕事5選、夜勤・宿直との違い
「当直のある仕事が気になるけど、大変そうなイメージもあるな」などと、当直の仕事に就こうか迷っている方は多いのではないでしょうか?
そこで本記事では多様な働き方の一例として特に医療業界で特に多く見られる「当直」について、どのような働き方なのかや当直がある仕事などをご紹介いたします。
当直の意味と働き方
当直とは「企業に在籍している従業員が交代で通常勤務時間外の業務を担当する事」を言います。
原則として企業が定めている「通常業務以外」の仕事を「通常勤務時間外」に行うというのがポイントです。
基本的に当直では通常業務よりも簡単で担当者への負担が軽い業務が割り当てられています。例えば定期的な巡回や電話対応などがこれにあたるので覚えておきましょう。
緊急を要する事態が発生した場合に対処するのも当直の仕事です。
なお、労働基準法では従業員の労働時間は「週40時間以内」と定められていますが、当直の勤務時間はこの40時間には含まれないので留意しておきましょう。
もちろん当直中も給与は発生するので安心してください。
当直の条件
従業員を当直に従事させるにあたっては、労働基準法によって一定の条件が設けられています。例えば前述した「当直中の業務は通常業務よりも軽微なものとする」というのがそのひとつです。
当直勤務は昼夜を問わず長時間に及ぶケースがほとんどであるため、従業員に十分な仮眠時間を与える事も義務付けられています。
通常業務から続けて当直となると勤務時間が24時間連続になるため、当直では仮眠が必要になるのです。
当直に対して支払われる手当ての金額は「従業員に支払われる1日あたりの平均賃金の3分の1を下回ってはならない」と定められています。
また、当直は大きく分けて「宿直」と「日直」の2種類に分けられますが宿直は週に1回、日直は月に1回までというのも当直の条件です。
「宿直」:当直のうち夜間に行うもので、職場へ一泊する形のもの。週1回まで。
「日直」:当直のうち日中に行うもので、月1回まで。
当直がある職場での1週間のスケジュール例
一般的な企業では1日あたりの労働時間を8時間、週に5日の勤務で1週間の労働時間を40時間に設定しているところが多いです。
当直は週40時間という制限には含まれず、通常業務に出勤した従業員がそのまま担当するのが一般的と言えます。
例えば土日が休みのシフトとなっている従業員の場合は下記のようなスケジュールが考えられるでしょう。
月:通常出勤
火:通常出勤
水:通常出勤→当直
木:通常出勤
金:通常出勤
土・日:休み
このケースで通常業務を9~17時、当直を17~翌朝9時までとすると水曜の朝から木曜の夕方までを職場で過ごす事になります。
当直がある職場では従業員の通常勤務日以外に当直を設定してしまうと休日に十分な休養を取れないため、基本的には通常勤務の日に当直を設けて出勤日と休日のメリハリをしっかりつける場合が多いです。
当直勤務がある仕事5選
当直という働き方は一般的な商社などにはほとんど見られず、ある程度特殊な性質をもった職業に限られている傾向があります。
ここでは当直が設けられている事の多い仕事について見ていきましょう。
医師
当直勤務がある職業として代表的なものが、医師をはじめとする医療関係の仕事です。病院では日中の診療以外にも夜間の緊急外来を受け付けている場合があります。
当直を担当する医師は当直医と呼ばれる事もあり、こうした夜間の急患を診療するケースがあるのです。
また、入院法という法律で入院患者を抱える病院は24時間体制で医師を常駐させて緊急時に対応する事が義務付けられています。
入院患者に異常はないかを見回る・体温や脈を測る・緊急のナースコールに対応するなどの業務にあたるのが医療関係者の当直勤務です。
医師以外にも薬剤師や看護師などが当直にあたる事も多いので覚えておきましょう。
医療機関は人命に直接関わる業務を担っているので、医師の負担を出来る限り軽減するために当直翌日の通常勤務は午後休としているところもあります。
しかし多くの患者を受け入れている比較的大きな医療機関の場合、人手や急患の状況によっては午後休を確保出来ないというケースも珍しくはありません。
そういった場合には残業扱いにして請求するなどの制度を導入して柔軟に対応している病院が多いです。
警察官
市民の安全な生活を守る警察官という職業も、当直勤務がある事でよく知られています。
警察官は24時間体制で街の治安を守る事が職務であるため、当直のような人員を配置して緊急時に対応出来るようにしておく必要があるのです。
一般的に警察官という仕事は「交番勤務」と「警察署勤務」の2種類に分ける事が出来ます。それぞれのケースで当直勤務の働き方も異なるので注意しておきましょう。
交番勤務の場合
例えば交番勤務の警察官の場合は夜間のパトロールや簡易的な検問などが当直勤務での主な業務です。
交番勤務は当直翌日を非番、その翌日を公休となるのが原則であり、丸1日働いて2日休むという「1勤2休制」と呼ばれるワークスタイルとなっています。
非番には「待機非番」と「通常非番」の2種類があり、待機非番は緊急事態に備えて自宅で待機しておくというものです。
通常の出動人員だけで人手が足りなくなった場合には待機非番の警察官が現場に向かいますが、待機非番でも足りないと通常非番の人にも出動要請が出されます。
非番はあくまでも「自宅待機」という意味合いが強く、所属組織が定めた完全な休みである「公休」とは異なるので注意しておきましょう。
警察署勤務の場合
一方、警察署勤務の場合は夜間の電話対応・受付業務や書類作成などを当直で行うのが一般的となっています。
地区によって多少の差はあるものの警察署勤務は人数が比較的多いため、当直勤務の人数も1日あたり7~8人のグループになっている事も珍しくありません。
また、警察署勤務は当直翌日が日勤となる場合も多いので留意しておきましょう。
消防隊
消防隊の勤務スタイルには「毎日勤務」「2交代制」「3交代制」の3パターンがあり、このうち当直勤務があるのは2交代制と3交代制です。
毎日勤務は主に各消防署の署長や消防庁勤務の職員に適用されているスタイルで、基本的に平日の8時半~17時半まで働いて土日に休みます。
一般的な社会人と同様の勤務スタイルといって良いでしょう。2交代制は署内の消防員が2つの班に分かれて、当直→非番→当直→非番というサイクルで勤務していくものです。
1週間のうち1日が公休として扱われます。全国の消防署のうち約半分がこの2交代制を採用しているため、消防隊の働き方としてはポピュラーなものと言えるでしょう。
3交代制では日勤・当直・非番を組み合わせてシフトを回して適宜公休を挟みます。消防庁をはじめとする大都市にある大型の消防署では3交代制を導入しているところも多いです。
消防隊は日中に車両点検や消防訓練などを行っているため、夜間の当直では主に書類仕事を片付けるというのが一般的になっています。
また、消防士という仕事は体力勝負である一面が強いため、屋内で出来る筋力トレーニングなどで当直中に身体を鍛えるのも大切な仕事です。
介護職員
高齢者や身体が不自由な人の生活を支える介護は利用者の自宅を訪問するタイプと、利用者が施設に入居するタイプの2種類に大別されます。
高齢者の体調は変化しやすく、些細な事がきっかけで大事になり兼ねません。
利用者が宿泊するタイプの介護施設では24時間体制で入居者の健康状態と管理するための当直が必要になるのです。
ただし、介護施設での当直業務は一般的に条件が厳しくなっています。介護職は特に人手不足が問題となっている業界であり、職員1人あたりの負担も小さいものではありません。
従業員のフィジカル・メンタルを保護するという意味から、介護職における当直は慎重な運用が求められているのです。
当直では主に施設内の見回り・検温・夜尿起こし・おむつ替えなどを行います。
報道機関の社員
日々最新のニュースを市民に届ける報道機関に勤める社員も、交代制で当直勤務を行っています。せっかく仕入れた情報でも読者やリスナーに届けるのが遅れてしまうとあまり意味がありません。
これは競合他社が先に越されると情報に目新しさが無くなり、読者やリスナーの興味を惹く事が出来ないからです。
報道機関では常にスクープに対してアンテナを張ると共に、翌朝のニュースに間に合わせるために出来るだけ作業を進める当直が必要とされています。
ひとくちに報道機関と言っても職種は細分化しており、その仕事内容も多岐に及びます。
例えば新聞記者の場合、当直では取材した資料の整理や誤字脱字の校正業務などを行う事が多いです。テレビ局の報道部であれば映像のチェック・資料作成・機材整理などを行います。
また、こうした報道機関では多くの部署が存在しているため、他の部署の作業が終わらないと仕事が回ってこないという事も珍しくありません。
他の業種に比べると当直の業務自体はやや負担が大きめですが、忙しい時とそうでない時のメリハリが利いているとも言えるでしょう。
もし当直勤務ができる仕事を探していたり、自分の細かい理想に合った仕事をお探しの方は求人サイトなど以外にも、就・転職エージェントを利用すると便利です。
当直勤務の実態
当直勤務には「通常業務よりも軽微な作業」「十分な仮眠時間の確保」「宿直は週に1度」など、従業員を守るための様々な条件が設けられています。
しかし実際の運用体制は企業の裁量次第である場合が多く、職場の状況によっては当直勤務の条件が正しく守られていないケースもあるのです。
ここからは私たちが調査した当直勤務の実態について紹介します。
職種によっては業務内容が夜勤と変わらない
当直勤務における業務は「通常勤務時の作業に比べて軽微なもの」にする必要があります。
しかし、職種によっては当直の際にある程度負担の大きい業務を行わなければ仕事が回らないというケースもあるのです。
例えば報道機関では翌日のニュースに作業を間に合わせなければならないため、当日の人手やニュースの情報量によっては当直担当者が編集業務のヘルプに入る事も珍しくありません。
医療機関では夜間の急患数を予想する事が出来ないので、患者の数が多ければ当直でも診療に回ります。こうした夜間の通常業務は本来「夜勤スタッフ」が行うものです。
後述しますが、当直と夜勤はまったく別の勤務体系となっているため企業側はしっかりと区別する必要があると言えるでしょう。
勤務がハード
当直勤務がある職種では、1週間の勤務スケジュールがややハードになる傾向にあります。当直勤務の業務内容は軽微なものであるという事が大前提となっています。
勤務中に十分な仮眠時間を確保しているという点も加味すると「当直の翌日に日勤として働いても影響はない」というのが一般的な見解です。
そのため、人手が不足気味な職場では日勤→当直→日勤というシフトが組まれるというケースも少なくありません。
負担の軽い業務とは言え職場での拘束時間は長くなるので、自宅での時間やプライベートを充実させたい人にとっては気になるポイントです。
しかし労働基準法が定める通りの業務内容や仮眠時間が守られていれば、こうしたシフトでもメンタルや健康面では大きな負担にはならないでしょう。
当直手当が加算されるため、お金を稼ぎたい人にとってはむしろ都合が良いという場合もあります。
当直勤務で困った場合の対処法
当直のある職場で働いていると「業務の負担が大きい」「十分に休みが確保出来ない」といった悩みを抱える事もあるでしょう。
しかし我慢しながら働いて泣き寝入りしてしまう必要はありません。当直に関する正常な勤務状態は労働基準法によって守られている従業員の「権利」です。
明らかに異常な勤務状態が続いている場合は、自分からアクションを起こす事で現状を変えられます。
まずは自分の直属の上司や会社の役員に相談してみるというのが有効でしょう。
この時のポイントは「労働基準監督署の許可は得ているのか」「仮眠の時間を確保する事は出来ないのか」の2つを軸に話を進めていくという事です。
上司や会社に相談しても勤務状態が改善しない、または勤務状態に問題が無くても当直の割増賃金が支払われていないという場合には所轄の労働基準監督署に連絡しましょう。
「当直の許可を得ていない」「勤務状態が適切でない」などの事実が確認されれば、行政から改善指示を出してもらう事が出来ます。
類似用語との違い
当直とよく似た用語に「夜勤」と「宿直」が挙げられます。これらは共通する点もありますが、違いをしっかりと理解しておく事が重要です。
求人情報を正しく読み解くためにも、ここで当直・夜勤・宿直の違いについて見てみましょう。
夜勤
求人情報誌やアルバイト募集の張り紙で「夜勤」という言葉を目にした事のある人も多いでしょう。
夜勤は当直よりも広い職種で導入されている勤務スタイルであり、夜間に働くという点では当直と共通しています。
しかし、夜勤は業務内容・給与・勤務状態といった様々な点で当直と異なるのです。
まず、当直の業務内容が通常業務よりも軽微なものであるのに対して、夜勤の業務内容は通常業務と変わりがありません。
給与面で言えば当直が「基本賃金の3分の1以上を給与に加算する」という計算方法である一方、夜勤は「基本賃金に割増賃金を上乗せする」という形式です。
細かい数字は職場によって異なりますが、夜勤の給与は当直よりも高く設定されているのが一般的と言えます。
勤務状態の点では、まず仮眠の有無が異なります。当直では日勤との兼ね合いで従業員を休ませる必要があるため勤務中に仮眠時間が必要です。
これに対して夜勤は「夜間のみ」働くというスタイルなので、休憩時間はあっても仮眠時間は用意されません。
また、当直勤務の時間は週40時間以内の制限に加算されないのに対し、夜勤の勤務時間は週40時間以内の制限に加算されるので夜勤と日勤を併用して働く場合は注意しましょう。
宿直勤務
当直には「宿直」と「日直」の2種類があり、宿直は夜に、日直は日中に当直業務を行う勤務スタイルを指しています。宿直勤務は当直の一部という認識で覚えておきましょう。
これは求人情報に目を通す際に大切なポイントです。例えば勤務形態に「宿直あり」と記載されていた場合、日勤での勤務とは別に夜間の当直業務が発生するという意味になります。
これに対して「当直あり」という記載だった場合には、夜間だけではなく日中に当直当番が回ってくる可能性もあるのです。
このように当直・宿直・日直の意味をしっかりしておく事で、就職後に「こんなシフトになるハズじゃなかった」といったトラブルを回避出来ます。
まとめ
働き方が人それぞれであるように、勤務体系も業界や業種によって様々です。例えば深夜まで営業している飲食店に就職するのであれば、昼夜が逆転したライフスタイルになる可能性もあります。
朝早くから作業を行うような建設業界では比較的規則正しい生活リズムになりやすいですが、担当するプロジェクトごとに生活する場所が変わる事も珍しくないのです。
それぞれが一長一短でどれが良いという訳ではなく、自分のライフスタイルにマッチした仕事に就くのが大切と言えます。
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おわりに、「仕事探し」って実は難しくないんです
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本当に自分のやりたいことができるのか、よくない意味での「想像とのギャップ」はないだろうか、自分で務まる業務内容なのだろうか...。
「仕事探し」というものがとてつもなく難しいものに思え、孤独を感じている人もいるのではないでしょうか?
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