4つの制度別|わかりやすい退職金の計算方法|それぞれの制度の解説も
「今の会社で自分はいくらくらい退職金がもらえるんだろう」とお悩みの方に向けて、本記事では4つの退職金制度ごとの詳しい計算方法を計算例と共にご紹介いたします。
少しでもお役に立てれば幸いです。
そもそも退職金って?
退職金とは労働者が企業を退職する際に受け取れるお金のことで、退職手当や退職慰労金とも呼ばれます。制度の正式名称は「退職給付制度」ですが、退職金制度と呼ばれることが一般的です。
退職金は定年退職の際に受け取れるイメージがあるかもしれませんが、これは会社都合で解雇された時や自己都合で退職する場合にも支払われるもので、他にも労働者が亡くなった場合にも支払われます。
退職金制度には主に「退職一時金」「退職金共済」「確定給付年金」「確定拠出年金」の4つがあり、退職金の受け取り方は「一時金タイプ」と「年金タイプ」に二分されます。
【退職金の受け取り方】
・一時金タイプ
└退職時に退職金全額を一度に受け取れる
・年金タイプ
└「60歳以上」などの企業の定めた条件をクリアした時点から一定期間、一定額の退職金を年金として受け取れる
そして先ほどご紹介した4つの退職金制度の内容は下記となります。
退職一時金
上記のうち、受け取り方法は一時金タイプに分類され、勤続年数や退職理由、基本給や役職などによって企業ごとに計算方法が定められています。
企業の経営状態にかかわらず、規定が変更されない限りその支払いは確約されます。
退職金共済
退職金共済は企業が加入している共済を通じて退職金を受け取れる制度で、上記のうち、受け取り方法は一時金タイプに分類されます。
条件を満たせば一括払いや分割払い、一部分割、またはその併用も選択できます。計算方法は下記です。
掛け金 × 納付月数 +α
※「+α」には付加退職金、利回りなどが含まれます
※掛け金の額は企業サイドで決定されます
掛け金の額や勤続年数(納付月数)によって受け取れる金額が異なります。
退職共済金のメリットは企業の経営状況にかかわらず積み立てた分の額をきちんと受け取れることですが、共済を介している分、共済制度によっては積み立てられる金額が想像よりも少ないケースがあります。
確定給付年金(DB)
確定給付年金(DB)とは労働者が退職金として受け取れる給付額があらかじめ確約されている企業年金制度で、企業の経営状態にかかわらず約束された金額を受け取れます。
原則として60歳以降に受け取れるもので、受け取り方は上記のうち一時金タイプ、年金タイプ、またはそれらの併用の3パターンから選べます(企業の規約次第で制限あり)。計算方法は下記です。
掛け金 × 納付月数 +α
※「+α」には付加退職金、利回りなどが含まれます
※掛け金の額は企業サイドで決定されます
掛け金の額や勤続年数(納付月数)によって受け取れる金額が異なります。
確定拠出年金(DC)
確定拠出年金(DC)とは、事業主や加入者自ら掛金を拠出し、加入者自らが資産運用を行い、その成果次第で将来受け取れるの年金額が決まる制度です。
掛金額(拠出額)が決められている(=Defined Contribution)ことからDCとも呼ばれています。
またこれには企業が運用する「企業型確定拠出年金」と、個人で加入する「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の2種類があります。
掛け金 × 納付月数 + 運用結果
※掛け金の額は企業サイドで決定されます
金額は掛け金の額や勤続年数(納付月数)、運用の仕方によって異なります。
全ての企業に退職金制度があるわけではない
退職金制度はどこの企業にも用意されていると考えがちですが、実は退職金制度の導入は法律で定められておらず、少数ではありますが中には導入していない企業もあります。
人事院が公表している「令和3年民間企業の勤務条件制度等調査の実施及び
令和2年の調査結果について」によれば、退職金制度を設けている企業の割合は下記のようになっています。
退職給付制度がある企業:91.9%
(事務・技術関係職種の従業員がいる企業が対象)
└「退職一時金制度」がある企業:91.2%
└「企業年金制度」がある企業45.8%
ご自身の勤め先に退職金制度があるかどうかは就業規則か労働協約次第ということになります。また退職金の支給額(支給内容)も法律の定めがないため企業によって異なります。
退職金はどれくらいもらえるもの?
総務省統計局の「平成30年就労条件総合調査」によれば、退職理由別の退職金を月収換算をすると下記のようになっています。
これによれば、自己都合退職を除くと退職金の相場は月収の約40か月分前後であることがわかります。
ちなみに早期優遇退職(企業がリストラの一環として退職希望者を募るもの)では退職金の上乗せが含まれるため最も水準が高くなっています。
一方で自己都合退職では減額措置が取られるため、約30か月分を下回る水準となっています。
受け取れる退職金の額は企業の規定、企業規模、退職理由、勤続年数、学歴、業種などによって大きく異なります。
退職金相場をより具体的に知りたい方は下記の記事に6つのケース別でご紹介しておりますので、ぜひこちらも参考にしてください。
ケース別・退職金の計算方法
ここからは本記事の前半でお伝えした4つの退職金制度別に計算方法をご紹介します。ぜひご自身に当てはめて計算してみてください。
退職一時金
まずは退職一時金の計算方法です。これにはいくつか計算方法があるため、ここでは代表的な4種類の計算方法をご紹介します。
定額制
定額制は、勤続年数によってのみ退職金の額が決まる方法です。たとえば勤続年数が10年なら100万円、20年なら250万円、などとあらかじめ支給額が決められており、成果や役職は加味されません。
実際の金額は就業規則や退職金規程によって異なるためチェックしてみてください。
基本給連動型
次に基本給連動型です。これは勤続年数の他、退職時の基本給(企業によっては退職理由や役職も含まれる)も加味して退職金の額が決まるものです。
支給係数は企業ごとに異なりますが、基本的には勤続年数に応じて上がっていくケースが多く、退職理由も加味する際には会社都合で×1.0、自己都合で×0.8(会社都合の場合よりも2割減る)などと設定している企業が多いです。
計算例は下記になります。
<前提となる支給係数>
勤続年数における支給係数
└勤続3年目:1.8
└勤続10年目:10
└勤続20年目:20
退職理由における支給係数
└会社都合退社:1
└自己都合退社:0.8
<計算例>
(1)勤続3年目、基本給25万円、自己都合退職
└25×1.8(3年目の係数)×0.8(自己都合)=36万円
(2)勤続10年目、基本給30万円、自己都合退職
└30×10(10年目の係数)×0.8(自己都合)=240万円
(3)勤続20年目、基本給40万円、会社都合退職
└40×20(20年目の係数)×1(会社都合)=800万円
別テーブル制
次に別テーブル制です。これは勤続年数に応じて基準額が設定されており、役職や等級、退職理由をもとに作成された表(テーブル)をもとに計算します。
先ほどご紹介した基本給連動型では基本給を軸にしていましたが、こちらでは役職や等級が軸になっています。計算例は下記になります。
<前提となる支給係数>
役職別基準額
└一般社員:70万円
└課長:100万円
└部長:180万円
役職別支給係数
└一般社員:0.8
└課長:1.2
└部長:1.6
退職理由における支給係数
└会社都合退社:1
└自己都合退社:0.8
<計算例>
(1)勤続3年目、一般社員、自己都合退職
└70×0.8(役職別の係数)×0.8(自己都合)=44.8万円
(2)勤続10年目、課長、自己都合退職
└100×1.2(役職別の係数)×0.8(自己都合)=96万円
(3)勤続20年目、部長、会社都合退職
└180×1.6(役職別の係数)×1(会社都合)=288万円
ポイント制
次にポイント制です。これは退職時の基本給、勤続年数、退職理由、人事評価などをもとに在職1年あたりのポイントが決められ、最終的な累計ポイント数に応じて金額が決まるものです。計算方法は下記になります。
<前提となるポイント・係数>
1ポイントあたりの単価
└1万円
勤続年数・加算ポイント
└勤続一年ごとに+10ポイント
役職別・加算ポイント
└一般社員:なし
└課長:10ポイント
└部長:20ポイント
退職理由における支給係数
└会社都合退社:1
└自己都合退社:0.8
<計算例>
(1)勤続3年目、一般社員、自己都合退職
└10(勤続年数による加算ポイント)×3年×0.8(自己都合)×1万円(ポイント単価)
=24万円
(2)勤続10年目、課長、自己都合退職
└10(勤続年数による加算ポイント)×10年×0.8(自己都合)×1万円(ポイント単価)
=80万円
(3)勤続20年目、部長、会社都合退職
└10(勤続年数による加算ポイント)×20年×1(会社都合)×1万円(ポイント単価)
=200万円
退職金共済
次に退職金共済についてです。これは月額掛け金×納付月数によって決まります。
月額掛け金は中退共(独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部)の場合、5,000円~3万円の間に16種類あり、企業が勤続年数などによって掛け金を決定します。
中退共の「基本退職金額表」を基にすると、計算例は下記の通りとなります。
<計算例>
(1)勤続4年目
└掛け金1万円×48か月+1.0%(利回り)=48万1,700円
(2)勤続10年目
└掛け金1万円×120か月+1.0%(利回り)=126万5,600円
(3)勤続20年目
└掛け金1万円×240か月+1.0%(利回り)=266万6,600円
確定給付年金(DB)
確定給付年金の給付額も上記の退職金共済と同様、掛け金月額×納付月数で決まる他、月額掛け金を企業ごとに決定しています。
またこの後「確定拠出年金」とは異なり、受け取れる額が運用成果によって変動することはありません。
<計算例>
(1)勤続10年目
└掛け金1万円×120か月+利回り
(2)勤続20年目
└掛け金1万円×240か月+利回り
確定拠出年金(DC)
最後に確定拠出年金です。こちらも上記と同様掛け金月額×納付月数で決まります。
運用を事業主あるいは社員個人が行うことになり、運用が成功すればその分受け取れる額が増えますが、もし失敗すれば受け取れる額は減ります。
<計算例>
(1)勤続10年目
└掛け金1万円×120か月+利回り
(2)勤続20年目
└掛け金1万円×240か月+利回り
退職金には税金がかかる?
退職金は「退職所得」として税金が課せられます。ここでかけられる税金は「所得税」「住民税」の2つです。
退職金の中でも退職一時金については受け取る額が大きくなりやすく、その分かかる税金も高くなる可能性がありますが、所得税については「退職所得控除」を受けることで退職金にかかる税は軽くなるように配慮されています(計算式上、結果的に住民税の負担も軽くなることになります)。
その他、他の所得とは別に課税されるため余計にお金を納める必要はありません。控除を受けるには「退職所得申告書(所得税法第203条1項各号の定めによる申請書)を職場に提出する必要があります。
提出後は職場に手続きを進めてもらえるため、退職一時金を受け取った後に源泉徴収などを申請する必要はありません。
控除額・課税対象額の計算方法
では、具体的な控除額、課税対象額はいくらくらいになるのでしょうか?計算方法は下記になります。
(1)勤続年数が20年以下の場合
└勤続年数×40万円
(退職所得控除額が80万円未満の場合には、80万円)
(2)勤続年数が20年以上の場合
└(勤続年数-20)×70万円+800万円
※勤続年数は1年未満の端数を切上げて計算
※参考元:人事院「退職手当制度の概要」
上記の計算方法で控除額が算出されます。課税対象額は(退職金-控除額)×1/2で算出されます。たとえば下記のような計算式になります。
(1)勤続10年、退職金240万円の場合
└(10年×40万円)=-160万円
→退職金240万円は控除額400万円以内に収まるため、税金はかかりません。
(2)勤続30年、退職金2800万円の場合
└(30年-20)×70万円+800万円=1500万円
→1500万円までは税金がかからず、課税対象となるのは(退職金2800万円-1500万円)×1/2=650万円となります。
退職金にかかる具体的な税額を知りたいという方は、下記の記事にて詳しくご紹介しておりますのでぜひこちらも参考にしてください。
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