歩合制とは?採用している業界&職種、メリット&デメリット、注意点を公開!
求人を眺めていると、「歩合制」というワードを見かけた事はないでしょうか。
「確か、頑張るほど収入が上がるんだよね?」と、関心を抱いている人もいるかもしれません。
本記事では、歩合制とは何なのか?どんな仕事が歩合制を取り入れているのかを解説しています。
歩合制とは?
歩合制とは、自分の成績や成果に応じた「歩合給」が支払われる給与制度の事です。
頑張りがダイレクトに給与額に反映されるため、高収入を狙う人は特に歩合制のある企業に魅力を感じやすいといえます。
支給額を決める基準は様々ですが、営業やドライバー職、エステティシャンなど直接ものやサービスを売る職種だった場合、売り上げの何割かが歩合給として支給される事が多いようです。
そして、「自分が売り上げた金額の何%が歩合給となるか」を指すのが「歩合率」です。
企業によって歩合率は異なるため、歩合制を採っている企業に応募する際にはしっかりと確認しておきましょう。
また、歩合制は主に「固定給+歩合給」「完全歩合制」という2つの給与形態に分かれています。本項目では、この2種の違いやそれぞれの気をつけたいポイントを解説していきます。
固定給+歩合給
「固定給+歩合給」という形態は、毎月固定の給与に加えて、成績に応じた歩合給が支払われる形態です。
成績に関わらず一定の生活レベルを保つ事ができますが、固定給が高く設定されている場合は歩合率が低めに定められている事が多いようです。
好成績を保つ事に自信がある!という場合は、固定給が低めでも歩合率がいい会社を選ぶのもよいでしょう。
正社員ではこの形態で働く事が一般的ですが、そもそも正社員の場合には、完全歩合制であるとして最低賃金を下回る額を支給する・給与を支給しない事は違法行為にあたります。
企業側は保障給と呼ばれる「通常の実収賃金と余り隔たらない程度の収入(一般的には直近3ヵ月に支給した給与の60%)」、低い場合でも最低賃金×勤務した時間分の給与を支払わなければなりません。
従って、正社員が完全歩合制で雇用される事は本来できないのです。
歩合制を採用している求人を探す際には、法に触れるような内容ではないか十分に注意すべきでしょう。
完全歩合制(フルコミッション)
先にお伝えした、一定の固定給が支払われる形態に加えて、完全に仕事の成果によって収入が変動する「完全歩合制」という働き方もあります。この形態は、「業務委託」と呼ばれる事が多いでしょう。
業務委託とは、外部の人間に業務を依頼する事を指す俗称です。
雇用関係ではないため、発注した側と引き受けた側は対等な関係であるとみなされます。
また、業務委託という呼称は正式ではなく、厳密には「準委任契約」「請負契約」のどちらかを指します。
このうち完全歩合制がどちらに該当するかといえば、勤務時間ではなく「成果を発生させる事」により支払額が決定する「請負契約」でしょう。
仕事に取り組み成果を上げただけ収入が上がる一方で、病気などで勤務ができなかった場合には収入がゼロになってしまう月もあります。
そのため、アルバイトなどと同じくローンを組む際に不利になりがちな勤務形態である点にも留意しておきたいところです。
歩合制のメリット&デメリット
歩合制は成果を上げた分が収入に反映される魅力的なシステムです。しかし、歩合制ならではのデメリットも同時に存在しています。
就職・転職先に歩合制の環境を希望する際には、長所と短所をしっかりと把握し、比較検討を行う事が大切です。
本項目では、歩合制で働く上で考えておきたいメリット・デメリットをそれぞれ3点紹介していきます。
メリット
まず、歩合制の最も大きなメリットとしては「いくらでも収入を増やしていける(場合が多い)」事が挙げられます。
成績が直接翌月の給与に反映されますので、やっただけ確実に評価されたいと考える人にとって歩合制は嬉しい制度と言えるでしょう。
ただし、企業によっては歩合給として支給される額に上限が設けられている事があります。
「めざましい成果を上げたにも関わらず、先月と給与が変わらなかった…」とがっかりする事になると、モチベーションの低下にダイレクトに繋がってしまいがちです。
入社前に直接は尋ねにくいかもしれませんが、歩合率と併せて応募企業がどのような形式の歩合制を採っているかしっかりと下調べはしておきたいところです。
2つ目のメリットは「仕事に対する意欲を高く保ちやすい」事です。
前述の通り、仕事ぶりによっては高い収入を得やすいのが歩合制の特長です。
特にフリーランスのイラストレーター、モデラーなどものづくりに従事する人たちは成果が可視化されるため、さまざまな人の目にクオリティの高い成果物が触れるほど次の仕事に繋がりやすくなります。
そのため真摯な取り組み方が身に付きやすく、また「これだけ評価された」と、能力に自信を持てるようにもなるでしょう。
3つ目は「時間を柔軟に使える事」が挙げられます。
歩合制の勤務形態では成果を上げる事が最重要であるため、出社をあまりせずに直行・直帰で仕事をしているという人もいます。
特に完全歩合制である場合は、自分で「今月はここまで稼ぐ」という目標を定めておき、その進捗により仕事量を調整するという事もできるでしょう。
ただし、ごく自由な環境では厳密に「〇時から✕時まで働く」という規定が存在しないため、自己管理がしっかりできる人でなければタスクを着実にこなす事は難しいと言えます。
デメリット
次に考えていきたいのは、歩合制のデメリットについてです。
まず1点は、「成績が悪い場合は収入が少なくなる」事。
成績が良かった月の翌月は多額の給与を手にする事ができますが、反対に全くふるわなかった場合は収入が少なくなってしまいます。
周囲が好成績を収め、多額の歩合給を受け取っているのに自分はほぼ固定給のまま…といった状態が続くと、給与額も少ない上に自信を喪失してしまいがちです。
売り上げが伸びなくてもめげずにニーズの研究をし、試行錯誤を続けていける人が伸びやすいといえます。
2つ目のデメリットは「不和を生みやすい」事です。
先述の通り、個人の成績により給与が支払われる歩合給制度は、収入を増やすために個々人が努力する事により業績が伸びやすい事が特長としてあります。
しかし、そのために部署内で仕事の取り合いになってしまったり、自分より良い成績を上げて高収入を得ている同僚を妬んでしまったりと職場環境がギスギスしたものとなってしまう可能性があります。
多少職場内の空気が悪い時があっても、人は人、と徹底した個人主義を貫ける人が向いていると言えるでしょう。
最後に挙げるのは「若手社員が育ちにくい」事です。
一般的に、歩合制はそれぞれの成績に合わせて給与に歩合給を上乗せします。
後輩社員が力をつけて精力的に仕事をこなし始めると、それは既存の社員の給与を脅かす存在となりかねません。
そのため歩合制を導入している企業では、新入社員の教育について積極的でない社員が少なくないのです。
もちろん働く環境はそれぞれ違い、先輩社員が親切な企業もあるはずです。
しかし、右も左もわからずに現場に入り、成績が伸びないため収入も伸び悩み「頑張っているのにな…」と挫折を味わって退職する若手社員も多くいるのが現状と言えます。
「歩合制でどんどん収入を増やしていきたいけど、まだ仕事に自信がない」という場合は、まず目指す職種の中でも歩合率が低めに設定されている仕事や歩合制を取り入れていない企業を選び、競争が少ない環境でじっくり経験を身につけるのも良いでしょう。
歩合制の給与の算出方法
歩合制の給与の計算方法は、一概には定められない事がほとんどです。細かい金額や内訳は企業がそれぞれ設定しており、職種によっても左右されます。
例えば、トラックドライバーであれば会社の定めた運賃や、高速道路利用の費用などの交通費によって報酬が決定されます。
営業やタクシードライバーであれば売り上げの何割かが歩合給として支給される場合が多いでしょう。
一般的には後者の、売り上げ×歩合率の額となる事がほとんどです。そのため、商品単価が高いだけ1件あたりの歩合給は高くなる傾向にあると言えます。
歩合制を採用している職種
歩合制といえば営業の印象が強いかもしれませんが、この給与形態を採用している職種には様々なものがあります。
例えば、美容室やネイルサロンに行った際には特定のスタッフを「指名」するかを選べる事が殆どです。
これも歩合制の一種で、顧客に担当者として選ばれるだけ歩合給が支給される仕組みとなっているのです。
本項目では、特に歩合制を採用している事が多い職種3つを紹介します。
営業職
歩合給がもらえると聞いて、ほとんどの人がイメージするのは営業職ではないでしょうか。
先にもお伝えしましたが、特に取り扱う商品が高額となる不動産業界の歩合給は高くなる傾向にあり、求人情報を眺めただけでも「年収1000万」「2000万」という給与例が散見されます。
ただし、営業職には毎月のノルマが設定されている場合があります。厳しい環境の場合、ノルマの達成が難しいと職場内での立場が厳しくなってしまう可能性も否めません。
営業職での就職を考えるならば、営業ノルマの有無や営業の種類をよく確かめておく必要があるでしょう。
広告などから申し込みや来店があった際に営業活動を行う「反響営業」、決まった取引先を訪問して商品やサービスの提案をする「ルート営業」など営業の形式にも様々な種類があり、さらに個人向けか法人向けかなどによって細分化されています。
どういった営業が向いているかは個々人によって違ってきますので、営業職を目指す場合には特に詳細な自己分析が不可欠となってくるでしょう。
ドライバー
歩合制を採用している職種の中で、もっとも一般的なのがドライバー職といえます。そして、ドライバー職と言われて多くの人が想像するのが、タクシーもしくはトラックの運転手でしょう。
しかし運ぶのがモノであっても人であっても、「働くほど収入が上がる」傾向にある事は同じです。
タクシードライバーであれば乗客を乗せて走った距離、トラックドライバーであれば積荷の量や走行距離、もしくは会社の定めた運賃によって歩合給が決定される事が多いようです。
ドライバー職、特にトラックドライバーは人と話す必要がほとんどなく、また好きなタイミングで休憩がとれるため自由な働き方であるという印象もあります。ただし、それなりに大変な点も少なくありません。
タクシーの場合はいくら走っても乗客が見つからなければ収入が上がらないため、働いた時間に対して収入が見合わないという場合もあります。
また、トラック運転手の場合は運ぶ荷物の積み下ろしをしなければならず、力仕事の側面もあります。体力に自信がない場合、慣れるまでが大変と言えるでしょう。
フリーランスのクリエイティブ職
フリーランスで仕事を請け負う場合、特にライターやイラストレーター、モデラーなどのクリエイティブ業に従事する人は歩合制となる事が多いでしょう。
1文字あたり何円で記事を書く、このサイズのカラーイラストが1枚何円…など、自分で定めた単価で仕事を請け負う事もあれば、依頼側が定めた金額に従う事もあります。
「自宅で作業する事がほとんどであるため、人の目がない場所で気楽に仕事ができる」、「実績がわかりやすく可視化される」などの利点がありますが、やはりネックもあります。
依頼主が納得するようなものづくりをしなければならないため、修正(リテイク)を要求される場合も多々あります。
度重なるとそれが大きなストレスとなってしまう可能性がありますので、息抜きを上手にできる、もしくは「リテイクは〇回まで」とハッキリ主張ができる人が向いている仕事と言えるでしょう。
歩合制の仕事に就職・転職したいならエージェント!
多少のデメリットは避けて通れないものの、仕事をこなしていく事で目に見える成果を得られる歩合制にはやはり魅力があります。
それに惹かれて、「固定給+歩合給がもらえる仕事をしてみたい…」「いずれ完全歩合制で自由に仕事をしたい」と考えている方にすすめたいのが就職・転職エージェントの利用です。
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社内の担当者が直接企業に訪問している場合が多く、歩合率や職場環境などの応募者からは聞きにくい情報も共有してもらえるでしょう。
また、求職者の希望条件を踏まえた上でマッチする求人を紹介してくれるため、「歩合制で働いて年収1000万を狙いたい」など、目標を思い切って伝えてみる事が利用のコツです。
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