雇用保険加入期間はどれくらい?失業手当受給の条件と手続きとは?
失業中の雇用保険加入者が就職活動を円滑に行うため、手当金が支給される公的制度がある事をご存知の方は多いでしょう。
ただし受給にはいくつかの条件があり、雇用保険へ一定期間加入している事もその一つです。
本記事では、失業中に手当金を受け取る条件や受給がいつまで可能なのかを解説していきます。
雇用保険ってなに?
雇用保険とは、大まかに言えば「失業後に再就職を目指す人のための、生活や就職活動の支援」「(高齢者等の)失業の予防、雇用機会の増大」などを目的として施行されている制度です。
この制度で受けられる給付金は大まかに分けて4種あり、失業者となった時に受け取れる「基本手当」のほか、再就職の際に手当金を受け取れる「就職促進給付」、
厚生労働大臣指定の講座や課程を受ける費用を一部負担する「教育訓練給付」、定年後に再就職した高齢者の生活を補助する「雇用継続給付」などが存在しています。
本項目では、そのうち「基本手当」について解説していきます。
失業手当とは?
失業者が一定の期間手当金を受け取れる制度は、一般的には「失業手当」と呼ばれています。
しかしこれはハローワーク等で使われる名称ではなく、正式には「基本手当」と呼ばれます。
受給について調べる際に「失業手当と基本手当はどう違うの?」と戸惑ってしまうかもしれませんが、まずこの2つに違いがない事を覚えておきましょう。
そして、失業者とはハローワークの定義によると
・積極的に就職しようとする意思があること。
・いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること。
・積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと。
の3つを満たした人を指します。
この3つに該当した上で、失業した際に一定の条件を満たしていれば、求職中の一定期間は手当を支給してもらえます。
失業手当をもらえる条件とは?
失業者を対象に支給される手当金が失業保険ですが、「失業者」の定義に当てはまれば誰でも受給できるというわけではありません。
他にも受給要件として定められている事柄があり、それに該当しない場合は失業手当の受給対象外となります。
まず、「失業者」に該当する事に加えて一定期間の雇用保険への加入が必要となります。
この雇用保険への加入義務があるのは労働者ではなく事業者側で、事業者には労働者をひとり雇用する毎の加入が義務付けられています。
これは正社員に限った話ではなく、アルバイト・パートなど非正規での雇用を行った場合も、週20時間以上・31日以上の雇用が見込まれる労働者については雇用保険への加入の義務があります。
例外として任意加入となるのは農林水産業(個人経営のうえ従業員がほぼいない場合)などですが、原則加入していると考えてよいでしょう。
雇用保険に加入していれば、給与明細に保険料が差し引かれた旨が記載されているはずです。
しかし中には保険料を徴収しておきながら雇用保険に加入していない悪質な事業者も存在するため、しっかりと確認しておく事が大切です。
加入条件を満たしているにも関わらず未加入である事が発覚した場合、すぐに近くのハローワークへ相談しましょう。
そして、前述の通り「働く意思があり、働ける状態であるにも関わらず就業できていない」事が「失業者」と認められる条件です。
そのため、失業手当の受給にはハローワークにて定期的に求職活動を報告する必要があります。
この報告を怠ると受給に支障が出ますので、忘れないように意識しておく事が大切です。
自己都合で退職する場合
自己都合で退職する場合は、離職日から数えて過去2年間のうち12か月を雇用保険に加入した状態で過ごしている事が条件となります。
自己都合退職とは、例えば仕事に不満が生じたために退職した、転職のために退職したなどの場合が該当します。
ただし、ハラスメントを受けた、ケガをした、あるいは身内の介護の必要が生じたなどの理由で自ら退職を選んだ場合は「特定理由離職者」として、給付日数などの面で優遇される場合があります。
どちらに該当するか不明な場合は、まずハローワークへ相談してみましょう。
会社の都合で退職する場合
会社都合での退職とは、端的に言えば解雇や、事業所の移転などにより通勤困難になり離職せざるを得なくなったなどのケースが挙げられます。
この場合は離職前の1年間で6ヵ月を被保険者であった場合に失業手当を受給する事ができます。
また、多くの場合は「特定受給資格者」として、特定理由離職者と同じく給付日数の優遇を受けられる事も覚えておきたいところです。
とはいえ、早い段階で次の就職先を見つけておく事が大切である事に変わりはありません。
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失業保険の給付額、給付日数とは?
失業中の生活を補助するものとしてある失業保険ですが、失業状態であればいつまでも受給できるというわけではありません。
失業手当を受給できる最大日数は定められており、その日数を「所定給付日数」といいます。
所定給付日数は離職理由や離職時の年齢によって異なりますので、本項目で支給額と併せてしっかりと確認しておきましょう。
給付額の計算方法
給付額は、離職時の年齢と離職前3ヵ月の給与額によって算出されます。
給付率は45%~80%の間で決定され、離職時の年齢や賃金に左右されます。
自身が受け取れる基本手当日額の目安を知るには、まず賃金日額(過去6ヵ月間の、賞与等を除いた賃金の平均)を算出する必要があります。
計算式は賃金日額(離職前6ヵ月の総支給額÷180)×給付率となりますが、支給される額には年齢に応じて上限が設けられています。
給付日数は「自己都合」と「会社都合」、年齢で異なる
自己都合で離職した場合と会社都合では受給要件が異なる事は前述の通りですが、手当を受けられる日数も異なります。
何日間の給付を受けられるのか気になる…という場合にはぜひこちらの記事もチェックしてみてください。
失業手当受給の手続きの方法
さて、失業手当受給の資格を有していると推測できる場合ですが、どのような手続きを踏めば受給が可能なのでしょうか。
本項目では、失業手当受給のための手順を解説していきます。
必要なもの
まず初めて失業の申請をする際に提出を求められるもの、必要な持ち物を(1)~(3)を本項目で確認しておきましょう。
(1)マイナンバー確認資料 ※下記から1つ
- ・マイナンバーカード
- ・マイナンバー通知カード
- ・マイナンバーが記載された住民票の写し
(2)身元確認資料 ※下記から1つ、有効期限内のもの
- ・運転免許証
- ・パスポート
- ・住民基本台帳カード
- ・マイナンバーカード等、官公署が発行した写真付き身分証明書
(3)手続きに必要な書類など
- ・雇用保険被保険者離職票-1
- ・雇用保険被保険者離職票-2
- ・申請者本人のはんこ(認印可。ただしスタンプ印は不可)
- ・写真 2枚(縦3cm×横2.5cm)
- ・本人名義の通帳又はキャッシュカード(※普通口座。一部利用不可。)
- ・船員保険失業保険証 又は船員手帳(※失業者が船員の場合のみ)
以上が申請時に必要な持ち物です。
なお、雇用保険被保険者離職票-1の個人番号欄はハローワークの窓口で記入する事となっているため、前もって書き込まないようにしましょう。
また雇用保険被保険者離職票-2を複数枚持っている場合は、短期間の離職であってもすべて持参しましょう。
(2)を提出できない場合は?
下記のうち異なる2種類と、(3)を持っていきましょう。
- ・児童扶養手当証書
- ・住民票記載事項証明書
- ・健康保険被保険者証
手順
まず、離職後は速やかにハローワークで申請を行います。
現在離職中であるかの確認のために設けられた7日間の待期期間を経て、「失業認定」を正式に受ける事となります。
初めての失業認定以降、4週間ごとの認定日にハローワークを訪れ、直近4週間の求職状況や就労についてを報告する事となります。
認定後、5営業日以内に4週間分の失業手当が振り込まれますが、自己都合退職の場合は初回の流れが少々異なります。
会社都合での離職とは異なり、自己都合退職の場合は3ヵ月の給付制限期間があるのです。
この間は失業手当は給付されませんが、申告を行えばアルバイトをする事が可能です。
失業手当受給中は求職活動を行いながら就職活動やアルバイトについての報告を繰り返し行い、再就職した際はすみやかにハローワークへ申告し受給を終了します。
1/3以上の給付日数を残した状態で再就職した場合、申告する事で再就職手当を受け取る事が可能です。
一方で、就労していながら失業手当を受ける事は不正受給にあたり、重いペナルティを受ける場合もありますのできちんと報告を行いましょう。
注意点
失業手当の受給申請をするにあたっては、注意すべき点がいくつか存在します。
まず1つ目に「失業申請を行う曜日」に気をつけなければいけません。
多くの場合、申請を行った日から4週間ごと、決まった日にハローワークを訪問しなければなりません。
体調不良やアルバイトなどで予定が変わった際には申請をする事で日程変更が可能ですが、あくまで例外として認められているにすぎないため極力指定された日に訪問するよう心がけましょう。
次に留意しておきたいのが、「失業手当を受給した場合、それまでの被保険者期間がリセットされる」という事。
もし失業手当を受給せずに再就職した時、離職と再就職の間が1年未満だった場合には前職と現職の被保険者期間をつなげてカウントする事ができます。
ですが受給した場合、前職までの被保険者期間を次の受給時に数える事はできなくなるのです。
もし早々に再就職先が決まりそうで、金銭的にも多少余裕がある…という場合には、失業手当を受給せずに被保険者期間を温存するという方法をとる事もできるのです。
失業手当受給を考える際には、検討してもいい点と言えるでしょう。
最後に挙げられるのは、「受給可能期間には限りがある」という点です。
通常、申請・受給問わず離職から1年経つと受給資格が失われてしまいます。
極端な例として、給付日数が90日間だったとしても、離職から270日目に申請したとします。
3ヵ月の猶予期間があり、支給され始めるのが340日め。
およそ25日で1年が経過してしまい、受給できるのは25日分となってしまいます。
そのような事態を避けるためにも、失業手当を受け取ろうと考えている場合は離職後すみやかにハローワークへ申告しましょう。
出産や病気、介護などですぐに働けない状態にある場合はこの期間を延長する事ができますが、その場合にも報告が必要です。
おわりに、「仕事探し」って実は難しくないんです
新たな環境に身を置こうと考えたとき、誰しも必ず「不安」と出遭うことになります。
本当に自分のやりたいことができるのか、よくない意味での「想像とのギャップ」はないだろうか、自分で務まる業務内容なのだろうか...。
「仕事探し」というものがとてつもなく難しいものに思え、孤独を感じている人もいるのではないでしょうか?
でも、「仕事探し」って実は難しくないんです!
仕事を決めるときに必要なのは「自分の良いところを武器に前向きにぶつかること」、言ってしまえばこれだけなんです。
「でも自分に良いところなんてないよ~…」なんて嘆いているそこのあなた!長所や強みは誰しも絶対にあります。可能性のある存在を否定するほどもったいないことはありませんよ。
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