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無能な働き者とは?まずい特徴5つ・脱却できる行動3選

「無能な働き者」という言葉を見聞きした時、どのような印象を受けるでしょうか。一見語気の強い罵倒にも思えますが、実はれっきとしたビジネス用語として知られているのです。

社会で働く上で周囲の評価が絶対的なものではありませんが、ある程度の評価を得られないと仕事に支障を来たすばかりか自身の成長を阻害し兼ねません。

本記事では無能な働き者について理解を深めて、自分がそうならないためのポイントを押さえましょう。

無能な働き者とは

「無能な働き者」の概要

無能な働き者という考え方が初めて確認出来るのは、ドイツの軍人であるハンス・フォン・ゼークトが記した「組織論」の中だとされています。

組織論の中では軍人を4つのタイプに大別し、それぞれの特徴に適した職務と問題点の対処法が提示されていました。

ゼークトは働き者の特性を「利口」「勤勉」「愚鈍」「怠慢」の4つに分類した上で、組織における4タイプの人間はそれぞれ2つの特性を持ち合わせているとしています。無能な働き者とは、この4タイプのうちのひとつなのです。

概念としての起源

無能な働き者という言葉自体はゼークトが直接記した言葉ではないとも言われています。

この概念が広がり始めたのも、同じくドイツ軍人だったエーリッヒ・フォン・マンシュタインがゼークトの組織論から考え方を引用してからです。

一説には組織論での記述はエーリッヒ・フォン・マンシュタイン=エクヴォルトの発言を参考にしたものであるともされているため、無能な働き者という概念の起源についてはやや曖昧なものであるという認識を持っておきましょう。

組織論の4タイプ

組織論では内部の人間を「有能な怠け者」「有能な働き者」「無能な怠け者」「無能な働き者」の4つにカテゴライズしています。まずはこれらのカテゴリーがそれぞれ何を意味しているのかを理解していきましょう。

有能な怠け者

組織論では「利口」と「怠慢」の要素を持った人材を「有能な怠け者」と評しています。このタイプは判断力と決断力に優れているとされており、軍部の中では高級指揮官が適職です。

マネジメントスキルに長けている一方で、自分が直接動くことは好まないので現代社会における一般企業では企業経営者や幹部クラスの役員といったポジションがマッチするでしょう。

怠け者と聴くとあまりイメージが良くないかもしれませんが、持ち前の能力で「周りの人材を活かす」ことができる人材が有能な怠け者なのです。

有能な働き者

組織論の中で語られている人材の4つの中で、ポジティブな要素となっているのは「利口」と「勤勉」であると言えるでしょう。

そして、この2つの特性を兼ね備えた人材が「有能な働き者」です。軍部の中では参謀将校としての素質がある人材とされています。

判断力や決断力に優れているだけではなく、自ら積極的に行動してタスクをこなすという点が特徴的です。

一般企業で言うと政策秘書や中間管理職などが有能な働き者に適したポジションであり、経営層のサポートを行う右腕となって活躍することが期待できます。

無能な怠け者

ただの悪者ではない

「愚鈍」と「怠慢」という特性を持つ人材は組織論において「無能な怠け者」とされています。判断力や決断力を備えている訳でもなく、主体性を持って積極的に動くこともしないタイプです。

一見すると組織においては嫌がられる人材に映るでしょう。しかし、ゼークトが提唱する組織論においてはこの無能な怠け者は単なる悪者ではないとされています。むしろ、軍人の90%はこの無能な怠け者であるとしているのです。

「無能な怠け者」が重要な理由

マネジメント力や積極性を持たない無能な怠け者には、それでも与えられたタスクはしっかりとこなすという特徴があります。

そのため、軍部の中では命令に忠実な兵士として活躍するポテンシャルを秘めているのです。どれだけ優れた作戦が計画されたとしても、それを正確に実行するための人手がなければ遂行するには至りません。

これは一般企業にも当てはまることであり、経営層や企画部が立案したプロジェクトを実現するためには人手として役職を持たない多くの一般社員が必要になります。

指示に忠実であるため意見の衝突なども起こりにくく、管理職としてもやりやすいタイプなのです。

無能な働き者

無能な働き者の立ち位置とは

本稿で焦点を当てている「無能な働き者」には「愚鈍」と「勤勉」の特性が備わっています。

実はゼークトが唱えた組織論においては、この無能な働き者というタイプが組織内で最も厄介であるとしているのです。

無能な働き者は判断力や決断力に乏しい一方で、自ら積極的に動こうとする姿勢は持っているという点が特徴となります。

そのため、管理職やリーダーからの指示を待たず、自分の判断で自発的に行動を起こすケースが少なくありません。

本来であれば従業員の自発性は喜ぶべきポイントですが、無能な働き者は的確な判断力がないため誤った行動で組織に悪影響を及ぼしてしまうのです。

組織論において無能な働き者は、責任のあるポジションに置くべきではないとされています。

無能な働き者は珍しい存在ではない

そこまで規模が大きい訳ではない中小企業においても、無能な働き者という存在は珍しくありません。

例えば「正しい判断力(ノウハウ)がない」「マネジメント力がない」「積極性(やる気)はある」といった特徴は向上意欲の低いベテラン社員のみならず、入社して日が浅い新人社員にも当てはまるケースも多いです。

特例として捉えるのではなく、自分にもその可能性があるという危機感を持って行動する事が大切と言えるでしょう。

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無能な働き者の特徴5選

会社内の危険因子となり得る無能な働き者ですが、その行動パターンには一定の法則性や特徴が見られます。

当人に悪意がなかったとしても、無能な働き者が周囲に与えてしまう影響は看過できません。

自分の振る舞いを見直すという意味でも、無能な働き者の特徴はしっかり押さえておきましょう。以下に私たちが導き出した無能な働き者の代表的な特徴を5つ紹介します。

自己判断で行動する

独断先行による周囲への影響

無能な働き者には自発性や積極性が備わっており、個人の自己判断で仕事を進めてしまいがちという大きな特徴があります。

この時「自分は正しい」と思い込んでいるケースがほとんどであり、同僚や上司に相談するという選択肢がそもそも本人にないのです。

会社とは基本的にチームで仕事を進める場所であり、独断で業務を進めると周りの仕事のペースを乱してしまうリスクがあります。

正しい判断ができない状態であればなおさらであり、仕事が遅れるどころか余計な仕事を増やしてしまうこともあるでしょう。

人間関係への影響も

社会人は原則として「報告」「連絡」「相談」をまとめた「報連相」を心得ておく必要があります。

これは業務をスムーズに進行するだけではなく、従業員間の信頼関係や連帯感を育むために重要なポイントです。

ここで一人の無能な働き者が輪を乱してしまうと、チーム全体の雰囲気が悪くなってしまい人間関係への悪影響が危惧されます。

目前の仕事のクオリティが下がるばかりでなく、今後の組織運営においても大きなリスクになり得るのです。

同じミスを繰り返す

積極性の高さによる過ち

無能な働き者は指示されたことに対して、自分なりにプラスアルファを施して仕事に取り組む傾向があります。

業務のノウハウや判断力が備わっているのであればまだしも、それらが無い状態で仕事に工夫を加えることは効率やクオリティを下げてしまうリスクが高いです。

仕事が終わらない上に上司からは「余計なことをするな」といった具合に叱られてしまうと、当人の仕事に対するモチベーションも下がってしまうでしょう。

同じようなミスを繰り返すと業務能率も上がらないばかりか、当人の成長を見込むこともできません。

無能な働き者は反省しない

ある業務でミスをしてもそれを省みずに改善の姿勢が見られないという点も無能な働き者の特徴です。

自分で反省することもなければ上司や同僚にも相談しない傾向があり、誰からも指摘されなければ何が悪かったのか分からないままというケースも珍しくありません。

症状が酷くなると、周囲からのアドバイスや指摘にも耳を貸さなくなってしまうこともあります。失敗は人を成長させるための材料とよく言われますが、それができないのが無能な働き者なのです。

壁にぶつかったら投げ出す

無能な働き者はその行動力とは裏腹に、自分のアクションに対して責任を負う姿勢が見られないことが多いです。

仕事上で何か大きな壁にぶつかった時、乗り越えようとせずに投げ出して周囲に責任を転嫁してしまいます。

こうした振る舞いも周囲の人間関係に悪影響を及ぼす可能性があり、無能な働き者を嫌った優秀な人材が退職などで流出していまい兼ねません。

ゼークトが無能な働き者を責任あるポジションに置くべきではないとしているのは、こうしたリスクの高さに由来していると言えるでしょう。

自分の過ちを認めない

諸悪の根源である「自分は正しい」

無能な働き者が持つ害悪性には一貫して「自分は正しい」という考え方が根付いています。頑として自分の過ちを認めないため成長できず、周囲に迷惑をかけているという自覚を持つこともできません。

むしろ自分は正しく業務を遂行したのに周囲のせいで仕事が台無しになった、自分は被害者であるという認識を持っている場合が多いです。

無能な働き者は周囲からミスを指摘されると怒り出すこともあり、こうなると管理者や上司だけでは手がつけられなくなります。

自身の過大評価

自分は間違っていないという根拠のない自信は、自分自身を過大評価することに繋がります。

自分の実力を正確に把握できていないので、自分一人では対処できない仕事に対しても積極的に単独で取り組もうとしてしまうのです。

前述のように無能な働き者には報連相を行う習慣がなく、指示を待たず独断で業務を進めてしまいます。これは自分の能力を過信しているために起きてしまうことでもあると言えるでしょう。

謙虚な立ち振る舞いが見られない

無能な働き者には、一般的に謙虚な姿勢が見られないと言われています。これも「自分は間違っていない」「自分は有能な人材である」という間違った自負心からくる現象です。

謙虚さを失う事で行動・言動が荒くなり、誰かの悪口を言ったり自分より目下の人間をいびったりするようになります。

こうした傲慢な振る舞いは周囲からの孤立を促してしまい、当人が無能な働き者から脱却しにくくなってしまうでしょう。

「自分は周りから感謝・評価されて当然のハズだ」という思い込みは、仕事上の様々なシーンで当人を暴走させてしまうリスクが高いです。

無能な働き者というステータスは自分や周囲を負のスパイラルに落とし入れる危険性があるので、適切な予防・早急な対策が必要になると言って良いでしょう。

無能な働き者と思われない為の行動3選

無能な働き者には自分がそうであるという自覚がありません。万が一、自分が無能な働き者であったとしてもそれを自分で客観的に把握することが難しいのです。

したがって、無能な働き者にならないためには日ごろから自分の振る舞いに気をつけて、日常生活や仕事の時間を噛み締めながら過ごすことが重要です。

ここからは周囲から無能な働き者と思われないための習慣・行動を3つ紹介します。

報連相を徹底する

無能な働き者にならないためには、まず上司やチームメイトとの報連相を徹底して行うようにしましょう。仕事の進み具合や発生した問題点はすぐに担当者や直属の上司に報告してください。

問題の早期解決は業務効率において重要であるだけでなく、必要な情報をすぐに知らせてくれる人材であるという信頼関係の構築にも繋がります。

スケジュール調整や業務の引継ぎといった連絡は正確性を心がけてください。自分の能力や知識では対処しきれない業務や問題点が発生した場合には、周囲のチームメイトや上司を頼って相談するようにしましょう。

自分一人で仕事が進められないのは恥ずかしいことではありません。仕事とは多くの人間が関わり合って初めて成り立っているという認識を大切にしてください。

問題を抱え込んでしまって事態が手遅れになる方が周囲に迷惑をかけることとなり、自分に対する評価にも悪影響を及ぼすのです。

与えられた仕事の目的を考えて行う

無能な働き者は積極性・行動力には長けている一方で、思考力・判断力に問題を抱えています。

しかし、与えられえた仕事の意味や目的を自分で考えながら取り組むことで、思考力と判断力は養うことが可能です。

そのためには、仕事に優先順位を付けることを習慣化するというのが効果的なアプローチであると言えるでしょう。

「この業務を行う目的は何なのか」「その業務の次にはどんな仕事が来るのか」といった点を明確にして整理することで、優先して行うべき業務はおのずと見えてきます。

ただし、自分で決めた優先順位に少しでも不安が残る場合には、同僚や上司に相談して調整するように心がけてください。

すべてを自己判断で完結させる必要はありません。大切なのは「正しい判断を導くために考えながら働く」ということなのです。

謙虚な姿勢を持ち続ける

謙虚な姿勢は感謝の気持ちから

無能な働き者に足りていないもの、それは「謙虚な姿勢を持ち続ける」ということです。他人を敬い常に向上心を持って仕事に取り組めば、自分が無能な働き者になることはないのです。

例えば、職場で飲み物をもらった時、同僚から仕事のデータを受け取った時など些細なことでも「ありがとう」と一言感謝の意を伝えるように心がけてみましょう。

人間同士の良好なコミュニケーションというものは、一朝一夕で出来上がるものではありません。

こうした日々の積み重ねが徐々に信頼関係と築き上げ、仕事のフォローアップや大きなプロジェクトの実現に繋がるのだと私たちは考えます。

自分の過ちはしっかり認める

無能な働き者でない人は自分のミスから目をそらさず、しっかりと受け止めることができます。「失敗は成功のもと」という言葉にもある通り、同じ過ちを繰り返さないためにはまず失敗を認めることが大切なのです。

過ちを受け入れた後には自分の何が良くなかったのか、どうすれば改善できるのかを考える癖をつけましょう。

また、その際には周囲の同僚や上司からアドバイスを受けることも多いです。こうした助言のひとつひとつにも真摯に向き合い、感謝の気持ちを持って受け止めてください。

まとめ

仕事に取り組む際、最低限のスキルを身につけておく必要はあるでしょう。しかし、スキルの有無に関係なく、仕事に対する考え方や物事の捉え方次第で誰もが「無能な働き者」になってしまう可能性はあるのです。

無能な働き者にならず自分自身の価値を高めるためには、目前の業務を何となく片付けるだけではこと足りません。

大切なのはその先の大きな目標や夢に向かって「謙虚な気持ちで、考えながら働く」ということです。

しかし、明確な目標や夢があっても、長い人生の中では今の仕事が遠回りになっていたり横道に逸れてしまったりすることもあるでしょう。

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