「一身上の都合」とは?使うシーンと注意点、深掘りされた時の対象法は?
「一身上の都合」は退職理由などのプライベートな事情を指す言葉で、個人や身内に関することなど幅広いケースで利用できます。
よく耳にする言葉とは思いますが、このフレーズを使うべきタイミングと使わない方が良いタイミングがあるため注意が必要です。
そこで本記事では、「一身上の都合」の意味や利用シーンをご紹介いたします。少しでも参考にしていただけましたら幸いです。
「一身上の都合」の意味
「一身上の都合」とは、自分の身の上に関するプライベートな事情のことです。
「自分の」という意味がある「一」が付くことで、「自分の身の上」や「自分自身に関する事柄」という意味になります。
主に、退職理由や履歴書・職務経歴書などに使用されている言葉です。
退職理由として「一身上の都合」を使うと、「個人的な事情があり、仕事を辞めたいと考えています」と伝えることになります。
会社側の都合ではなく、病気や転職など個人的な理由で退職を決断したという意味です。
具体的に退職理由を説明するのではなく、個人的な事情による退職であることを曖昧に表現しています。
例えば、退職届には「この度一身上の都合により、勝手ながら20XX年9月1日をもって退職いたします」といった文言が活用できるでしょう。
会社側に退職の意志を示していれば、詳しい退職理由を申告する必要はありません。
退職届にも具体的な退職理由を記載する必要はなく、「一身上の都合」という表現だけで正式な書類を作れます。
どれだけ上司に退職理由を尋ねられても、「一身上の都合」以外の内容は伝えなくても法律上は問題ありません。
「一身上の都合」は個人的な事情だけでなく、身内の事情などプライベートな理由全般に用いることができます。
幅広い場面で使える言葉で転職だけでなく、結婚や病気、家族の介護、家族の転勤に同行するといったケースでも使用可能です。
さらにビジネスだけでなく、日常生活で個人的な理由を言いたくないときに使われることもあります。
例えば、「一身上の都合で引っ越しすることになりました」「一身上の都合で地元に帰ることを考えています」といった言い回しができます。
「一身上の都合」の類義語には「自己都合」や「私事」といった言葉が挙げられます。しかし、退職届や履歴書といったビジネス文書では「一身上の都合」が活用されることが一般的です。
「一身上の都合」を使うシーンは?
これまでの説明で「一身上の都合」の本来の意味は理解していただけたかと思います。では、どのようなシーンで「一身上の都合」という言葉を使うのが正しいかご存知でしょうか?
「一身上の都合」は、どんなときでも使える表現というわけではありません。
ビジネスシーンで一般的に使われる便利な言葉ではありますが、もちろん「一身上の都合」を使うべきではないときもあります。
ここからは、「一身上の都合」を使うシーンと使うべきでないシーンを解説していきます。
「一身上の都合」という言葉の使い方をきちんと理解し、正しいシチュエーションで利用できるようになりましょう。
「一身上の都合」を使うシーン
退職の挨拶をするとき
「一身上の都合」は、目上の人や社外の人と会話するときに活用できます。会社を辞めるときには、お世話になった方に挨拶するのがマナーです。
最後にしっかり挨拶して引き継ぎできれば、気持ちよく退職できるでしょう。目上の人や社外の人に退職を伝える際は、「一身上の都合」という言葉を利用できます。
一人ひとり挨拶回りをするときや、上司や役員がいる前で挨拶スピーチをするときにも便利です。また、メールで退職の挨拶をする際にも、「一身上の都合」と記載しメールを送れます。
メールでの退職挨拶は一斉送信で送ることが多く、目上の人も確認することがほとんどです。
相手から退職理由を尋ねられたら、「スキルアップのため」「新しくやりたいことが見つかった」などポジティブな理由を一言添えましょう。
内定辞退を伝えるとき
内定辞退を伝える際も「一身上の都合」というフレーズを使えます。就職や転職活動中は、複数の企業から内定をもらうことも少なくないでしょう。
そういった場合、入社しないと決めた会社へ辞退の旨を伝えなくてはいけません。詳しい辞退の理由を伝えたくないなら、「一身上の都合で辞退させていただきます」と伝えましょう。
なお、内定の連絡から早いうちに辞退することがマナーです。選考の時間をいただいたお礼とともに、丁重に辞退の連絡を入れてください。
企業に退職の意思表示をするとき
企業に退職の意思を伝えるときも、「一身上の都合」と伝えるだけで問題ありません。
正社員、契約社員、アルバイトなど雇用形態に関わらず、「一身上の都合」を理由に退職することが可能です。
退職届には具体的な退職理由を記載する必要はないため、「一身上の都合」と書くことができるでしょう。例えば、以下のような理由が自己都合の退職に当てはまります。
・スキルアップのための転職
・結婚
・出産または育児に専念するため
・家族の介護
・引っ越し
・新しい仕事にチャレンジしたい
退職理由は人それぞれで、必ずしもポジティブな理由で辞める人ばかりではありません。
退職する方の中には、人間関係が上手くいかなかった、パワハラやセクハラを受けたといった理由で辞める方もいらっしゃいます。
企業に嫌気がさして辞める場合もあるかと思いますが、ネガティブな退職理由を正直に伝えると、辞める側に悪いイメージがつく可能性があります。
正直に退職理由を伝えて職場の雰囲気を壊すと、退職するまで居心地が悪い日々を過ごすことになるかもしれません。
たとえネガティブな理由で退職を決意したとしても、「一身上の都合」を使えば円満に退職できるはずです。
ただし、「一身上の都合」と伝えると会社が嫌だから辞めると推測される可能性もあります。個人面談などで詳しい退職理由を聞かれたら、建前の理由を伝えるのが無難でしょう。
健康上の理由や家庭の事情である旨をさりげなく伝えるのも使えます。プライベートな事情が退職理由なら、しつこく詳しい事情を聞かれにくいはずです。
履歴書への退職表記の際
また、履歴書や職務経歴書に企業を退職した旨を書くときには、一般的に「一身上の都合により退職」と記載します。
面接の際に退職理由を聞かれたら、「一身上の都合」と言わず詳しい退職理由を伝えましょう。
これは同じような理由で退職する可能性がないか、担当した人事が判断する必要があるからです。
「一身上の都合」を使うべきではないシーン
退職するときに個人的な事情を伝えたくないなら、「一身上の都合」を利用すると便利です。しかし場合によっては、「一身上の都合」を使うべきではないシーンもあります。
面接のとき
転職や転職における面接では、前職の退職理由を聞かれることがほとんどです。面接でも「一身上の都合」は使えますが、退職理由を濁すべきではありません。
自分のことを理解してもらうために、できるかぎり退職活動を包み隠さず話すことが大切です。なぜなら、企業側は長く働いてくれる人を探しているからです。
そのため、面接で様々な質問を投げかけることで、自社の職場環境に適していると判断します。
前職と似たような職場環境なら、転職したとしてもすぐに辞めてしまう可能性が高いと考えられるでしょう。
正直な気持ちを伝えれば、退職理由となった問題がないことや、問題解決の方法を提案してもらえるはずです。
ただし、会社に対する不満や愚痴ばかり伝えると、面接官への印象は良くないので注意が必要です。
例えば、人間関係が悪かった場合、「前職は一人で完結する仕事が多かったが、次は周囲と協力しながら業務を進める仕事に就きたい」といった言い回しをします。
正直な理由を答えつつ、ポジティブな理由に繋げるように工夫することをおすすめします。ポジティブな理由にまとめられない場合は、反省点を踏まえて正直な退職理由を伝えましょう。
また派遣社員や契約社員の場合、契約満了で退職するときには「一身上の都合」という表現は使いません。
有期雇用契約は、最初から雇用する契約期限が決まっているため、自己都合にも会社都合による退職にも該当しないということを覚えておきましょう。
有期雇用契約は契約を更新し、雇用期間を延長することもできます。このとき労働者側が更新を拒否した場合も、退職理由は自己都合にはなりません。
契約満了の退職時は、退職届や履歴書などに「契約期間満了により退職」と記載しましょう。
「一身上の都合」を使うときの注意点
「一身上の都合」を使うときの注意点は、自己都合による退職以外に使ってはいけないということです。
「一身上の都合」は個人的な理由のみで用いられる言葉なので、会社都合の退職には使えません。
会社都合による退職とは、企業の倒産や業績不振など会社側の都合で解雇されることです。
ただし、「倒産しそう」「業績が悪くなってきた」と自分で判断して退職した場合は自己都合退職になります。
この場合は履歴書や職務経歴書に「一身上の都合」と書いたり、面接で言わないようにしましょう。
会社側の都合で退職する際、退職届や履歴書には「会社都合による退職」と記載してください。
企業の中には会社都合による退職を認めず、自己都合退職にする悪質なケースが見られます。法律違反となる行為ですが、ブラック企業と呼ばれる企業では可能性がある問題です。
企業は会社都合による退職を避けたいため、勝手に自己都合として処理される可能性も考えられます。
しかし会社に言われたからといって、軽い気持ちで退職理由を変更するべきではありません。退職理由を偽って履歴書に記載すると、経歴詐称となるので注意しましょう。
また退職理由は、失業給付金の給付タイミングや支給期間にも影響が出るので注意が必要です。自己都合の退職の場合、原則として3ヶ月間失業給付金は支給されません。
会社都合の退職より、失業給付金の受給開始日が遅くなるのです。
失業給付金の支給期間にも違いがあり、会社都合の場合は90日〜330日、自己都合の場合は90日〜150日に設定されています。
会社都合の退職は自分の意志で退職した訳ではないため、期間が長めに設けられています。
自己都合と比べて、会社都合で退職した場合は、失業給付金の支給期間が長く支給金額も増えるのです。
そのため、退職理由が自己都合か会社都合かは明確にしておく必要があります。会社都合の退職の場合は、絶対に退職届に「一身上の都合」という言葉を使わないようにしましょう。
「一身上の都合」の詳細を聞かれた際の対処法
退職の意向を伝える際は、企業に詳しい退職理由を伝える義務はありません。しかし企業にしつこく理由を聞かれた場合は、自分が言える内容で退職理由を伝えましょう。
円満に退職したいなら、企業側に伝えにくい本音を避け、建前の理由を伝えても良いと思います。
建前の理由を話すのが苦手な方は、事前に建前用の退職理由を作成しておくことをおすすめします。会社側は職場や上司が原因で辞めるか確認したいと考える場合が多いはずです。
職場環境が原因なら、対策することで人材の流出を食い止められる可能性があるからです。
会社内で決定権を持つ上の立場の人と面談できる場合は、正直に退職理由を話すのも良いでしょう。
その場で留意のための提案をしてくれたり、退職理由に納得してもらい円満退職できるかもしれません。
また、転職先の面接などで質問された場合は、できるかぎり正直に退職理由を伝えるのが内定獲得のポイントです。
面接官に退職理由を伝えることで、同じ理由で辞めてしまう可能性があるか判断してもらいましょう。人事に伝えれば、退職理由に関係する問題を解決してもらえるかもしれません。
転職時に問題を解決できなければ、内定が決まったとしてもすぐに退職してしまう可能性が高いと言えます。そのため、転職の面接では正直に退職理由を伝えることを心がけましょう。
まとめ
特に転職する際には「一身上の都合」という言葉を使うことが多いと思います。一般的によく用いられる言葉ではありますが、使用する際は注意しなければいけない表現でもあります。
特に転職の選考に関わる面接は、「一身上の都合」を含めた退職理由の伝え方が重要です。
不満を抱えて企業を辞めた場合でも、前向きな理由を伝えた方が面接時の印象が良くなります。
愚痴や不満を言うのではなく、「現状を改善するために新しい環境で頑張りたい」など一緒に働きたくなるような言い回しが良いでしょう。
しかし、ネガティブな理由で前職を辞めた場合、なかなかポジティブに考えられないと思います。
面接で退職理由をしっかり伝えられるか不安な方は、転職エージェントのサポートを利用することをおすすめします。
転職のプロに相談することで、ネガティブな理由も好印象に繋がる伝え方を教えてもらえます。
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