面接での「尊敬する人」の答え方・例文|尊敬する人を企業が聞くのはNG?
面接の際、「尊敬する人」について質問をされることがあります。
いきなり聞かれても答えられない人は多いのではないでしょうか。この質問は、どの企業でも必ずあるというわけではありません。
しかし、あらかじめ対策しておいた方が慌てずに済みます。
そこで、今回は「尊敬する人」を面接で聞かれるときの意図や適切な答え方などを説明し、さらに例文をいくつか紹介していきます。
企業が面接で「尊敬する人」について質問する意図
面接の際、企業が尊敬する人について質問するのは意図があります。では、どのような意図なのかいくつか説明していきます。
人物感を把握するため
どのような人物を尊敬するか質問することで、その人がどのようなことを大切にしているか知ることができます。
普段、どのようなことに重点を置いて生活しているのか、また、仕事をするうえでの優先順位なども把握することが可能です。
例えば、尊敬する人に感銘を受けたポイントが他人への接し方だった場合は、「人間関係を重視している人」であることがわかります。
また、変革的なことを成し遂げた人物を尊敬しているなら、「人にはできない新しい分野に興味を持ちやすい人」と捉えることができます。
このように、尊敬する人を質問することで、その人の人物象を把握することが可能なのです。
自分を客観視できているかチェックするため
尊敬する人には、その人自身が投影されていることがよくあります。例えば、自分に似ていると感じる人物に対して親近感を持つ人もいるでしょう。
または、自分ではできずにいることを成し遂げた人物に対して感銘を受け、それが尊敬の念に変わる人もいます。
いずれにしても、尊敬する人に対して何らかの自己投影がされていることが多く、その人が自分を客観視できているかどうかを見ることができます。
説明力をチェックするため
自分が尊敬する人を第三者に対して説明するとき、誰もがその人物について詳しく知っているわけではありません。
まず誰にでもわかるように、その人物のエピソードとその中で感銘を受けた部分、尊敬に至った理由などをまとめる必要があります。
そのため、尊敬する人について質問することで、その人の説明力やまとめる能力を見ることができます。
用件をまとめてわかりやすく伝えるということは、仕事をするうえで大切なことです。尊敬する人は面接官がその場で初めて聞く内容であり、そのため、実際に仕事の場でもどのように説明できる人物なのか判断しやすくなります。
「尊敬する人」の質問は禁止?
実は、面接で尊敬する人について質問をすることは、厚生労働省によって「配慮すべき質問」とされています。
そのため、必ずしも面接で質問されるとは限りません。中には、はじめから省いている企業もあるでしょう。
しかし、あくまで配慮が必要というだけで完全に禁止されているわけではないため、面接で聞かれることも想定して準備しておいた方が無難といえます。
「尊敬する人」の見つけ方
尊敬する人といっても、誰もがすぐに回答できるわけではありません。では、尊敬する人が思い浮かばないときに見つける方法や、どのように説明したらいいかわからないときに解決する方法について解説していきます。
人生のターニングポイントを探す
まず一つめとして、人生のターニングポイントを探すことがあげられます。人は、自分の人生において方向性を変えるようなできごとが起こったときや考え方や行動が変わったとき、誰かの影響を受けることがあります。
その人物について考えていくと尊敬するポイントが回答しやすくなります。過去に何か自分が変わるきっかけがなかったか考えてみましょう。
そして、そのときに実際の行動をとるきっかけになる人物について説明すればいいのです。
自分が大切にしていることから逆算する
自分が普段から大切にしている考えや行動について見つめてみるのもよい方法です。
例えば、普段から人助けを目標にしている人もいるかもしれません。体力に自身がない人は、健康的な生活や弱い部分を克服することを日頃から考えているでしょう。
ところが、思っているだけでなかなか実践できないこともあります。自分が目標にしていて実行できずにいることを実践している人物がいれば、その人を尊敬している理由が回答しやすくなります。
その他
自分の好きなものから彫り探っていくのも、尊敬する人を探すきっかけにできます。例えば、音楽やスポーツといった趣味でもかまいません。
普段から好きで生活に取り入れているものや応援している人に対して、なぜ好きなのか改めて理由を考えてみましょう。
その人物のエピソードを知ることで尊敬につながることが見つけられる場合もあります。
尊敬する人は、著名な人だけに限定されるわけではありません。誰もが知らない身近な人の中にも尊敬できる人物はいます。
尊敬する人を見つけるには、自分の家について考えてみるのも一つの方法です。
例えば、何代も続く家業を営んでいるなら、きっかけとなった先祖について調べてみるのもいいでしょう。自分の家に対して愛着を持つきっかけになりますし、新たな発見にもつながります。
「尊敬する人」の例
では、尊敬する人として実際にはどのような人物がいるのか例をあげていきます。さらに、なぜ尊敬する人としてあげるのがおすすめなのか、その理由についても説明していきます。
家族
家族は誰にとっても身近な存在です。その家族の中に尊敬する人がいるということは、自分と関わりの深い人に関心を持っている人物であることがわかります。
身近な人に愛着を持ち、尊敬の念を持って接するのは働くうえでも大切なことです。円滑な人間関係を築きやすい人として見てもらうことも可能でしょう。
また、面接官から見ればどのような環境で育った人なのかも把握しやすいため、自社に合っているかどうかの判断にもつながります。
尊敬する人に家族をあげることは、周囲に対して感謝の念を持てる人という印象を与えられる点がおすすめです。
上司
働くうえで身近な存在といえば同僚や上司があげられます。
特に上司は、業務に必要な相談をすることも多いため、尊敬の念を持てるということは仕事にも責任と愛着を持てる人物であると判断されやすい点がおすすめです。
ただし、実際にはどのような点を尊敬しているかで変わってきます。例えば、家族との関わり方などプライベートなことで尊敬しているなら、それは業務とは関係ありません。
尊敬する人として上司をあげるときは、できるだけ仕事に関わる内容を理由とした方が一般的ですし、印象はよくなります。
悩んだときに助けてもらったことや感銘を受けた上司の行動など、具体的なエピソードを説明するといいでしょう。
恩師
恩師は、成長するうえで関わりの深い人物の1人です。尊敬する人に恩師をあげることで、社会に出るまでに人としてどのようなことを学んだのか知ってもらうことができます。
例えば、部活や勉強で挫折しそうになったときに前向きになれる言葉をもらうこともあるでしょう。または、将来の目標になるような大きなきっかけになる場合もあります。
尊敬する人に恩師をあげるということは、学生時代に何らかのターニングポイントを迎えているということになります。さらに、それをどう仕事で活かせるかをアピールすることも可能な点がおすすめです。
歴史上の人物
歴史上の人物は、多くの人が知っていることから、面接官の中にも共感してもらえる可能性が高いといえます。
もしも、回答した人物が面接官も尊敬する人なら、それだけで好感度が上がるかもしれません。人は、自分と同じものに興味を持っていたり愛着を感じていたりする相手に好感を持ちやすい傾向があります。
もちろん、それだけで採用につながるということにはなりませんが、少なくとも興味を持ってもらうことは可能です。歴史上の人物は、面接官の共感を得やすいという点でおすすめします。
実業家
実業家は流通や経済などに直接関わる人物であり、それだけに尊敬する人としてあげることでビジネスへの関心度をアピールできます。
普段からビジネスに関するさまざまな情報を得て勉強している人と印象付けることができ、興味を持ってもらえるかもしれません。
ただし、実業家といってもさまざまです。最終的に失敗に終わってしまった人物をあげるのは避けた方がいいでしょう。
できれば、挫折を味わいながらも大きなことを成し遂げて成功を収めた人物の方が好ましいといえます。そして、できれば面接する会社に関係の深い人物がおすすめです。
スポーツ選手
スポーツ選手も、歴史上の人物同様で知っている人が多いという点がおすすめです。ただし、マイナースポーツなど認知度の低い選手になると共感を得るのは難しいでしょう。
スポーツ選手をあげる場合も、できるだけ誰もが知っているような人物を選ぶことがポイントです。
紹介するエピソードも多くの人が理解できる内容を選ぶと共感を得やすくなります。自分が普段興味を持っているスポーツの中から注目してみることがポイントです。
芸術家
芸術家といってもさまざまなジャンルがあります。尊敬する人として選ぶときは、まず自分が好きな作品から着目することです。
ただし、できれば誰もがわかるような代表作を持っている人物が好ましいといえます。たとえ名前は知られていなくても、作品名を言えば納得してもらえるような人物なら、説明するのもスムーズです。
芸術家の場合、一般の人には受け入れがたいエピソードを持つ人が多いかもしれません。尊敬する人として選ぶときは、通常の感覚で理解を得られるような内容にしましょう。
「尊敬する人」の回答例
続いて、尊敬する人の回答例を紹介します。それぞれ「尊敬する人の紹介と具体的なエピソード、尊敬する理由、そして自分がそうなるために努力・工夫していることという流れで説明し、そのうえでポイントについても解説していきます。
家族
私の尊敬する人物は母方の祖母です。祖母のユニークなところは何でも諺にたとえるというところで、叱るときも決して大きな声は出さず、諺を使ってさりげなく伝えてくれます。
私が子どもの頃、教科書が失くなったことがあります。
私は同級生を疑いましたが、祖母から「七度尋ねて人を疑え」と言われ、丁寧に探してみたところ机の中から出てきました。
大人になった今でも、何かあるとまず祖母の諺が頭に浮かびます。以来、自分も誰かに注意するときは、声をあげるよりも何が必要なのか説明することを心がけています。
回答例のポイント
祖母の教えがいかに自分に役立っているかを説明することがポイントです。
上司
私の尊敬する人は、初めて勤務した会社で内装プランニングに携わっていたときの上司です。
あるとき、アイデアがまったく出せなくなり、大きな悩みになっていました。ただでさえ時間がないというときに、上司から「資料用の写真を撮ってこい」という理由だけで出張を命じられました。
行き先は景色のよい温泉地です。「写真はついででいいから環境を変えて考えて来い」と言われたときは、驚きと嬉しさで感激しました。
以来、自分も周囲の人間に何が必要なのか気付けるよう努力しています。
回答例のポイント
上司の懐の深さとさりげない心遣いを伝えることがポイントです。
恩師
私が尊敬する人は、高校時代に所属していた美術部の先生です。
当時、進路で悩んでいた私に、先生は「〇〇の美術の作品は個性的なものばかりだ。他にはないということだから自信を持った方がいい」とアドバイスをくださったことがあります。
褒められたのはこのときが初めてということもあり、自信を持てるようになりました。もちろん、その後の進路を決めるきっかけにもなっています。
自分も誰かに声をかけるときは、その人の自信につながる言葉を選ぶようにしています。
回答例のポイント
進路を決めるきっかけをもらえたことを伝えるのがポイントです。
歴史上の人物
私は、第20代内閣総理大臣を務めた高橋是清を尊敬しています。
高橋是清の有名なエピソードの一つに、10代でアメリカに渡った際、ホームステイ先で騙されて奴隷契約を結んでしまったという話があります。
高橋是清はその状況を諦めることなく英語を学び直し、署名活動などを経て日本への帰国を果たしました。
私は問題が起こったとき諦めてしまうことがありましたが、このエピソードを読んで以来、自分にできることを根気よく続ける努力をしています。
回答例のポイント
どのような状況でも負けない精神を持つ大切さを学べたことがポイントです。
実業家
私が尊敬する人は、実業家の南原竜樹氏です。南原氏は海外旅行先で得たヒントから20代で車の輸入販売会社で起業し、成功を収めています。
一時は経営が低迷し、従業員のほとんどを手放すという事態に陥っていますが、不屈の精神で事業の再建に成功しています。
南原氏の諦めない精神は多くの人の励みになっており、私もその一人です。私も南原氏のように、何があっても諦めることなく手段を考えるようにしています。
回答例のポイント
諦めずにできる手段を考えることで突破口が開けるという点がポイントです。
スポーツ選手
私は、フィギュアスケートのエフゲニー・プルシェンコを尊敬しています。プルシェンコ氏はソチオリンピックなどでいくつかメダルを獲得している実力者です。
華麗なスケートを披露することで知られていますが、実は子どもの頃から体が弱く、努力の末にメダルを勝ち取っている人です。
鼠径ヘルニアなど10回以上もの手術をしていますが、そういった苦労をまったく感じさせません。
この事実を知ったときは感動と同時に自分が恥ずかしくなりました。以来、私もどんなに大変なことがあっても口に出さないようにしています。
回答例のポイント
影の努力を人に見せない素晴らしさを伝えることがポイントです。
芸術家
私が尊敬する人は、浮世絵師の葛飾北斎です。葛飾北斎は引っ越しが多かったなどいくつかのエピソードがあります。
その中で私がもっとも感動したのは90歳になっても「もっと長生きできれば真の絵描きになれたのに」という言葉です。
高齢になれば、仕事から離れてしまう人も少なくありません。
葛飾北斎のような名匠でも、死ぬ直前までおごることなく探究心を持てるのは素晴らしいことです。私も現状に満足することなく常に勉強を続けていけるよう努力しています。
回答例のポイント
一定の成功を収めてもひけらかすことなく努力を続ける大切さを伝えることがポイントです。
尊敬する人を回答する際の注意点
尊敬する人といっても、ただ名前をあげればいいということではありません。面接官に対して納得できるような説明ができることが重要です。では、尊敬する人を回答する際に注意したい点について説明していきます。
説明に時間がかかる人は避ける
まず避けたいのは、説明に時間がかかる人物です。これは、著名人かどうかといったことには関係ありません。
たとえ歴史上の人物やスポーツ選手など有名と思われる人であっても、尊敬に至った経緯に結びつくまでの説明が長くなると「説明が下手な人」という印象を与えかねません。
また、説明が長いのは聞き手にとっても興味が失せる原因になります。面接官も人間です。
説明が長いと「話がつまらない」と感じやすくなり、途中から内容が入っていかないかもしれません。その結果、その人自身への興味も薄れてしまうでしょう。
賛否が分かれやすい人は避ける
たとえ著名な人物でも、明らかに好き嫌いが分かれる人は避けた方が賢明です。もしも、たまたま同じ人物に好意を持っている面接官が担当していれば、共感してくれる可能性はあります。
しかし、尊敬する人に否定的な感情を持っている面接官だった場合、かえって印象を悪くすることもあるでしょう。
いずれにしても、一般的に賛否が分かれやすい人物を尊敬する人にあげるのは得策ではありません。
特に、否定的な意見が多い人物は絶対に避けるべきです。その場では問題なく聞いてもらえたとしても、自分の人間性まで疑われることになります。
なぜ尊敬しているかを具体的に説明する
尊敬する人の回答で重要なのは、なぜ尊敬しているのかその理由を説明することです。
面接官は、どのような理由で尊敬に至ったかを聞くことで、その人の人物像を探ることができます。
ところが、肝心の部分が説明できないまま終わってしまっては意味がありません。せっかく尊敬する人の名前が出てきても、どのような人物か説明するだけで終わることのないよう注意しましょう。
なぜ尊敬しているのか、その理由を具体的にあげることがポイントです。
例えば、「自分が悩んでいたとき、〇〇さんはこのような方法で同じ問題を解決していたため尊敬するようになった」といった具合にわかりやすく説明しましょう。
抽象度が高いエピソードや浅いエピソードは避ける
抽象度とは脳科学者が広めた言葉で、情報量の度合いを指す意味として使われています。
抽象度が高いというのは、他の人よりも視点を上げて物ごとを捉えるという意味になりますが、尊敬する人について説明するときは逆効果になることもあります。
例えば、どのように素晴らしい人か説明するためにあまりにも多くのエピソードを盛り込んでしまうと、どの部分が尊敬につながるのか伝わらない恐れが出てきます。
また、逆にエピソードが浅過ぎると、なぜ尊敬できるのか理解してもらえないかもしれません。
このような失敗を避けるには、ただ好きだという理由だけで選ばないことです。好きな人ではなく尊敬する人の話をしましょう。
その他
他には、ネガティブなエピソードは避けることも注意したい点です。ただし、挫折を味わったり病気やケガをしたりといったことではありません。
例えば、尊敬する人が過去に何らかの違法行為を行っているなど、一般的に見て好ましくないエピソードは避ける方が無難です。
それ以外の素晴らしい部分を尊敬している場合でも、悪い行為だけが印象に残る可能性もあります。
面接官によっては「問題のある人物を尊敬する危険な人」ととられてしまうかもしれません。社会的にイメージダウンになるようなエピソードについては、説明に入れないよう注意が必要です。
面接対策が不安なら就・転職エージェントが便利
尊敬する人もそうですが、面接ではさまざまな質問に対して適切な回答を用意しておく必要があります。
もっとも注意したいのは何も回答できずに考えてしまうことです。しかし、誰もがどのような質問にもすぐに答えられるとは限りません。
実際にはどのような質問が出るのか考えているだけで悩んでしまう人もいるでしょう。
面接対策で悩んでいるときは、就・転職エージェントのプロに相談するのも得策です。そして、できれば実績が豊富なエージェントに相談することをおすすめします。
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