一発で理解できる!退職金にかかる税金「所得税」「住民税」の計算方法
退職金を受け取る際「所得税」と「住民税」が課税されることになりますが、これは受け取る退職金の額によって異なります。
そこで本記事では退職金にかかる所得税と住民税の計算方法をわかりやすくご紹介いたしますので、少しでもお役に立てれば幸いです。
退職金とは?
退職金とは労働者が企業を退職する際に受け取れるお金のことで、退職手当や退職慰労金とも呼ばれます。制度の正式名称は「退職給付制度」ですが、退職金制度と呼ばれることが一般的です。
退職金は定年退職の際に受け取れるイメージがあるかもしれませんが、これは会社都合で解雇された時や自己都合で退職する場合にも支払われるもので、他にも労働者が亡くなった場合にも支払われます。
退職金制度には主に「退職一時金」「退職金共済」「確定給付年金」「確定拠出年金」の4つがあり、退職金の受け取り方は「一時金タイプ」と「年金タイプ」に二分されます。
【退職金の受け取り方】
・一時金タイプ
└退職時に退職金全額を一度に受け取れる
・年金タイプ
└「60歳以上」などの企業の定めた条件をクリアした時点から一定期間、一定額の退職金を年金として受け取れる
本記事では退職時に退職金を一気に受け取れる「退職一時金」の場合の税の計算方法をお伝えいたします。
その他退職金制度の概要は下記の記事にまとめてありますので、気になる方はぜひこちらも参考にしてください。
退職金にかかる税金は「所得税」と「住民税」
退職金にかかる税金は「所得税」「住民税」の2つになります。これらの税金は給与やボーナスを受け取る際にもかかるため、税の仕組みや計算方法をご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし退職金はその他の所得と区別して課税されるため、税のかかり方に違う点がありますので本記事で詳しくご紹介します。まずは所得税と住民税の基本知識から確認していきましょう。
所得税とは?
所得税とは個人の所得に対してかけられる税金で、一年間における全ての所得から所得控除額を引いた残りの額(課税所得)にかけられます。
所得税の課税方法には「総合課税」と「分離課税」が存在します。
「総合課税」
└対象となるすべての所得を合算し、その合計額に対して課税される
「分離課税」
└他の所得と切り離して課税される
退職金(退職所得)は分離課税となるため、その他の所得と分離して課税されることになります。
また、退職金にかかる所得税には「退職所得控除」が適用され、この金額は勤続年数が長くなるほどに大きくなっていきます。
中でも退職一時金の場合は一度に受け取れる額が大きくなりやすいためかかる税負担も大きくなりがちですが、この退職所得控除によって税負担が軽くなるように配慮されているのです。
【退職所得控除について】
控除を受けるには「退職所得申告書(所得税法第203条1項各号の定めによる申請書)」を職場に提出する必要があります。
提出後は職場に手続きを進めてもらえるため、退職一時金を受け取った後に源泉徴収などを申請する必要はありません。
なお、平成25年~令和19年までは所得税に加えて「復興特別所得税」も納める必要があり、所得税額に対して2.1%が追加的に課税されます。
【復興特別所得税とは?】
東日本大震災からの復興施策に必要な財源確保のために課されることになった税金
住民税とは?
住民税は地方税のひとつで、道府県民税(都道府県が課税)と市町村民税(市区町村が課税する)の総称です。教育や福祉、救急、ゴミ処理などの公共サービスのために使用されます。
住民税には「均等割」と「所得割」があります。
「均等割」
└前年の所得額に応じた税金が課税される。
「所得割」
└所得額に関係なく均等な額が課税される
ただ、前述の通り退職金(退職所得)にかかる住民税は分離課税となるため、退職所得が生じた年に他の所得と区別して課税されます。
住民税の額は職場が計算してあらかじめ退職金から差し引いておき、退職する年の1月1日に納付する仕組みとなっています。
退職金にかかる「所得税」「復興特別所得税」の計算方法
では、ここからは退職金にかかる所得税と住民税の計算方法を見ていきましょう。本記事の前半でもお伝えした通り、ここでは退職一時金の場合の税の計算方法をご紹介いたします。
ちなみに、税率の計算をするうえではご自身の退職金額を把握しておく必要があります。具体的な額や目安を知りたいという方は下記の記事にてわかりやすく解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。
退職金にかかる「所得税」の計算方法
まずは「所得税」からです。退職金にかかる所得税額は下記の計算式で求められます。
【退職金の所得税額の計算式】
退職金の所得税額
=課税退職所得金額×所得税率-控除額
退職金にかかる所得税を計算するには「課税対象となる所得金額」「所得税率」「控除額」を知る必要があります。順番に見ていきましょう。
(1)控除される金額の計算式
まずは退職所得控除額を出しましょう(課税退職所得金額を求めるために必要な控除額です。退職金の所得税額の算出式にある「控除額」とは別となります)。下記の計算式で求められます。
(1)勤続年数が20年以下の場合
└勤続年数×40万円
(退職所得控除額が80万円未満の場合には、80万円)
(2)勤続年数が20年以上の場合
└(勤続年数-20)×70万円+800万円
※勤続年数は1年未満の端数を切上げて計算
└例)10年3ヶ月→「11年」で計算
※参考元:人事院「退職手当制度の概要」
上記の計算方法で控除額が算出されます。
(2)課税対象となる退職所得金額の計算式
次に、受け取れる退職金のうち課税対象になるのはいくらか(課税退職所得金額)を確認しましょう。課税退職所得金額は下記の計算式で求められます。
【課税退職所得金額】
課税退職所得金額
=(退職金の金額-退職所得控除額)×1/2
「退職所得控除額」の部分には先ほど計算した控除額を当てはめましょう。
(3)課税対象となる退職所得金額を出そう
課税退職所得金額は先ほどもお伝えしたように(退職金の金額-退職所得控除額)×1/2で算出されるため、たとえば下記のような計算式になります。
(1)勤続10年、退職金240万円の場合
└(10年×40万円)=-160万円
→退職金240万円は控除額400万円以内に収まるため、税金はかかりません。
(2)勤続30年、退職金2800万円の場合
└(30年-20)×70万円+800万円=1500万円
→1500万円までは税金がかからず、課税対象となるのは(退職金2800万円-1500万円)×1/2=650万円となります。
(4)最終的にかかる所得税を計算しよう
では一番最初にお伝えした、退職金に最終的にかかる所得税を計算しましょう。
【退職金の所得税額の計算式】
退職金の所得税額
=課税退職所得金額×所得税率-控除額
この式にある「所得税率」「控除額」は課税退職所得金額ごとに税法によって定められています。詳しくは国税庁のデータをご参照ください。
退職金にかかる「復興特別所得税」の計算方法
次に、復興特別所得税の計算です。上記までで導き出された所得税額(基準所得税額)に2.1%の税率をかけるだけで算出されます。
【復興特別所得税額の計算式】
復興特別所得税額=基準所得税額×2.1%
退職金にかかる「住民税」の計算方法
次に退職金にかかる「住民税」の計算方法についてです。住民税の計算は、先ほど「所得税」の(3)のところで算出した課税退職所得金額に住民税率をかけることで導き出されます。
住民税率は課税退職所得金額に関係なく一律10%(都道府県民税4%、市区町村税6%)となっています。
【住民税額の計算式】
住民税額=課税退職所得金額×住民税率10%
退職金にかかる税金の計算例
計算方法を知っていただけたところで、ここからはケース別に実際の計算式をご紹介いたします。ここでは早期退職したケース、長年勤めて退職したケースを例として挙げます。
【ケース1】勤続年数3年、退職金30万円
【ケース2】勤続年数24年3ヶ月、退職金2,200万円
【ケース1】勤続年数3年、退職金30万円
まずは勤続年数3年きっかりで退職した場合です。所得税、復興特別所得税、住民税について順に計算していきます。
所得税の計算例
まずは退職控除金額を算出します。前述した計算式に則ると、勤続年数が20年以下の場合は勤続年数×40万円(80万円未満の場合には、80万円)のため、下記の通りとなります。
退職控除金額:3年×40万円=120万円
さて、この時点で控除額の120万円が退職金の30万円を上回っているため、所得税、復興特別所得税、住民税は非課税となります。
【ケース2】勤続年数24年3ヶ月、退職金2,200万円
次に勤続年数24年3ヶ月、退職金2,200万円のケースについてです。
所得税の計算例
まずは所得税を算出するにあたり控除額を出します。今回は勤続年数24年3ヶ月ということで、控除額を算出するにあたっては端数を切り上げて25年扱いとなります。
勤続年数が20年を越えているため、(勤続年数-20)×70万円+800万円で算出されます。
退職控除金額:(25年(勤続年数)-20)×70万円+800万円
=1150万円
このケースで受けられる控除額は1150万円であることがわかりました。次に、課税退職所得額を算出します。
課税退職所得額:(退職金額 2,200万円-退職所得控除額1150万円)×2分の1=525万円
あとは所得税額を求める式に必要な情報を入れるだけです。
上記でもお伝えした国税庁のデータによれば、課税退職所得額が525万円の場合の所得税率は20%、控除額は42万7,500円となっているため、このケースの所得税額は下記となります。
所得税額:課税退職所得額575万円×税率20%-控除額42万7,500円
=72万2,500円
復興特別所得税の計算例
次に復興特別所得税の計算です。先ほど算出した所得税額(基準所得税額)に2.1%をかけることで導き出されます。
復興特別所得税額:基準所得税額72万2,500円×2.1%
=1万5,172円
住民税の計算例
最後に住民税の計算です。住民税の額は先ほど算出した課税退職所得金額に住民税率10%をかけることで算出されます。
住民税額:課税退職所得金額575万円×住民税率10%
=57万5,000円
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