出世したくないのはマズイこと?出世の断り方と出世しないことのメリット・デメリット
出世を目指して働いている人は大勢いますが、中には出世をしたくないと考える人もいらっしゃるでしょう。
出世はおめでたいこと・喜ぶべきものというイメージもあるため、「出世をしないのはマズイのだろうか?」と思い悩むかもしれません。そこで本記事では、出世をしない選択の是非や出世しないメリット・デメリット、出世の断り方などをお伝えします。
出世したくないのはマズイこと?
出世とは世に出て高い地位につくことです。会社勤めの場合は現在の役職より上の役職にランクアップすることを主に意味します。例えば役職がない状態から係長へ、係長から課長へ、このような昇進が出世に当たります。
働きぶりが十分でなければ、当然上の立場に引き上げられることはありません。その人の普段の仕事やこれまでの実績を、昇進という形で会社が認め高く評価しているということにもなるでしょう。
そのため、一般的に仕事で出世するのは喜ばしいこととイメージされます。しかし、中には「出世したくない」と考える人もいます。
世間一般で喜ばれる出世を敢えて拒否することから、非常識と非難されるのではと不安に思うかもしれません。しかし結論、出世したくないのは良くないこととは限りません。人それぞれ価値観は違います。
出世したくないという考えも一つの価値観であり、一概に問題視することはできません。ただし、出世しないことにはメリットとデメリットがあるため、それぞれを冷静に比較した上で判断することが大切です。
出世しないことのメリット
出世しない選択を考えるため、まずは出世しないことは具体的にどういったメリットがあるかを説明します。
今まで通り現場で働ける
出世し管理職になると、部下を管理する業務がメインになります。部下に指示し業務を割り振る、全体の業務スケジュールを管理するなどです。
また、部下が業務に集中できるよう、職場環境に問題がないか目を配り整えるという仕事も発生します。管理職になるとこのように全体を調整する役割を担うため、現場の業務からは離れ気味になります。
しかし、全体を管理する仕事より、現場で働いていたいという人も少なからずいるのです。そういったタイプの人にとって出世はあまり魅力が感じられないかもしれません。
出世すれば給与などもアップする可能性がありますが、価値観は人それぞれ。収入を多く得るより、自分の好きな仕事に従事していたいという価値観もあります。
出世しないことによって、業務が変わることなく、今まで通り現場で働ける点はメリットと言えるでしょう。
プライベートを充実させやすくなる
管理職は非常に多忙です。担当する部署の業務とそれを行う部下、全体に目を配らなければいけません。
リーダーとして業務全体を引っ張る存在であり、責任も大きいため、どうしても仕事に大きなウエイトを置かざるを得なくなります。管理する立場として、率先して休みをとったりすることがはばかられるかもしれません。
その結果、仕事を優先しなければいけない場面が増え、プライベートが少なくなる可能性もあります。しかし、出世しなければこのような状況にはならないでしょう。
出世をせず、現場で働く一社員としての立場を貫くなら、自分の担当業務さえしっかり行えば基本的に問題ありません。自分の業務に支障がない範囲で自由に休みを取ることもできます。
出世をしなければオフのスケジュールも組みやすいと言えます。プライベートを充実させやすくなることは出世しない選択の大きなメリットです。ワークライフバランスを重視したい人にマッチするでしょう。
家庭を持つ人にとっても、出世をしないことはメリットになり得ます。例えば育児と仕事の両立は簡単なことではありません。
子どもが体調を崩し看病が必要になったり、幼稚園・保育園・学校の行事に参加しなければならなかったり、子育てする親は仕事より子どもを優先せざるを得ない場面も多々あります。
しかし、出世し管理職になると個人的な事情で休みを取ることが難しい状況にもなりかねません。子どもの体調不良などは突発的な場合もあるため、急な休みが発生することもあるでしょう。
しかし、管理職がたびたび急な休みを取るとなると、業務全体のスケジュールが乱れるなど現場の管理が行き届かなくなる可能性もあります。また、管理職が頻繁に不在にすることで部下から不信感を持たれるかもしれません。
家庭との両立は決して不可能ではありませんが、容易でないことも確かです。その点、出世をせず現場で働く立場であれば、自分が担当する業務との兼ね合いを考えながら比較的柔軟にプライベートにも対応できます。
プライベートを優先させなければいけないタイミングが多い人にとっても、出世しないことは大きな意味があると言えます。
業務を管理する責任を負わなくて良い
出世しなければ部下を持つこともありません。部下をまとめ、業務を管理するという責任を負わなくて良いことも出世しないメリットと言えるでしょう。
部下の上に立つ役割となると、細かなところまでしっかり目を配らなければいけません。部下の様子を見て、業務は適切に行えているか、問題は発生していないか、逐次確認しながら業務を正しい方向に進めていく必要があります。
もし部下が何か問題を起こせば、管理職として部下の監督責任も問われます。非常に責任が重く、負担も大きい役割です。
出世しないなら、部下を持つことはなく、部下に対し責任を抱えることもありません。身軽な状態で自分の業務を行えるでしょう。
大きな責任を問われにくい
また、業務の成果に対し、大きな責任を問われにくいことも出世しないメリットの一つです。
出世し管理職になれば、自分が管理する部署の業務についても責任を持たなければいけません。会社で行う事業の多くは常に一定の成果を求められます。業務を適切に進め、成果をしっかり上げることも管理職の重要な仕事です。
そのため、さらに上の役職から成果についてプレッシャーをかけられることもあるでしょう。望まれるような成果が得られていなければ、管理職として責任も問われる可能性があります。出世しなければこのような責任を迫られることもありません。
もちろん現場で働く社員にも、直属の上司から成果を出すようプレッシャーがかけられることはあるでしょう。しかし、実際に成果について具体的な責任を問われるのは管理職なのです。
残業代を得られる
そのほか、残業代を得られることも出世をしないメリットとして考えられます。一般的に残業をすれば時間に応じて残業代が支給されます。しかし、管理職は残業代が支給されないケースが珍しくありません。
管理職は労働基準法において「管理監督者」に位置づけられ、経営者と同じような立場にあるとされています。そのため、残業代の支給規定がないのです。
つまり、管理職に出世した場合、どれだけ残業をしてもそれが残業代として自分に還元されない可能性があります。
出世をせず役職なしの社員として働けば、残業した分だけ残業代が出ます。残業代をしっかり得たい人にとっては、出世は必ずしも魅力的なものではないでしょう。
出世争いに巻き込まれる心配がない
なお、出世争いに巻き込まれる心配がないこともメリットです。会社によっては管理職同士の出世争いが激しいところもあります。管理職になれば、さらに上に出世する可能性がある人と見なされます。
そのため、ほかに出世を目指している人から自分のキャリアアップにおいて邪魔な人物と認定されてしまう可能性もあります。きつい態度をとられたり嫌がらせをされたり、嫌な思いをする場面が増えるかもしれません。
また、自分では今より上の立場になる気がなくても、周りに担がれて出世争いに巻き込まれてしまう場合もあります。出世をしない意思があれば、こういった争いとも無縁で過ごせます。
出世しないことのデメリット
出世しないことのメリットを複数紹介しましたが、もちろんデメリットもあります。次に、出世しないことのデメリットを具体的に見ていきましょう。
給与が下がる可能性がある
出世をしないことで給料が下がる可能性があると言うと驚く人もいるかもしれません。従来は、日本の会社においては年功序列の考え方がほとんどでした。
勤続年数が増えれば給与も自動的に上がっていくシステムであり、必ずしも大きな成果を残す必要はないことが特徴です。問題を起こさず、真面目に働いていれば徐々に収入がアップしていく仕組みです。
しかし、現在は年功序列ではなく、個々のスキルや成績に合わせて給与を考える実力主義の会社も多くなっています。
つまり今後は、出世せずとも長く勤続して給与を上げながら働いて行くというキャリアパスを描くのは難しいかもしれないのです。出世をしない社員は仕事に対する意欲が低いとみなされる可能性があります。
また、これまで以上の働きもできない、現状維持のみとなると、それも評価につながらず、結果給料が下がっていくかもしれません。また、会社で同じ年代の同僚などは出世すればその分給料もアップします。
もし自分の給与額が今までと変わらなくても、周りが上がっていくため、相対的に給与が下がったと感じることもあり得ます。
年下の上司や出世した同期に劣等感を感じる可能性がある
出世をしたい人は大勢います。自分が出世しない状況の中、周りの同期は次々と出世していくことが考えられます。また、自分より年下の同僚が自分を飛び越える形で出世することもあるでしょう。
このような状況で周りと自分を比較してしまい、劣等感を感じる可能性があることはデメリットです。
もちろん出世をしないという選択は自分の意思で行うものであり、自分以外の同僚が出世していくこともある程度予想はできます。しかし、実際自分だけが出世しない状況になってみることで初めて理解する辛さもあるでしょう。
これまで自分と対等だった同期、あるいは自分の後輩であった年下の同僚が上司となる可能性もあるのです。上司・部下の立場で接するのは心情的に複雑なものがあるに違いありません。
また、自分だけが取り残されたような気持ちになることもあり得ます。出世をしない選択をした場合は、自分で自分の価値観をしっかり認め、強い気持ちを持って流されないことが大切です。
転職が難しくなっていく
出世しないという選択は、転職にも大きな影響を与えます。具体的には転職が難しくなっていく可能性があるのです。転職する際、重要なことの一つが自分のアピールです。
これまでどのような会社でどのような仕事を行ってきたか、転職活動で応募先の企業にしっかり伝えることが転職成功のポイントです。そして、出世して会社の中で重要な立場にいたということも、大きなアピールになります。
応募先の企業は応募者の実際の仕事ぶりを見ているわけではないため、応募者の本当のスキルを見極めることが難しいのです。
しかし、会社の中で役職付きなど一定の立場にいたということは、会社に高い評価をされる人物とも考えられ、その人物が有能であるという根拠にもなり得ます。
何も役職に付いたことがない人より、役職の経験がある人の方を優秀であると判断する企業は多いでしょう。
また、管理職になっている人が珍しくない年代の転職となるとさらに大変です。企業は「なぜこの人は出世していないのか」」と疑問に思う可能性があるからです。同年代に管理職が多い中、役職の経験がない人は目立ちます。
「もしかして出世したくても能力がなくできなかったのではないか?」と思われるかもしれません。こうなってしまうと転職は一層難しくなります。
出世の断り方
出世のメリット・デメリットを知った上で、それでも出世をしない道を選ぶ人もいるでしょう。出世をしないなら、出世の話を持ち掛けられたとき断る必要があります。この断り方も重要です。
ここでは、あまり角を立てず上手に出世を断る方法を例文とともにご紹介します。
今の仕事を続けたいことを理由に断る
「今の仕事が好きで、現場での業務を続けたいと考えています」
今自分が担当している仕事が好きで、このまま続けたいということを素直に説明し断る方法があります。仕事が好きであることはその人のシンプルな気持ちのため、否定のしようがありません。
出世をせず、自分の好きな現場で働き続けていたいという価値観は一定の理解を得られる可能性もあります。今の仕事に愛着や情熱があるなら、あれこれ複雑に考えず、自分の真っ直ぐな考えをそのまま伝えてみましょう。
「今の仕事にはまだまだ学ぶべきことがたくさんあります。引き続き勉強して自分のスキルを上げたいと思っています」
今の仕事にまだ未練があるため離れたくないという断り方も一つです。例文のように、今の仕事でまだ学びたい、自分を高めたいと訴えるのも良いでしょう。
自己研鑚を望んでいる人にそれをやめるよう指示するのは難しいことです。勉強したい意欲があるなら仕方ないと引き下がってくれる可能性があります。
ただし、十分スキルを積んだ後に出世をするよう打診される場合もあるため注意が必要です。
「自分には業務や部下のマネジメントよりも、プレイヤーとして働く方が合っています」
人の適性はそれぞれです。全体を管理することが得意な人もいれば、自分の担当業務に集中する方が得意な人もいます。
管理職として働く場合マネジメントスキルは欠かせませんが、自分はマネジメントに長けていないという理由で断るのも一つの方法です。
自らマネジメントに向いていないと言っている人物を管理職に登用し、実際上手く部署が機能しないとなると、任命した人の責任が問われる可能性もあるため、出世を打診されることはなくなるかもしれません。
自己評価を理由に断る
「自分の仕事をこなすのに精一杯で、部下の管理まではできそうにありません」
管理職は自分の業務のほか、部下の業務にも目を配る必要があるため、気持ちに余裕がある状態が不可欠です。自分の目の前にある仕事に対応するだけでキャパシティがいっぱいだと断るのもありでしょう。
自ら余裕がないと申告している人に重責のかかる役割は任せにくいもの。打診することを諦めて、引き下がってくれる可能性があります。
「出世して寄せていただく期待に応えられる自信がありません」
会社が管理職に望むことは、部署を適切にマネジメントし成果につなげること。出世を打診されるということは、この人は成果を出してくれるだろうと期待されているということです。
そこで、会社の期待には応えられないと伝えて断るのも一つ。自信のない人に部署を任せるのは会社にとってリスキーなため、食い下がってくる可能性は低いはずです。
「まだ未熟で上の立場で働くようなスキルがないため辞退させていただきます」
自分に管理職として十分なスキルが身に付いていないことを理由に断る方法もあります。「やりたくないわけではなくスキルの問題」という内容なので、ポジティブな印象をもってもらいやすくなります。
ただし、いずれスキルが十分身に付いたときには出世を受けるととらえられる可能性があるため、今後も出世を受ける気がないなら注意が必要です。
家庭やプライベートを理由に断る
「子育てとの両立が難しいので申し訳ありませんがお受けできません」
小さな子どもがいる場合は子育ても断りやすい理由です。管理職になれば帰りが遅くなったり、休みが取りづらくなったり、子育てとの兼ね合いが難しい場面も起こり得ます。
子どもを優先したい人に出世の無理強いはしにくいため、食い下がられることはあまりないでしょう。
「家族に介護が必要な者がおり、そちらを優先しなければならないため辞退させていただきます」
家族の介護も受け入れられやすい断り方です。介護の大変さを知っている人は多いため、そこへさらに責任の大きい役職を任せることはないでしょう。
ただし、家庭の事情による理由で断る場合は、事実のみを述べ、嘘をつかないよう注意してください。嘘がばれてしまうと、会社からの信用が一気になくなってしまいます。
「現在資格取得を目指しており、勉強に集中したいと考えています」
資格の取得など、自己研鑚を理由に断るのも良いでしょう。
資格が取得できればスキルアップにつながります。会社にとっても社員がより成長するのは喜ばしいことです。前向きな辞退ということで、快く受け入れてもらえる可能性が高いでしょう。
“今の職場で”出世したくないなら
一生出世したくないわけではなく、今の職場での出世を避けたいという方もいるかもしれません。例えば上司が嫌々働いているように見える場合などです。上司は自分の身近なロールモデル。
上司の姿がポジティブに見えないということは、自分が出世した際も同じような運命をたどる可能性があるということです。
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おわりに、「仕事探し」って実は難しくないんです
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本当に自分のやりたいことができるのか、よくない意味での「想像とのギャップ」はないだろうか、自分で務まる業務内容なのだろうか...。
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