【回答例付き】学生と社会人の違いとは?自分の言葉で伝える際のポイントは?
志望動機や自己PRなど、採用面接では様々なことを質問されます。例えば、「学生と社会人の違いはなんですか?」といったものも面接でよく聞かれる質問のひとつです。
この「学生と社会人の違い」について、適切な答えが思いつかないという方もいるのではないでしょうか。そこで、本記事では「学生と社会人の違い」について問われる理由、回答する際のポイントなどについてご紹介いたします。
学生と社会人の違いについて問われる理由
就職活動においては、しばしば学生と社会人の違いについて問われたり、考える機会があります。では、なぜ企業は学生と社会人の違いについて問うのでしょうか。
社会人としての意識を見るため
1つ目は社会人としての意識を見るためです。社会人と学生の違いを聞き、違いを正しく把握できているかどうかで、社会人としての意識をどの程度備えているか判断しています。
なぜ企業が面接で社会人としての意識を見ているのかというと、それは就活中の学生の中には学生気分が抜けきっていない人もいるからです。学生といえども、就活中は社会人としてのマナーや立ち居振る舞いを求められます。
いつまでも学生気分でいる社会人としての自覚が足りない学生は、「仕事に真面目に取り組む意識が不足している」と企業に判断される可能性があります。
仕事に対する価値観を見るため
もう1つは仕事に対する価値観を見るためです。学生と異なり、社会人は仕事をすることが本業となります。この大きな違いを踏まえた上で、企業側は「何のために仕事をするのか」という仕事に対する価値観を見ています。
企業が仕事に対する価値観を見る目的としては、企業とのマッチング度を測るためです。仕事に対する価値観は人それぞれです。
単に給与を得るための作業と考える人もいれば、企業や社会へ貢献したいという人、自分の成長につなげたいという人もいます。もちろん、どんな価値観を持っていても問題はありません。
しかし、就活などにおいては企業の価値観と合う学生の方が企業は好印象に感じるでしょう。
仕事に対する意欲を見るため
3つ目は仕事に対する意欲を見るためです。「社会人と学生の違い」を自分の言葉で述べられれば、「社会人として働くことを理解している」と企業側は捉え、仕事に対する意欲があると判断するでしょう。
企業が面接で仕事に対する意欲を見る理由は、短期離職を減らすためと言われています。仕事に対する意欲が低い学生は仕事のモチベーションを維持しにくい傾向があり、短期離職をされてしまう恐れがあります。
短期離職をされると人員補充に新たなコストがかかるため、企業には大きなデメリットです。
また、仕事に対する意欲を見るのは成長意欲が高い学生かどうかを判断する目的もあります。仕事に対する意欲の高い人材は成長意欲も高い傾向にあります。
未経験者や新卒を採用する場合は、ポテンシャル重視で採用されることが多いため、就職後の成長意欲は重要です。そのため、未経験者や新卒向けの面接では仕事に対する意欲が重視される傾向にあります。
学生と社会人の違いとして上げられる内容
ここまで学生と社会人の違いについて、企業側が質問する目的について解説してきましたが、ここからは具体的に学生と社会人の違いについて見ていきます。
面接で回答されることが多い5つの項目をご紹介しますので、面接に臨む前に確認しておきましょう。
言動にかかる責任の重さ
1つ目は言動にかかる責任の重さです。学生から社会人へ立場が変わることで、言動に対する責任も重くなります。
例えば、学生時代には何かしらの事故やトラブルが起きても、基本的には学生個人の責任にとどまる傾向があります。仮に学生個人では負いきれない事故やトラブルが起こってしまっても、保護者が損害賠償を行うケースが多いです。
つまり、学生の言動に対する責任の範囲は、学生個人か保護者に限定されることがほとんどでしょう。
一方、社会人は組織の一員として見られることが増えます。そのため、自らの言動による失敗が所属している会社や組織に与える影響も大きくなる訳です。
例えば、発注数を間違えたり、失言で取引先を激怒させたりすると、会社全体に大きな損害を与えかねません。中小零細企業などでは、社員1人のミスが会社を経営危機に陥れてしまうこともありえます。
また、学生の時代のように保護者が介入しなくなるため、自分一人で責任を取ることも多くなります。このように、社会人になると自身の言動で影響を及ぼす範囲が広がるため、それを自覚した立ちふるまいが求められます。
社会的な立場
2つ目は社会的な立場です。学生と社会人では立場が違うのは当たり前、と思われるかもしれません。ただし、ここで言う立場の違いとはお金を払う立場か、お金をもらう立場かの違いです。
例えば、学生は学費や教材費などのお金を払って知識や価値観を学ぶ立場である場合が多いです。つまり「お客様」の立場となります。お金を払って学んでいる立場であるため、学業の手を抜いても大きな問題になりません。
一方、社会人はスキルや商品、サービスを提供した対価としてお金をもらう立場です。つまり、お客様の立場から商品やサービスを提供する立場に変わるということです。
お金をもらってサービスを提供する以上、手を抜くことは基本的に許されず、仕事に対して責任を全うすることが求められます。
時間の使い方
3つ目は時間の使い方です。学生と社会人では自由に使える時間が異なるため、時間の使い方も異なってきます。
例えば、大学の講義などは卒業に必要な単位を取得することを前提に、自分自身で講義の時間割を組むことが可能です。そのため、講義が全くない休みの曜日も作れます。
また、体調が優れなかったり、気分が乗らない時などは講義を休むことも出来たでしょう。このように、学生時代は時間の自由度が高い傾向にある上に、自分の都合に合わせたスケジュール調整もしやすいと言えます。
一方、社会人になると自由に使える時間が大きく減ります。もちろん学生時代も終日講義で忙しい日もありますが、社会人になってからは定時までの労働と残業で拘束時間が長くなります。
また、社会人になると会社やお客さんのスケジュールに合わせて動く場合が多いですので、自分の都合で勝手にスケジュールを調整できないことも多いです。もちろん、気分が乗らないからと言って、会社の出社時間に遅れることなどは許されません。
このように、社会人になると自分のためだけに使える時間が少なくなる上に、自分の都合に合わせたスケジュール調整も難しくなります。そのため、学生時代より時間のやりくりを工夫しないと、趣味の時間の確保も難しくなります。
評価のされ方
4つ目の違いは評価のされ方です。例えば、学生時代は試験や課題など学校から与えられたことを真面目にこなしていれば、自然と高評価に繋がったでしょう。
また、試験や課題には明確な答えがある場合が多いです。そのため、評価基準も数値化されている場合が多く、ゴールを目指しやすいのが特徴です。
もちろん評価基準には生活態度などもありますが、基本的に学生時代の評価のされ方は課題の提出実績や試験の点数など、評価基準が明確な傾向にあります。
一方、社会人の仕事には試験のような決まった回答がないため、評価の基準を明確にするのが難しいです。基本的には社会人になると点数ではなく、実績で評価が決まる傾向にあります。
例えば、営業であれば売り上げ、経理ならこなした業務量やその正確さなども評価されます。ただし、評価の基準は会社によって異なります。
実績さえ出せば評価する会社もあれば、日々の勤務態度や人間関係など数字に表れない部分で評価される場合もあります。
人間関係
5つ目の違いは人間関係です。学生と社会人の人間関係で大きく違うのは、関わる人間の幅です。例えば、学生は学校を中心として人間関係を構築するのが普通です。
そのため、関わりが多くなるのは同級生や2〜3歳年上・年下の先輩・後輩が一般的であり、人間関係の幅は狭い傾向にあります。
もちろん、学生でも課外活動などで他の年代の人と関わったり、年配の教師と話すこともあるでしょう。ただし、密なコミュニケーションを取るほど深い関係になるのは、同年代の学生同士である場合が多いです。
一方、社会人は同年代だけで仕事をする機会は少なく、会社の先輩・上司・取引先の社員など老若男女問わず仕事で関わる機会があります。親子以上に年が離れた相手と人間関係を構築する必要もあるでしょう。
グローバル化が進んでいる会社では、国籍や価値観が異なる人と仕事をする機会も増えます。このように、社会人になると様々な年代の人や異なる価値観の人たちと仕事をする場合があるため、人間関係の幅は広くなります。
もう1つ、学生と社会人の人間関係で違う点があります。それが人間関係を選べるかどうかです。学生であれば「気が合わない」と感じた相手とはすぐに距離を置き、関係を断つこともできます。
そして、気が合うと思える同士で行動することも可能です。また、一人が好きだという人は単独行動しても問題ありません。つまり、自分で人間関係をある程度選べると言えます。
一方で、社会人は会社の上司や先輩、同期やクライアントなどを自らが選べるわけではありません。仕事を進める上で自分と気が合う人とだけでなく、苦手な人とのやり取りが必要になることも多くなります。
そのため、社会人には苦手な人とも仕事上の関係だと割り切って接する、大人としての人付き合いが求められます。
学生と社会人の違いについて考える際に気を付けるポイント
実際に面接で社会人と学生の違いについて問われた場合は、その答え方にも注意が必要です。ここまでご紹介した違いをまとめただけの回答では、面接官に好印象を与えるには不十分な可能性があります。
そこで、ここでは社会人と学生の違いについて回答する際に、気を付けておくべき考え方やポイントについて解説していきます。
違いを踏まえた上で自分はどう在りたいのか伝える
学生と社会人の違いについて伝える際に気を付けるポイントの1つが、違いを踏まえた上で自分はどう在りたいのかを伝えることです。
前述したように、企業は「学生と社会人の違い」という質問から社会人としての意識や仕事に対する価値観、意欲を見ようとしています。
そのため、学生と社会人の違いをまとめただけの回答をすると、企業側の質問の意図からずれてしまい、アピール不足になる恐れがあります。それを避けるためには、違いを伝えた上で自分はどう在りたいのかを説明する必要があるでしょう。
例えば、「言動にかかる責任の重さ」を中心に学生と社会人の違いを説明する場合で考えてみましょう。
この場合、社会人の方が言動にかかる責任が重くなると説明した上で、「社会人として自覚のある行動をしたい」や「小さな仕事でも責任を持って進めたい」などのように自分はどう在りたいのか伝える必要があります。
また、自分はどう在りたいのか伝える際は、社会人として働いている「自分」をイメージして回答することも大切です。学生の立場で自分はどう在りたいのか伝えてしまうと、会社へのアピールに繋がらない可能性があります。
論点を揃える
論点を揃えることも気を付けたいポイントの1つです。論点とは、議論の軸となる問題点のことを意味します。「学生と社会人の違い」という問いかけにおいては、「違い」が論点になります。
論点が揃っていないと回答の意味が伝わりづらく、評価もされづらいですので注意しなければなりません。では、論点はどのように揃えれば良いのでしょうか。
1つのやり方として、学生と社会人のどちらにも当てはまる要素で違いを比較することで、論点を揃える方法があります。
例えば、「学生は自由に使える時間が多いですが、社会人は収入が安定しています」という回答は時間と収入という異なる要素で比較しているため、論点が揃っていません。
論点が揃っていないため、時間の使い方の違いを言いたいのか、収入の違いを言いたいのか分かりにくくなっています。
一方で、「学生は自由に使える時間が多いですが、社会人は自由に使える時間が減るため、時間のやりくりに工夫が必要」という回答は、時間というどちらにも当てはまる要素で違いを比較しているため、論点が揃っています。このように、比較する要素の論点を揃えれば、相手に伝わりやすくなるでしょう。
当たり前の事実は述べない
3つ目の気を付けるポイントは、当たり前の事実は述べないことです。当たり前の事実を述べるとは、例えば「学生は学校で勉強をする、社会人は会社で仕事をする」などの回答をすることです。
このような当たり前の事実を答えても評価の対象になりづらい上に、面接官の印象にも残りづらいですので注意しましょう。
当たり前の事実を答えても評価されにくいのは、企業が聞きたいのは学生と社会人が違っているという事実ではないからです。
企業は学生と社会人に違いがある前提の上で、どんな違いがあるのか、違いを踏まえた上でどう在りたいのかを聞きたがっています。そのため、当たり前の事実だけ述べてもアピールに繋がりにくいです。
「学生と社会人の違い」回答例
最後に、ここまでご紹介した内容を踏まえて私たちが考えた回答例を3例程ご紹介します。回答毎にどのような点がポイントになっているかも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
回答例1:言動に対する責任の重さ
「私は社会人と学生の違いは言動に対する責任の重さにあり、社会人の方が言動に対する責任が重い立場にあると考えています。もちろん学生も一人の人間であり、言動に対する責任は伴うものです。
しかし、学生の言動の影響範囲は自分自身か身近なところに限定される傾向がある一方、社会人は自分はもちろん会社やお客様、取引先にまで自身の言動の影響が及ぶことになります。
例えば、学生が何かしらの事故やトラブルが起こした場合、基本的には学生個人の責任にとどまるか、保護者や教師が責任を取ってくれました。
社会人として働いてトラブルが起こした場合、自分自身の責任にとどまらず、会社全体や取引先企業にまで影響を与える恐れがあります。
このように、社会人と学生では責任の範囲が違うため、社会人は自身の言動に対してより責任を持つことが必要です。
私も社会人として働く場合は、自分自身が会社の顔であるという意識と責任感を持ち、御社に貢献したいと考えています。」
回答例1では、社会人と学生の違いは言動に対する責任の重さだと述べています。最初に何が違うのかを述べて、その後に理由を説明しているため、構成が分かりやすいのもポイントです。
また、責任の範囲という視点で責任の重さについて比較されており、論点も揃っています。話の最後に「抱負」や「貢献意欲」などを加えているため、面接官への印象アップにも繋がるでしょう。
回答例2:時間の使い方
「私は社会人と学生の違いは時間の使い方にあり、社会人の方が時間の使い方を工夫する必要があると考えています。
なぜなら、学生の場合は大学の講義以外の時間は自由に行動できる時間も多いですが、社会人の場合は仕事に費やす時間が多くなり、自由に行動できる時間が少なくなるからです。
例えば、学生は自分で講義を選べるため、講義が少ない日や自由に行動できる時間が多い曜日を作れます。実際に私も大学では午前中だけ講義を入れて、午後からは自由に過ごせる日がありました。
一方で、社会人になると朝から夜まで働くことになるため、自由に行動できる時間は簡単には作れません。そのため、社会人は時間の使い方を工夫しないと、自分のために使える自由な時間の確保は難しいでしょう。
私も社会人として働く際は時間の使い方を工夫し、自分のために使える時間を確保しながら、仕事では時間管理を徹底して効率的に働くことで御社に貢献したいと考えています。」
回答例2では、社会人と学生の違いは時間の使い方だと述べています。最初に結論を述べ、その後に具体例を交えながら理由を述べるという分かりやすい構成です。
具体例では、自身の大学での実体験を交えながら説明しているのもポイントです。実体験を交えながら説明すると、話全体の説得力も増します。
回答例3:人間関係
「私は社会人と学生の違いは人間関係にあり、社会人の方が人間関係の幅が広くなると考えています。学生は学校を中心に人間関係を構築する傾向にあるため、人間関係の幅は社会人に比べると狭いです。
実際、私も大学で深くコミュニケーションを取っていたのは同世代の学生が中心でした。アルバイト先も学生が多く働いている環境だったため、幅広い世代と人間関係の構築ができたとは言い難いです。
また、学生時代は苦手な人と付き合わず、居心地の良い人間関係を選ぶこともできました。しかし、社会人の場合は仕事を進める上で自分と相性が良い人だけでなく、苦手な人ともやり取りが必要になることも多いでしょう。
グローバル化を推し進め、多様な人材を受け入れている御社で働いた場合、様々な世代や価値観の人々と仕事をする機会も多いと思います。
私は世代や価値観の異なる人との仕事でも尻込みせず、様々な人の長所や知識、価値観を学び、自身の成長に繋げる良いチャンスだと捉え、積極的にコミュニケーションを図りたいと思っています。」
回答例3では、社会人と学生の違いは人間関係にあると述べており、論点も揃っています。
結論から入り、理由や具体例につなげるのは他の回答例と同じです。結論から入る構成は、面接で回答する際の基本的なポイントですので押さえておきましょう。
また、この回答例では面接相手をグローバル化を推し進める企業と想定しています。そのため、回答例の終盤にある自分はどう在りたいのか伝える部分も、グローバル化を推し進める企業にマッチする内容になっています。
このように、学生と社会人の違いの回答で、企業が求める人物像とマッチしていることをアピールすることも可能です。
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おわりに、「仕事探し」って実は難しくないんです
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