リフレッシュ休暇とは?導入するメリットと日数・条件の考え方
働き方改革という言葉が当たり前のように使われるようになって久しいですが、徐々に従業員に対し独自の休暇制度を設ける企業も増えてきているようです。本記事では、そのうちの一つである「リフレッシュ休暇」について、そもそもリフレッシュ休暇とは何か、メリットの他にデメリットはあるのかなどもあわせて解説します。導入の際のポイントなども把握したうえで、企業としての取り組みに活かしてみましょう。
リフレッシュ休暇とは?
最初に、リフレッシュ休暇とは具体的に何かを整理しておきましょう。
リフレッシュ休暇は特別休暇の一つ
リフレッシュ休暇とは、従業員の体やメンタルの疲労を回復する目的で企業が独自に設ける休暇制度のことです。その名の通り、従業員が日頃の業務から解放され心身ともにリフレッシュするための休暇と理解しておくとよいでしょう。
企業が従業員に付与する休暇には法定休暇と特別休暇があります。法定休暇は法律により定められているものであり、年次有給休暇や産前・産後休暇、育児休暇、介護休暇などが挙げられます。
リフレッシュ休暇は夏季休暇や病気休暇、ボランティア休暇などと同様に特別休暇の一つです。そのため、法律で必ずしも付与することが定められているわけではありません。
リフレッシュ休暇の導入状況
厚生労働省の調査をまとめた「平成31年就労条件総合調査の概況」によると、リフレッシュ休暇制度を設けている企業は全体の13.1%です。
1000人以上の従業員を抱える企業に限っては46.5%となっており、半分近い企業がリフレッシュ休暇を設けていることになります。
同規模の企業では夏季休暇を設ける企業の割合よりもリフレッシュ休暇を導入する企業の割合の方が多い(1000人以上の従業員の企業で夏季休暇を導入しているのは41.4%)点は、興味深い調査結果といえるのではないでしょうか。
従業員数が300〜999人の企業では31.4%、100〜299人の企業では18%と、規模が小さくなるにつれてリフレッシュ休暇を設ける企業が少なくなる傾向もみられます。
ちなみに、平成30年の調査ではリフレッシュ休暇を設ける企業は全体の12.4%だったため、特別休暇制度として導入する企業が増えていることもうかがえるでしょう。
リフレッシュ休暇の付与日数や賃金支給は?
リフレッシュ休暇導入企業では、1回あたりの最高付与日数が5.5日となっています。付与日数に関しては平成30年の調査結果と変わりません。
夏季休暇の1回あたりの最高付与日数は4.4日のため、夏季休暇よりもリフレッシュ休暇の方が長い傾向もみられます。
リフレッシュ休暇は法律で定められている、いわゆる有給休暇とは異なりますが、全体の9割以上の企業が賃金の全額を支給している点も注目です。
平成31年の調査結果では実に95.9%の企業が全額支給としています。無給としている企業も平成31年においては2.8%あり、必ずしも支給しなければならないわけではない点も押さえておくとよいでしょう。
「平成31年就労条件総合調査」
リフレッシュ休暇を導入するメリット
企業がリフレッシュ休暇を導入するメリットを考えてみましょう。なぜ多くの企業がリフレッシュ休暇の導入を進めているのか、その理由がみえてくるのではないでしょうか。
休暇の取得を促進できる
多くの企業では週に2日の休みを従業員に与えており、夏季や年末年始にも休暇を付与しているところが少なくありません。
リフレッシュ休暇を導入することで、それら以外にも休暇を取得してもらうことができます。特に、目的を問わず従業員が休みたいときに休める制度の導入は非常に重要です。
企業が制度として取り入れ企業文化として浸透させることで、従業員も会社を休む罪悪感を感じる必要がなくなるでしょう。
加えて、日頃の疲れを癒すことができれば体だけではなくメンタルヘルス対策にも繋がります。健康経営の施策として非常に有効であり、結果的に離職率低下の効果も期待できるのではないでしょうか。
生産性が向上する
リフレッシュ休暇により心身ともに回復できれば、その後の生産性の向上も期待できます。人は、疲れている状態ではよいパフォーマンスを発揮できません。
休暇を取りリフレッシュすることによりモチベーションがアップすれば、より一層業務へと熱心に取り組んでもらうことが可能です。
生産性の向上とともに、イノベーションが生まれることも考えられるのではないでしょうか。
脳のリフレッシュ効果も期待できるためです。休暇中に旅行に行ったり新しいことに取り組んだりした人であれば、なおさら新しいアイデアの創出に繋がる可能性が高まります。
どのような職種に携わっている従業員でも、これらのよい効果を十分に期待できるでしょう。
他社との差別化になる
リフレッシュ休暇を導入していることをアピールできれば、他社との差別化にもなります。少子高齢化が進み、労働人口が減少している日本。
そんな中で働き手を集めるだけではなく優秀な人材を確保するためには、特に若い世代に注目してもらう企業とならなければいけません。そこで必要になるのが、他社との明確な違いです。
厚生労働省の調査結果が示すように規模の大きな企業からリフレッシュ休暇を導入しています。
一方で、従業員数の少ない企業では導入するところがまだ少数であるため、早い段階でリフレッシュ休暇制度を整えることで、同業他社との差別化をアピールしやすくなるでしょう。
求人の待遇欄や福利厚生欄にも積極的に記載すれば、働きたいと考える人たちを増やすことができるのではないでしょうか。
対外的なイメージ向上にも繋がります。従業員に対しての待遇や福利厚生が十分に整っているという企業イメージを外部に持ってもらうことで損をすることはほとんんどありません。
むしろ、人材確保だけではなく取引や新たな事業展開などで有利に働く効果が期待できるでしょう。
企業イメージがよくなり消費者などに製品やサービスを積極的に選んでもらえる効果も狙えるため、企業の売上や利益の向上にも恩恵をもたらす可能性が高まります。
企業理念の普及に繋がる
リフレッシュ休暇の導入に伴い、従業員に対して理念を再度伝え認識してもらうことが可能です。
「家族との時間に活用してもらいたい」といったメッセージを伝えることで、従業員のプライベートも重要視している企業であると認識してもらえるでしょう。
「自己啓発や自己研鑽に努めてほしい」と伝えれば、従業員の成長を願っている企業であると認識してもらえるのではないでしょうか。
このように、企業の理念を従業員に普及・浸透させることにより、企業と従業員に一体感が生まれやすくなります。
従業員の企業に対するエンゲージメントの向上にも繋がり、よりモチベーションを高めながら業務に従事してもらうことも期待できるはずです。
他にもメリットは沢山!?
リフレッシュ休暇を取得した従業員は、その間業務から離れることになります。
企業規模にもよりますが、従業員数があまり多くない企業の場合、休暇を取っている人の代わりに別の従業員が業務を担うことになるでしょう。
先輩や上司の業務を後輩や部下が担う場合もありますし、担当外の仕事を担うケースも出てくるのではないでしょうか。
普段とは異なる業務を担当してもらうことで、新たな知識や技術の習得に繋がります。
柔軟性や対応力も高められることを期待するなど、育成の場としての活用も可能です。
同時に、適性を測る機会にもなるでしょう。現在、従業員に与えている業務が、その人の能力を最大限引き出せるものとは限りません。
リフレッシュ休暇を取っている従業員の代役として働いてもらうことにより、最も能力を発揮してくれる仕事を見つけられる可能性が高まります。
配置転換や異動の際の参考にも活用できるのではないでしょうか。
また、他の従業員の業務を担うと、その人の存在の重要性にも気づけるようになるでしょう。
助け合いの精神も育みやすくなり、従業員の成長へと繋がります。ひいては企業全体の業績アップの効果ももたらしてくれるはずです。
これらのメリットは、従業員が退職する際の引き継ぎにも役立ちます。スムーズに業務を引き継ぐことができるため、新たな人材を採用するまで、あるいは新規で採用した従業員が仕事を覚えるまでの間、業務が滞ってしまうことも少なくなるでしょう。
さらに、不正などを防ぐことも可能です。業務が属人的となり一部の人に依存する職種や職場、特に経理関係では、担当者が不正な会計処理を行う事態がしばしば起こり得ます。
リフレッシュ休暇の取得を機に別の従業員が業務を担当することにより、そうした不正の発見や防止につなげられるのです。
リフレッシュ休暇を導入するデメリット
リフレッシュ休暇を導入することで、企業にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。実際に導入する前に、考えられるデメリットを整理しておきましょう。
一時的に業務が滞る可能性がある
繁忙期にリフレッシュ休暇を取得する従業員がいた場合や、他の従業員では対応や穴埋めが難しい場合などは、一時的に業務効率が悪化する可能性が考えられます。
状況によっては完全に一部の業務をストップせざるを得ないでしょう。企業の規模が小さい場合は、その間の収益にも大きなダメージを与えかねません。
従業員の少ない企業のリフレッシュ休暇制度の導入が進んでいない背景には、このデメリットが関係しているのではないでしょうか。
生産性の向上やイノベーションの創出を目的としてリフレッシュ休暇を導入したとしても、取得する時期や従業員の人数・能力によっては逆効果となってしまうケースがある点は押さえておく必要があるでしょう。
運用、導入にコストがかかる
これまでリフレッシュ休暇をはじめとした特別休暇制度を導入していなかった企業の場合、休暇の取得率を上げるまでに時間がかかると考えられます。
リフレッシュ休暇制度を導入したとしても、取得する従業員がいなければ意味がありません。形骸化しないための工夫が必要です。
従業員に浸透させ、積極的に取得してもらうためには企業側からの十分な働きかけが必要となるでしょう。導入と同時に積極的な制度の発信と取得の促進活動が求められます。
従業員が上手に活用できない制度となってしまえば、導入を決定した担当者や部署、さらには企業に対して不信感を抱く従業員が出てくるリスクがあることも認識しておきましょう。
リフレッシュ休暇は企業が独自で導入できるため、取得に際して賃金の支給を保証する必要もありません。
しかし、多くの導入企業では従業員に積極的に取得してもらうために、賃金の全額あるいは一部を支給しています。
リフレッシュ休暇はコスト面でみれば企業に負担のかかる制度といえるでしょう。
取得要件を満たした従業員すべてがリフレッシュ休暇を利用すれば、それだけコストがかかるため、特に規模の小さな企業では収益に大きな影響が出ることが懸念されます。
制度の内容によりますが、すべての従業員が休暇を取りたいと考えているとは限h2りません。
そのような従業員は、休暇を取らないこと自体には不満は持ちませんが、リフレッシュ休暇を取得している従業員の業務を担わされることに対して不満を感じてしまう可能性は出てくるでしょう。
部署ごとに制度や状況が異なる場合も注意が必要です。満遍なく取得できる部署がある一方で、それが不可能な部署があれば不満を訴える従業員が出てくることは十分に考えられます。
不公平な制度となれば、やはり形骸化へと繋がりやすくなるでしょう。
上手に取り入れることでモチベーションやエンゲージメントが上がる制度ではありますが、場合によってはこれも逆効果となり、より仕事熱心な人の離職が増える可能性も否定できないため注意しなければいけません。
リフレッシュ休暇導入のポイント
企業がリフレッシュ休暇を導入する際のポイントや注意点をまとめます。
形骸化することなく、また、一部の従業員から不満の声が出るような不公平感の強い制度としないためにも、しっかりとポイントを押さえておきましょう。
取得条件
リフレッシュ休暇は法定休暇ではないため、取得条件も企業が独自で定める必要があります。
しかし、転職が当たり前の時代となりつつある現代において、企業で働く人のすべてが新卒入社とは限らない点は考慮する必要があります。
例えば、新卒で入社して5年目でリフレッシュ休暇の取得条件を満たした従業員がいる一方で、転職して入社した30代の従業員がしばらく取得できないとなれば、さまざまなところから不満の声が聞こえてくる可能性は考えられるでしょう。
取得できないことに不平を漏らす従業員がいるだけではなく、年齢や役職が上の従業員を差し置いてリフレッシュのための休暇は取得できないと考える若い従業員が出てこないとも限りません。
また、細かすぎる取得条件を設定すると、条件を満たしているにもかかわらず取得を申請しない従業員が出てくる可能性もあります。
その場合は給与明細に取得可能であることを記載するなどの工夫が求められるでしょう。取得条件をあまり厳しくしすぎると、制度導入の意味がなくなりかねない点にも注意が必要です。
新たに導入するのであれば、可能な限り多くの人が容易に取得できる条件を設定することが求められます。
設定した条件は、誰でも簡単に確認できる状態にしておくことも重要です。分かりやすい制度を目指すことを意識しなければいけません。
付与日数
厚生労働省の調査によると1回あたりの最高付与日数は5.5日ですが、これも法律で決められているわけではないため、企業ごとに自由に設定するとよいでしょう。
企業によっては、勤続年数が増えるにつれて付与日数も増やすところがあります。不公平感が出なければこのような形でも構いませんが、やはり可能な限り公平な制度設計を心がけることが重要です。
一定の日数を強制するのではなく最高日数のみを設定し、その範囲内で従業員が自由に休む日数を決定できる企業もあります。
長い休暇を取ることに抵抗感の強い従業員が多い場合は、このような付与日数の決め方が参考になるのではないでしょうか。
制度として受け入れられる為に
リフレッシュ休暇を形骸化しないためには取得条件や付与日数設定の工夫のほか、休暇中も賃金の支給を行う必要があるでしょう。
さらに、上司や管理職といった上の立場にいる人たちが積極的に取得することも重要です。法定休暇であっても取得に抵抗感を持つ人は少なくありません。
リフレッシュ休暇のような特別休暇であればなおさらでしょう。
立場のある人が積極的にリフレッシュ休暇制度を利用することで、徐々に企業の文化として浸透していきます。
休暇取得が当然の状態とするためには、当初は多少の負担を企業が受け入れてでも積極的に取得を促す必要があるのです。
自社の状況や従業員の性質などに合った制度を導入することも大きなポイントとなります。
義務化することも一つの手段とはなりますが、従業員数の少ない職場や各従業員が重要な業務を担っている場合には、そう簡単には義務化できないでしょう。
年齢など従業員の構成も企業ごとに異なります。自社の分析を丁寧に行い、無理のない範囲で取り入れながら実施していくことが重要です。
導入後、従業員の声や生産性、作業効率なども考慮しながら段階的に制度の改定を行い、徐々によい制度へと作り上げていくとよいのではないでしょうか。
おわりに、「仕事探し」って実は難しくないんです
新たな環境に身を置こうと考えたとき、誰しも必ず「不安」と出遭うことになります。
本当に自分のやりたいことができるのか、よくない意味での「想像とのギャップ」はないだろうか、自分で務まる業務内容なのだろうか...。
「仕事探し」というものがとてつもなく難しいものに思え、孤独を感じている人もいるのではないでしょうか?
でも、「仕事探し」って実は難しくないんです!
仕事を決めるときに必要なのは「自分の良いところを武器に前向きにぶつかること」、言ってしまえばこれだけなんです。
「でも自分に良いところなんてないよ~…」なんて嘆いているそこのあなた!長所や強みは誰しも絶対にあります。可能性のある存在を否定するほどもったいないことはありませんよ。
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