地方公務員の平均年収は660万円!?

公務員と民間企業の平均年収はどれくらいの違いがあるのでしょうか。公務員といっても、国家公務員と地方公務員、さらにはその業種によって収入は異なります。

そのため、まずは政府が発表しているデータを基に、地方公務員の平均年収と国家公務員、民間企業の平均年収をそれぞれ比較して、どれくらいの差があるのかを見ていきましょう。

地方公務員と国家公務員の平均年収

地方公務員といっても、年代や職種、学歴によって年収に開きがあります。総務省「令和3年地方公務員給与の実態」によれば、これらを考慮せずに平均月収を見た場合は約36万円となり、賞与を含む平均年収はおよそ660万円です。

ちなみに、国家公務員の平均月収は人事院の「令和3年度国家公務員給与等実態調査の結果」によると約41万円と地方公務員よりも高額ですが、平均年収は600～800万円と幅があり、全体の平均としては地方公務員とそれほど大きく変わらず、660万円台です。

国家公務員は専門性が高く、中央に近いところで働くほど高給になりますので、地方公務員以上に年収の幅があります。

※引用元　令和3年　地方公務員の給与の実態

民間企業の平均年収

では、民間企業の平均年収はどうなっているでしょうか。こちらも職種や企業の規模などによって金額の開きはありますが、国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査」の結果を見ていきましょう。

パートやアルバイトを含めて全体で見た場合、男女合わせて全業種の平均年収は約433万円です。

一方、正規雇用に限定して平均年収を見た場合は約495万円と多少増額にはなっていますが、それでも公務員と比較すると160万円以上の金額差となっています。

加えて、公務員は年収で男女差がないのに対し、民間企業は男性の平均年収が約532万円、女性の平均年収が約292万円と性別による金額差も大きく開いているのが特徴です。

※引用元　国税庁　「令和2年分民間給与実態統計調査」

地方公務員の年代、職種、学歴別の平均年収

地方公務員は年功序列のため、年代が上になるほど給料が高額になります。

また、職種によって手当が異なりますし、就職時の学歴も給与計算に加味されますので、それぞれに平均年収が異なってきます。

年代別に見た場合、20代の平均年収は300～380万円と民間企業よりも低い傾向が見られますが、30代になると380万〜500万円、40代では500万〜630万円、50代は630万〜670万円と安定した増加傾向です。

地方公務員の職種は多岐にわたっており、専門資格の取得が必要な医師職や教員職は地方公務員の中でも平均年収が高額になっています。

一般行政職や技能労働職の平均年収は530万円前後となっている一方で、医師・歯科医師職は870万円、高等学校教育職は約630万円、小・中学校教育職は600万円と同じ地方公務員でもかなりの金額差です。

一方、福祉職の平均年収は約480万円、消防職は約520万円、警察職は約560万円となっています。

次に、学歴別で平均年収を見ていきましょう。24～27歳の学歴別平均年収を見ると、大学卒で約447万円、短大卒で約415万円、高校卒で約418万円、中学卒で約419万円です。

この年代では大学卒の年収が高額になっている点が特徴的ですが、資格取得者である医師や教員が平均を押し上げているためと考えられます。

一方で、資格による年収の差がほとんどなく、勤続年数が昇給に大きな影響を与える大学卒以外の学歴では、最も長く勤務している中学卒の年収が高く、次いで高校卒、短大卒の順になっており、学歴の高さと年収が逆という結果です。

では、56～59歳になるとどうなっているでしょうか。大学卒は約869万円、短大卒は約785万円、高校卒は約797万円、中学卒は約743万円です。

このことから、短大卒は高校卒とあまり違いがないものの、最終的には学歴によって大きな年収差になることが分かります。

※引用元　令和3年　地方公務員の給与の実態

地方公務員の平均ボーナス額

月給に関して言えば、国家公務員、地方公務員、民間企業の順で平均額に差が生じています。

では、ボーナスについてはどのようになっているのでしょうか。ここでは、地方公務員のボーナスの平均額と国家公務員、民間企業のボーナスとの違いについて見ていきましょう。

地方公務員のボーナス平均額

総務省「令和3年地方公務員給与の実態」によれば、地方公務員のボーナスは月給の4.45か月分ですので、平均額は約160万円です。

ただし、この平均額は年代や職種、学歴を考慮していませんので、実際の支給額にはかなりの差があります。

※引用元　総務省「令和3年地方公務員給与の実態」

国家公務員・民間企業のボーナス平均額との違い

一方、内閣官房人事局の「令和3年国家公務員の給与」によれば、国家公務員のボーナスの算出根拠も地方公務員と同じく月給の4.45か月分で、平均額は182万円です。

もちろん、こちらも地方公務員のケースと同じように人数や年代、職種、学歴の分布に違いはありますが、平均だけで言えば国家公務員の方が地方公務員よりも20万円以上高額の支給になっていることが分かります。

※引用元　内閣官房人事局　「令和3年国家公務員の給与」

では、民間企業のボーナスはどうなっているでしょうか。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によれば、令和2年の夏季賞与と令和元年の冬季賞与の合計額は約77万円となっており、地方公務員の平均額から80万円以上の差額が生じています。

民間企業は景気に左右されやすく、特にボーナスは景気の面で好調とは言い難かった令和元年から令和3年にかけて減少傾向です。

また、大企業では年間のボーナスを基本給の5か月分、中小企業は基本給の2か月分としていることが多く、企業の規模によっても金額差が大きくなっています。

※引用元　厚生労働省　「毎月勤労統計調査」

特にボーナスの水準が高い職業

地方公務員の中でも、専門知識や資格を必要とする医師職、教育職などのボーナスは高額です。

国家公務員の場合も同様に、司法試験の合格が必要な裁判官や検察官などが年収、ボーナス共に高水準となっています。

民間企業の場合には、高い専門知識やスキルを必要とする職業が高水準になりがちです。

例えば、内部監査業務はボーナスの平均額が約177万円、法務や知的財産、特許などに関わる場合は約166万円、研究開発は約165万円と公務員に近い金額になっています。

【地方公務員】高水準職種ランキング

地方公務員の中でも、年収水準は職種によって大きく異なります。

一般的には専門性が高い職種ほど高水準になりますが、採用されるには公務員試験に合格するだけでなく、資格の取得も必須条件です。ここでは、総務省「地方公務員数の状況」から年収水準が高い職種を順に見ていきましょう。

※引用元　総務省「地方公務員数の状況」

医師・歯科医師職

地方公務員の中で最も年収水準が高くなるのは、医師免許を取得して公立病院などで勤務している医師・歯科医師職です。

地方公務員として安定した仕事に就ける上、民間の医療機関と比べて福利厚生が充実していますので、医師として働きながら自由時間も確保したいという人に向いています。

一方で、難関国家資格である医師免許の取得が必要不可欠であること、職場を選べないこと、独立すればさらに高額の収入を得られる可能性がある中で決められた場所で勤務する必要がある、ということなどがデメリットして挙げられます。

高等（特別支援・専修・各種）学校教育職

公立の高等学校の教員は、医師職に次いで年収が高水準の職種です。

高等学校は自分が得意とする教科を担当できますので、苦手な教科があっても教員として働ける点、生徒の年齢が10代後半と高めなことから指導がしやすい点などがメリットとして挙げられます。

進路指導に関わりたい人、専門教科を深く教えたい人に向いていると言えるでしょう。

一方で、将来に大きく関わる年代でもありますので、大学受験に向けたプレッシャーは大きいです。また、補習や部活の顧問などの授業外の業務も多く、激務な点がデメリットと言えます。

小・中学校（幼稚園）教育職

小・中学校の教員は、高校ほどではありませんがやはり年収が高水準です。授業以外で生徒と関わることも多く、幅広い分野の指導を行えるため、勉強ばかりを教えるのではなく、生徒としっかり関わりたいという人に向いています。

デメリットとしては、進路や学力によって生徒が振り分けられている高校とは異なり、希望する進路や学力のばらつきが大きいため、きめ細やかな対応が求められて負担が大きくなりがちな点です。

また、高校よりも学校の数が多いため、都道府県内での転勤でどこに赴任するか読みにくく、体力が必要な仕事になります。

警察職

特別な資格を必要としない地方公務員の中では、警察職が高水準です。治安を守るというやりがいのある仕事ですし、他では得られない経験も多く、正義感が強い人や体力に自信がある人に向いています。

一方で、署内では協調性が重視される傾向があり、自由を好む人には息苦しく感じられる可能性があります。また、急な呼び出しや夜勤、転勤などもあるため、1つの所に落ち着いて働きたいという人には向かないでしょう。

一般行政職

一般行政職は、様々な部署で行政に関する一般事務を行います。事務職ですから基本的には定時に帰宅することができ、特別な資格も必要としません。

地方の行政に関わって地域を盛り上げたい、事務職として安定した収入を得たいという人に向いています。

その一方で、部署ごとに処理内容が異なるため、なかなか業務に慣れることができないというデメリットがあります。クレーム対応をすることもあるため、ストレスが溜まる可能性もあるでしょう。

地方公務員と国家公務員と民間勤め、どっちを選ぶべき？

地方公務員と国家公務員と民間企業勤め、いずれも勤務内容や待遇、年収が異なりますので、人によって合っている勤務先は様々です。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

地方公務員のメリット・デメリット

地方公務員は、主に都道府県や市区町村内での勤務になるため、転勤があってもそれほど遠方にはなりません。

安定した収入と慣れ親しんだ土地で勤務ができる点、福利厚生が充実していることから人気の高い職業です。

一方で、顧客を選ぶことができず、クレーム処理に追われる可能性が高いこと、人員削減が進んでおり、一人あたりの事務処理量が増加していることなどがデメリットとして挙げられます。

民間に比べて年収が高いとはいえ、勤務時間や精神的な負担を考慮すれば給料が安いと感じている人も少なくありません。

また、新しい部署で覚えなければならないことが多く、全員が異動するため引継ぎが困難な点もデメリットの1つです。

国家公務員のメリット・デメリット

国家公務員のメリットは、平均年収で見ればかなりの高水準も期待できる給与体系になっている点です。

全体の平均で見た場合には地方公務員との大きな違いはありませんが、特殊技能や資格を必要とする業種や中央で勤務するケースなどに該当すれば、高額な収入を目指すことができます。

また、地方よりもさらに大きい、国の元で働くということでやりがいも得られるでしょう。一方で、国家公務員は基本的に全国転勤があります。

持ち家を購入しても住み続けることは困難ですし、数年単位で転勤が続きますので引っ越し回数が多く、子どもの転校や地域への定着が難しいという点はデメリットと言えます。

民間勤めのメリット・デメリット

民間勤めは実績に応じて昇給や昇進が異なりますので、スキルや実績を持っている人、実力主義の仕事に挑戦したい人にはぴったりです。

また、公務員は良くも悪くも年功序列で収入が固定されていますが、民間ならば業績次第で収入の大幅アップも不可能ではありません。

待遇や給与体系は企業によって様々ですので、勤め先によっては公務員より好待遇で働くことも可能です。

一方で、民間企業は景気に左右されやすく、大幅な減収や倒産などの可能性があります。また、縁故採用などの理不尽に思われる待遇の差などもありますので、企業選びには慎重になる必要があるでしょう。

このように、年収だけでなく働き方や待遇も全く異なりますので、長く働くことを考えたら給料だけでなく、自分に合った働き方ができる職場を選ぶ方が大切です。

将来どこで働きたいか、やりがいのある仕事内容なのか、スキルアップやプライベートの充実など、何を重視したいのかをよく考えてから就職先を決めるようにしましょう。

公務員を目指す場合には、筆記試験や面接を受けて合格しなければなりません。

安定した就職先ということで人気がありますので、早めに準備しておいた方が良いでしょう。

そして、民間勤めを選ぶ場合には膨大な企業から自分に合ったところを探し、求人に応募して書類作成や面接の準備をしなければならないため、転職エージェントを利用するのがおすすめです。

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