転勤拒否が認められる6つのケース。拒否する際の手順も紹介
規模が大きい会社だと転勤を命じられることも少なくありません。住み慣れた土地を離れたくないなどの理由で転勤を断りたいと思っている人もいることでしょう。
しかし、転勤を断ると会社で出世できなくなるのではないか、そもそも転勤を断ることすらできないのではと不安になることも多いはずです。そこで本記事では転勤は拒否できるのか、拒否が認められるケースとはどんな場合なのかをお伝えいたします。
転勤は拒否できる?
転勤は基本拒否できません。多くの企業では就業規則で転勤に応じる規則が定められています。
そしてこの場合、正当な理由なしに転勤を拒否した場合、「入社時に転勤が命じられたら応じることに同意したはずなのに応じなかった」として、規則違反で降格などの処分の対象になる可能性があります。
ただ、転勤が発生する場合、いきなり転勤を命じられるケースは少ないです。基本的には転勤の辞令が出る前に面談で転勤の可能性があることを伝えてくれます。
この段階で転勤が難しい事情があるなら、上司に伝えておくことで正式に辞令が出る前に他の人に話を回してくれる可能性があります。
転勤拒否が認められる6つのケース
状況によっては転勤が拒否できるケースも存在します。それでは、その転勤が拒否できるケースやその理由、拒否する際の注意点やコツを紹介していきます。
就業規則に転勤について明記されていない場合
転勤に関する規約が就業規則に存在しない場合、転勤を拒否したとしても何も問題ありません。
ただし全国に拠点がある企業の場合は基本的に就業規則に転勤に関する記載があるので、なかなか難しいものと思っておくと良いでしょう。
また、就業規則は入社前に確認できないケースが多く、その場合雇用契約を結ぶ入職のタイミングで就業規則を確認することになります。
しかし、特に新卒の人の場合まだ契約を結ぶ経験が少ないがゆえに契約書をよく読まずにサインしてしまう人も少なくありません。
また入社の日は手続きも多く、「就業規約は後で読んでおいて下さい」と言われてしまうこともよくあります。転勤の有無に関わらず契約書にサインをする場合はまず内容をよく読んで、納得してからサインしましょう。
またこれまで拠点が一つしかなく、事業拡大のために新しく拠点を作ることになったような企業の場合、転勤が発生することを想定しておらず、就業規則に転勤に関する記載が無い可能性があります。
この場合に限らずどんな場合でもまず転勤を拒否したい場合はまず就業規則に転勤に関する項目があるか確認しましょう。
契約上、勤務地が制限されている場合
限定正社員と言って、勤務地域や勤務時間など労働条件に制約を設けて採用を行う企業も存在します。
そして限定正社員の場合、転勤が一切ない、もしくはあったとしても通勤範囲内など負担が少ない条件で採用を行うケースがあります。
限定正社員で勤務地に制約を設ける場合、種類は主に事業所固定型・勤務範囲限定型・エリア指定型の3つの種類があります。
まず事業所固定型は転勤が一切なく、定年もしくは自分が退職を希望するまで同じ職場で働き続けられます。次に勤務範囲限定型は、転勤を命じるにしても自宅から通える範囲であることを条件に採用を行います。
勤務範囲に関しては、電車や自動車で〇分などと通勤時間を基準に転勤先が決まることが多いです。
そしてエリア指定型は〇〇地方の範囲やその都道府県内などエリア単位で転勤先の範囲が指定されているケースを言います。このタイプは公立の学校の先生などに多いです。
これらのような限定正社員は1年以内から2〜3年程度の短期間で転勤が発生しやすい、全国チェーンの飲食店や小売店などで採用されやすい傾向があります。
また、現代では転勤せず地元で安定して働きたいという考えの人が増えています。そのため、全国転勤が発生する採用枠と転勤を希望しない限り転勤することがない採用枠を設ける企業も大手を中心に増えています。
この場合転勤がない採用枠は転勤がある採用枠よりも年収が低く設定されているなど条件は下がるものの、生活の安定という面でメリットが大きいのであえて転勤がない枠に応募する人もいます。
これまで紹介してきたように、転勤がない前提で採用されている場合、社員は社則に反している訳ではないので当然転勤を提案されても断れますし、会社側は転勤を強要したり、転勤を断った際に処分を下したりすることはできません。
また、転勤の範囲に関して制限がある枠で採用された場合もその範囲外にあたるエリアへの転勤も断って問題ありません。
転勤を命じる業務上の必要性がない場合
業務上転勤をする必要が無いのに転勤を命じられた場合も断ることはできます。
新しい事業所を立ち上げるのにリーダーが必要だったり、退職者が出て近くの事業所にそのポジションを任せられる人材がいなかったりする場合は、そのポジションの人がいないと業務が回らないのでやむを得ないと言えるでしょう。
それに対して転勤先の事業所が人員を必要としていないのに転勤を命じられた場合などは不要な転勤と判断し、断ることができます。
ただ、転勤が業務上必要なものかどうかを転勤前に個人が判断するのは困難ですし、業務上転勤が必要ないものであったと法的に判断されるケースは限られています。したがってこのケースで転勤を断るのは難しいものと考えておきましょう。
転勤命令が不当な目的による場合
転勤が業務に必要なものでなく、不当な理由である場合も当然断ることができます。
例としては上司と反りが合わず、上司の判断で別の勤務地への転勤を命じられた、過去に事情があって転勤を拒否したらさらに交通の便が悪い土地への転勤を命じられたなど嫌がらせ目的の転勤が挙げられます。
ただ、このように不当な理由で転勤を命じられた場合、会社側が本当に悪意を持って転勤を命じたのかどうか、判断が難しいところがあります。
実際、転勤を命じられた社員がその部署で結果を出せず別の部署の仕事を任せたいという目的だったり、その人が過去に部署内でトラブルを起こして実質左遷という意味合いの転勤だったりなど、マイナスな理由での転勤もあるかもしれません。
しかしこれらの場合のような人員不足などに関係しない転勤だったとしても、しっかり正当な理由があるうえでの転勤と判断される可能性が高いです。
日頃からハラスメントなどを受けているならその証拠をしっかり固め、転勤を命じた上司よりも立場が上の人や人事に相談しましょう。
育児・介護など、やむを得ない事情がある場合
育児や介護など、その土地を離れられないやむを得ない事情がある場合も転勤を断れます。しかし、このケースで転勤を断れるケースは限られているのが難点です。
ただ子供が生まれたばかりだったり、親が病弱だったりしても、自分以外に子供の面倒を見たり親の世話をしたりする人がいれば断れません。
やむを得ない事情が認められる例としては、片親で子供の面倒を近くに住む祖父母に見てもらっている場合や、子供が重い病気にかかっていてその地域でしか専門の治療を受けられない場合、独身で親の介護をする人が自分しかいない場合などが挙げられます。
基本的には育児や介護を自分の代わりに行ってくれる人がいれば、家族での引越もしくは単身赴任で対応するしかありません。
転勤先が雇用契約書の内容と異なる場合
転勤先が入社時に雇用契約書に書いてあった勤務地とは異なる勤務地だった場合が挙げられます。勤務地はその会社で働くかどうかを決める重要な情報であると言えるでしょう。
そのため、労働基準法15条1項、労働基準法施行規則5条3号において、勤務地は書面で労働者に対して通知しなければいけないと定められています。
そこで入社時のタイミングで通知されていた勤務地以外の場所への転勤を命じられた場合、契約違反となるので、転勤を断ることができます。
ただ、積極的に全国展開をしている企業の場合このケースを想定して、勤務地に関する記載が無い代わりに配属先の部署を明記するケースが多いです。
この記載があるかどうかで転勤を断れるかどうか大きく左右されるので、予定外の勤務地への転勤を断りたい場合は雇用契約書を確認しましょう。
転勤を拒否する際の手順
それでは、転勤を断りたい場合どのように断るのがベストなのでしょうか?
まず転勤がある場合はいきなり転勤を命じられるわけではなく、基本的に内示と言って上司から面談などで転勤が発生する可能性がある旨を伝えられます。
しかしこの内示に法的な効力はなく、この段階で転勤を断ったとしても、会社から転勤を命じられれば余程の事情がない限りは従わなければいけません。
ただ、この段階でできるだけ詳しく事情を話しておけば、上司が会社とかけあってくれる可能性が高くなります。そのため、できるだけ転勤をすることでどれだけの不利益を被るのか話しましょう。
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そもそも転勤を命じられる前に子供の病気など転勤が難しい状況なら、周りに話しておくことで自分に転勤の話が回ってこないように配慮してもらえます。
介護や子供の病気は話しにくい部分もあるでしょうが、軽く上司の耳に入れておくと良いでしょう。この際に大切なのは嘘をつかず誠実に事情を話すことです。
余程上司との関係が悪くない限り上司も部下の意向に寄り添いたいと考えるものです。周囲との関係を悪化させないためにも、転勤が難しい理由を上司に丁寧に伝えましょう。
そして内示で断ったけれども正式に会社から転勤の辞令が出てしまった場合は、上司にかけあったところで覆すのが難しいです。この場合、転勤の理由に納得ができないなら上司や人事部に転勤の理由を尋ねてみましょう。
もしその理由が正当なものであれば、家族の病気などやむを得ない事情がない限り従うか、会社を辞めるしかありません。
それに対して正当な理由でないと言える場合は、転勤を判断した人物などから話を詳しく聞きましょう。この際、交渉時に会社とのトラブルがこじれないように録音することをおすすめします。
そして自分が不利益を被る転勤であると判断したなら、その旨と理由を書面にまとめて会社に提出しましょう。
ただ、個人でここまで会社に抵抗すると、会社からの扱いが悪化してしまうリスクが考えられます。
また会社にはお抱えの弁護士がいて労働トラブルなどの専門的な知識・経験も豊富な可能性があり、個人が会社と戦うのはかなり不利になると想定されるでしょう。
そのため、正当な理由があっても転勤を断れない場合、弁護士を立てて対処するのがおすすめです。
転勤を拒否できなさそうなら
悪意があって転勤を命じるケースは少ないです。実際に転勤して別の勤務地で働くようになったことで、自分に向いている仕事がどんな仕事かわかった、新しい勤務地での生活が前よりも楽しいと感じるという人もいます。
加えて、転勤に対応することでその会社での昇進や昇給が約束されるケースもあります。
しかし転勤は生活環境を変えなければいけないので家族がいる人の場合家族に大きな負担となる、交通の便が悪い田舎に引っ越さなければいけないなどストレスが大きいのも事実です。
そのため、転勤を命じられた場合はすぐに断ろうとするのではなく、メリットとデメリットを冷静に比較してどちらが大きいかを考える必要があります。
そこで転勤に応じることにするなら良いですが、よく考えた後に転勤するのはデメリットが大きい、そして転勤を断ったら今の会社での待遇が悪くなりそうと判断する人もいるでしょう。その場合、転職するのも一つの解決策と言えます。
今の会社で転勤を提案されるほど経験を積めているなら転職後給料が上がる可能性もあるでしょう。転職すれば転勤の心配もなくなり、住み慣れた土地で落ち着いて働けます。
ただし、転勤が命じられるのは早くて2ヶ月前、ギリギリの場合では1週間〜2周間前に命じられることもあります。そのため、転勤を避けたくて転職しようとする人は、「次の仕事を今すぐに見つけなければいけない」と焦ってしまうかもしれません。
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おわりに、「仕事探し」って実は難しくないんです
新たな環境に身を置こうと考えたとき、誰しも必ず「不安」と出遭うことになります。
本当に自分のやりたいことができるのか、よくない意味での「想像とのギャップ」はないだろうか、自分で務まる業務内容なのだろうか...。
「仕事探し」というものがとてつもなく難しいものに思え、孤独を感じている人もいるのではないでしょうか?
でも、「仕事探し」って実は難しくないんです!
仕事を決めるときに必要なのは「自分の良いところを武器に前向きにぶつかること」、言ってしまえばこれだけなんです。
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