単身赴任のメリット

単身赴任とは、勤務先から転勤を命じられた際に家族と離れて本人だけが住まいを移すことです。同じ転勤であっても、家族と一緒に引っ越す場合は単身赴任とはいいません。

単身赴任を選ぶ理由は家庭によってさまざまですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。まずは単身赴任のメリットについて解説します。

新しい環境に身を置ける

単身赴任のメリットは、新しい環境に身を置けることです。単身赴任の場合は自分で望んで引っ越しする訳ではなく、企業から命じられた地域に赴きます。

引っ越しに対して不満に思う方もいると思いますが、実際にその地域に暮らしてみることで、今までは知らなかった魅力に気づく可能性があります。

新しい環境で趣味を見つけたり、単身赴任先で新しい知り合いができるなど、転勤先で新しい経験ができるかもしれません。新しい土地に慣れたら、家族を呼んで旅行するのも一つです。

家族が来てもホテル代がかからないので、長期休暇を利用して単身赴任先でゆっくり過ごすのも良いでしょう。

家族の環境を変えずに済む

家族の環境を変えずに済むのもメリットの一つです。家族で転勤先に引っ越すと、家族全員の生活が大きく変わります。配偶者が仕事をしている場合、リモートワークが可能なら問題ありません。

しかし、仕事内容によっては、転勤に合わせて仕事を辞める必要が出てきます。

また子供が就学している場合、それまで通っていた学校から転校させなければいけません。子供が今までの学校に馴染んでいるなら、転校を嫌がるでしょう。

子供が転校を了承したとしても、子供の生活や転校先の学校の環境などによっては、なかなか馴染めないという問題が発生する可能性があります。

しかし、単身赴任を選択すれば、配偶者や子供の生活を変える心配はないので安心です。

自由時間が増える

自由時間が増えることも単身赴任のメリットの一つです。家族と一緒に暮らしていると、自分の自由な時間は取りにくいものです。

休日は家族との時間を優先するため、自分の趣味にあてる時間が確保できないという人が多いのではないでしょうか。家族と一緒に楽しめる趣味なら良いですが、一人で楽しむ趣味なら徐々に趣味が疎かになっていきます。

意識して趣味の時間を取ろうとしても、配偶者から文句を言われて思い切り自分の時間を楽しめないという人もいるでしょう。

しかし、単身赴任になると独身時代のように自分の好きなことに使える時間が増えるため、趣味に時間を使ったり飲みに出かけやすくなります。

一人で過ごす時間が好きな人なら、充実した時間を過ごせるはずです。単身赴任中は自分の自由な時間を楽しみ、自宅に一時帰宅する際は家族との時間を確保すると、生活にメリハリが出て両方楽しめます。

家事が自分の分だけで済む

家族と同居している時に自分が担当する家事がある方なら、単身赴任中は家事が自分の分だけで済むので楽になります。家族全員分の家事をするより、一人分の方が時間を大幅に短縮することが可能です。

仕事が忙しい時は洗濯や掃除はまとめて週末にしたり、平日は外食や出前を取るなど、家事の量を自分で調整できるのもメリットです。家事を後回しにしたり手を抜いたとしても、文句を言う人はいません。

好きな時に家事をして好きな食事を用意するなど、自分の思う通りに生活できます。

家事が得意になる

単身赴任中は仕事で疲れていようと、料理や掃除などの家事は自分でやるしかありません。配偶者に家事を任せているという方も、単身赴任をすることで家事が得意になっていきます。

単身赴任中に家事を頑張って、自宅に帰省した時に家族に家事ができる自分をお披露目してみてはいかがでしょうか。

また自分で家事を行うことで、家事をこなしながら子供のお世話をしている配偶者に対して、改めて感謝する気持ちも出てくるでしょう。

単身赴任で培ったスキルを使って家事や育児をサポートするようになれば、配偶者との関係が良くなるはずです。

夫婦喧嘩が減る

毎日一緒にいると息が詰まって喧嘩が増えてしまう夫婦もいると思います。そんな夫婦は別々に暮らすことで、喧嘩が減る可能性があります。

また、単身赴任で家族と離れて過ごすことにより、同居しているとなかなか気づけない家族の大切さを改めて感じられます。

ただし、家族と離れて暮らすと会話が少なくなる傾向にあるので注意しましょう。意識して家族とコミュニケーションを取らないと、家族関係が希薄になってしまいます。

単身赴任のデメリット

単身赴任にはメリットだけではなく、デメリットも存在します。メリットとデメリットの両方を理解したうえで、単身赴任をするかどうか選びましょう。

引っ越し準備に手間がかかる

単身赴任のデメリットは、引っ越し準備に手間がかかることです。基本的には転勤の辞令が出されてから転勤先に移動するまで、それほど時間はありません。

単身赴任用の寮が用意されていることもあるものの、場合によっては自分で住まいを探さなければいけないので大変です。休日などを利用して住む場所を探すことになりますが、土地勘のない場所だと時間がかかります。

スムーズに引っ越し準備をしたいなら、転勤を経験している同僚から役立つ情報を聞いてみてはいかがでしょうか。引っ越し準備についての経験談を教えてもらえますし、新しい赴任先にいる社員を紹介してもらえるかもしれません。

生活費が二重にかかる

単身赴任をすると生活費が二重にかかるため、支出が増えます。企業から出る手当もありますが、生活費を全額支払ってくれる訳ではありません。

光熱費や食費は二重にかかりますし、家族の元へ行き来する度にかかる交通費も必要になります。

政府統計の総合窓口であるe-Statの「家計調査 家計収支編 単身世帯」のデータによると、平均消費支出は約17万円です。

また、厚生労働省と政府統計がまとめた「平成27年就労条件総合調査の概況」によると、単身赴任手当などの平均は約46,000円です。

データの平均値で見ると、10万円以上は自己負担になる可能性があります。

家族と一緒に暮らす時より生活費がかかるため、単身赴任中は貯金がしにくいと考えておきましょう。なるべく無駄遣いせずに、決められた予算内で生活するように気をつけてください。

家事を全て自分でこなす必要がある

人によっては、家事を全て自分でこなす必要があるというのもデメリットです。家事を配偶者に任せていた人にとって、慣れない家事をするのはストレスとなります。

近くに飲食店やコインランドリーなどがあれば家事の手間を減らせますが、時間もお金もかかります。

経済的に考えて、自分で家事を行う必要が出てくることがほとんどです。予算内で便利なお店を利用しつつ、少しずつ家事を覚えていくのが良いでしょう。

孤独を感じやすい

毎日家族と一緒に過ごしていた方は、単身赴任により孤独を感じやすくなるというデメリットがあります。週末に気軽に帰れない遠方で勤務することになれば、イベントや記念日ごとに帰宅するのは難しいでしょう。

外出先で家族連れを見る機会があると、さらに孤独感が増します。家族と行動する時間が長かった方は孤独を感じやすいため、単身赴任にはあまり向いていないといえます。

短期間の単身赴任なら我慢できるでしょうが、何年にも及ぶ長い転勤は精神的に大きなダメージになるかもしれません。孤独を感じる時間を減らすためにも、定期的に家族と連絡する機会を設けてください。

家に一人でいると孤独を感じやすくなるので、交友関係を広げて友人・知人と出かける機会を増やすのも良いでしょう。

生活リズムが乱れやすくなる

生活リズムが乱れやすくなるというのも、単身赴任のデメリットです。家族と生活している時は、休日でも外出の予定があると早起きしたり、子供に合わせて早めに寝る方が多いと思います。

家族と一緒に過ごすことで、規則正しい生活を維持できているという方も少なくないでしょう。

家族と離れて一人で過ごすようになると、休日前は深夜までお酒を飲んだり、休日は好きな時間まで寝て何もしないまま1日が終わるといった生活になる人がいます。

家にいる時にダラダラ過ごしてしまい、最低限の家事も億劫になると生活リズムはさらに乱れます。生活リズムが乱れないように、休日は積極的に予定を入れることをおすすめします。

また自分がだらけやすい時間に家族から電話してもらえば、動き出すきっかけになるでしょう。

子供の成長を間近で見守れない

単身赴任のデメリットとしては、子供の成長を間近で見守れないことも挙げられます。単身赴任が決まると物理的に別々の場所で生活することになるので、家族と一緒にいる時間が減ります。

入学式や運動会といった子供のイベントに参加できず、家族から送られてくる写真を見て落ち込むという方も少なくありません。

子供の成長に立ち会えないことが増えると、「自分は何のために頑張っているのだろう」とネガティブに考えてしまいます。また、幼い子供がいる家庭では、たまに帰省すると子供が人見知りしてしまう場合があります。

子供と会えることを楽しみに帰ったのに、顔を忘れられて泣かれてしまうといった経験をする方が多いのです。

写真だけでは物足りないかもしれませんが、配偶者に頼んでたくさん写真やビデオを撮ってもらってください。それを共有してもらい、子供の成長をなるべく見逃さないように気をつけましょう。

離婚率が高まりやすい

離婚率が高まりやすいというのもデメリットです。程よい距離感ができることで上手くいく夫婦もいますが、全ての夫婦が単身赴任で関係が良くなるとは限りません。

離れて暮らす時間が長くなると、気持ちのすれ違いが生じる可能性が高まります。一緒に住んでいる時と比べてお互いの行動が見えないため、少し連絡が取れないだけで心配になり浮気を疑ってしまいます。

また、配偶者は家事も育児もワンオペで対応するため、単身赴任前より疲れが溜まります。たまに帰った時に「久しぶりに帰ってゆっくり過ごしたい」と思ってダラダラしていると、配偶者はストレスを感じてしまうかもしれません。

家族が増えると家事の負担が増えるため、「ダラダラせずに家事を手伝って」など配偶者に対する不満が出てくるからです。帰宅するたびに家の中がギスギスした雰囲気になると、徐々に自宅に帰りたくないと感じてしまいます。

また、いざ離れて暮らしてみると相手と一緒に暮らす必要性を感じなくなる方もいるかもしれません。一人でゆっくり考える時間ができることで、自分の気持ちに気づき離婚につながることもあります。

単身赴任をする際はお互いが不安にならないように、同居している時よりもこまめにコミュニケーションを取ることが大切です。

食生活が乱れやすくなる

単身赴任中は残業して帰っても夕食が準備されていません。料理が好きな人ならある程度大丈夫かもしれませんが、毎日自分のためだけに自炊するのは大変です。

疲れて帰ってから食事の準備をして、ご飯を食べたら片付けをしなければいけません。特に仕事が忙しくて残業が多くなると、コンビニ弁当やスーパーの惣菜などに頼ってしまいがちになります。

コンビニ弁当ばかり食べていると、味が濃いものばかり食べることになりますし、栄養バランスが悪くなります。食生活の乱れを改善したい場合は、宅食を利用してみてはいかがでしょうか。

近年はさまざまな種類の宅食があり、しっかり栄養バランスが考えられているものが多いです。時間に余裕がある時は自炊をし、忙しい時は宅食に頼るといった生活にすると食生活が乱れることはないでしょう。

単身赴任は拒否できる？

企業から転勤命令を受けた場合、基本的に拒否することはできません。しかし辞令ではなく内示であった場合、転勤を拒否する正当な理由があれば断れる可能性があります。

子供の病気や介護といった家族の事情があれば、転勤を拒否する正当な理由があると認められるかもしれません。

例えば、平成9年に北海道で行われた裁判では、元の勤務先に戻ることを求めて提訴した労働者が勝訴しました。

労働者と企業の間に勤務地を限定する合意はなかったものの、労働者に病気の子供と体調不良の両親がいたことから、家庭状況を知っていながら人選を誤った企業側に責任があるという結果となりました。

やむを得ない家庭の事情がある場合は、企業側に転勤が難しい旨を伝えてみることをおすすめします。

単身赴任を拒否できなさそうな場合は、転職を検討するのも一つの方法です。転職活動を行う際は、あらかじめ自分が求める労働条件が本当に叶うかどうか細かくチェックしておくことをおすすめします。

次の会社でも転勤を命じられると、また同じような悩みを抱えることになるからです。自分で転職活動をすることも可能ですが、転職エージェントを経由すると企業のリアルな実態を理解した上で応募できるので便利です。

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おわりに、｢仕事探し｣って実は難しくないんです

新たな環境に身を置こうと考えたとき、誰しも必ず｢不安｣と出遭うことになります。
本当に自分のやりたいことができるのか、よくない意味での｢想像とのギャップ｣はないだろうか、自分で務まる業務内容なのだろうか...。

｢仕事探し｣というものがとてつもなく難しいものに思え、孤独を感じている人もいるのではないでしょうか？

でも、｢仕事探し｣って実は難しくないんです！

仕事を決めるときに必要なのは｢自分の良いところを武器に前向きにぶつかること｣、言ってしまえばこれだけなんです。

｢でも自分に良いところなんてないよ～…｣なんて嘆いているそこのあなた！長所や強みは誰しも絶対にあります。可能性のある存在を否定するほどもったいないことはありませんよ。

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