国家公務員の種類一覧|仕事内容、必要な資格などをわかりやすく紹介
公務員には、国家機関で働く国家公務員と地方自治体で働く地方公務員があります。国家公務員は国全体を動かす業務を担うのに対して、地方公務員は自治体の住民を支える業務を担うのが大きな違いです。
本記事では国家公務員に注目し、国家公務員とはどのような仕事なのかという基礎知識から国家公務員の種類などを詳しく説明していきます。
国家公務員とは?
国家公務員とは、簡単に言えば国の公務に取り組む公務員のことを言います。
国の公務は国民全体から任された業務であり、「国民全体の奉仕者」として使命感・倫理観を持って職務を全うするために力を尽くすことが国家公務員の担うべき役割です。
そのため国家公務員は仕事をしていく中で、「国民全体の奉仕者」に相応しい能力や適性があるのかを評価されることになるでしょう。
国家公務員が主に担当する業務は、所属する官庁ごとに異なります。日本は、日本国憲法で定めているように三権分立制を採用しており、国の権力を行政・司法・立法の3つに分けています。
国家公務員はそれら3つの権力の下にある官庁に所属することになります。
具体的にどのような業務を担当するのかというと、各官庁が担当する分野に関する政策の企画立案をする、外交官として外国に趣き様々な分野で日本との結びつきを強くするなどです。
また、試験を受けて採用される国家公務員には、一般職、総合職、専門職の3種類があります。どの職種になるのかで業務内容が変わります。
総合職は、いわゆるキャリア官僚と呼ばれる人たちで、中央省庁を動かす幹部あるいは幹部候補です。
重要な法律案や予算案の作成、政策の企画立案、国会対応、法律が適正に運用されているかどうかの指導・監督などが主な業務です。
総合職は、短期間で異動することが多く経験を積み重ねながらスキルを磨き、国の舵取りをしていく人材へと成長していきます。それに対して一般職は、定型的な事務処理が主な業務です。
総合職のサポートと考えれば良いでしょう。総合職とは違い、一つの部署・部局に長期間在籍することが多いです。
専門職は、特定の官庁で働く特定の職種です。特定の分野に造詣が深い人物がなる職種であり、他の職種に比べて年収・待遇が良い傾向があります。
専門職にはどのようなものがあるのかというと、税金の専門家である国税専門官、財政・金融の専門家である財務専門官、労働者が安全に働ける環境を作る労働基準監督官などがあります。
担当する主な業務は、国税専門官なら税務申告が正しく行われているのかの調査や脱税の摘発・調査など、財務専門官は国有財産の有効活用や地域金融機関の検査・監督などになります。
国家公務員の職種ごとに、採用試験も異なります。
総合職を目指す場合には国家公務員採用総合職試験を、一般職を目指す場合には国家公務員採用一般職試験を、専門職を目指すならば対応する職種の専門職試験を受験して合格しなければいけません。
なお、試験には高卒者試験や大卒程度試験などの区分があります。一般職は高卒者、大卒程度、社会人の3区分、総合職の試験は大卒程度と院卒者試験の2区分です。
試験の難易度は、一般職より総合職が難しく、区分は学歴が上になるほど出題範囲が広く難解になります。専門職については職種によって難易度が変わるので、受験する試験ごとに過去のデータを確認すると良いでしょう。
以上のように、国家公務員の職種は、担当する業務の違い及び合格した採用試験の違いによって明確なすみ分けが行われています。
職種ごとに所属できる機関や収入、出世のスピードも変わるので、国家公務員への就職・転職を考えるならば、その点を考慮したうえで採用試験を受けましょう。
なお、一般職から総合職へというように職種を変えることは、試験を受けなおせば可能です。
しかしながら、その場合はキャリアが一から出直しとなりますし、今まで所属していた官庁では働けない可能性があるので注意しなければいけません。
国家公務員の種類一覧
国家公務員の種類は、所属する官庁によって分類することができます。
ここでは、行政府・司法府・立法府に属する国家公務員について、それぞれの仕事内容がどのようになっているのか、どこに所属するのか、どうすればその職につけるのかといったことを説明します。
行政府
1府12省庁職員
1府12省庁で働く職員の仕事は、各官庁が推し進める政策の企画立案及び実行を担うことです。勤務先は総合職ならば本省採用で、基本は霞が関になります。
経験を積ませるという目的で数年ごとに異動を繰り返す官庁もあり、場合によっては違う官庁や国際機関あるいは民間で仕事をすることもあります。
一般職の場合は、本省だけでなく地方採用も選べます。総合職のように違う官庁で働くことはありません。異動がない、あるいは全くない官庁を選べば転勤のストレスからは解放されるでしょう。
1府12省庁職員となるためには、まず国家公務員採用試験に合格しなければなりません。総合職は国家公務員採用総合職試験、一般職なら国家公務員採用一般職試験を受験します。
筆記試験の1次試験に合格すれば、集団面接・集団討論の2次試験に進めます。2次試験に合格したら、最終合格者として採用候補者名簿に名前が記載されます。
ここで誤解する人もいるのですが、最終合格者になれば自動的に採用されると言うわけではありません。
希望する官庁で業務に関する説明を受けてから個別面談を行い、他の官庁と併願をしているのか、進学等で採用時期を遅らせる予定はあるのかなどの意思確認が行われます。
そのうえで合格となれば、正式な採用内定者になれます。
最終合格者の名前が記載される採用候補者名簿には、有効期限があります。春の総合職採用試験と一般職試験(大卒程度試験)は5年、総合職試験「教養区分」は6年6ヶ月です。
一般職(高卒者試験、社会人試験(係員級))は1年と短いので注意しなければいけません。
最終合格者になったけれども、希望の官庁から採用がもらえなかったという人でも、採用候補者名簿の有効期限内であれば再度採用試験を受ける必要はありません。
国税専門官
国税専門官は、税の専門家として税務署や国税局で働く国家公務員です。国税専門官は、国税調査官、国税徴収官、国税査察官の3種類に分類できます。
国税調査官は、納税者である個人や法人が適正な申告を行っているのかを調査し、必要に応じて指導などを行うことが仕事です。
国税徴収官は、納付期限内に納付されない税金の督促や滞納処分、納税に関する指導などを行います。
最後の国税査察官は、悪質な脱税をした者がいたときに裁判所に許可を得て、捜査・差押などの強制調査を行う仕事です。もし、刑事罰を与えるべきだと判断したら検察官に刑事訴追を求めます。
国税専門官になるには、国税専門官採用試験に合格後、採用面接を受けて合格する必要があります。国税専門官採用試験の1次試験は筆記試験で、2次試験は人物試験と身体検査となっています。
採用面接は、国税専門官採用試験に合格後志望する国税局で実施されます。
大阪など人気の国税局に応募した場合、競争が激しくなり採用されにくくなります。その点を考えた上で、志望する国税局を決めた方が良いです。
労働基準監督官
労働基準監督官とは、労働者の安全を守る専門家です。勤務先は、各都道府県に置かれた労働局や労働基準監督署になります。
主に採用された労働局の管轄内で勤務することになりますが、別の管轄に行く時期もあります。
労働基準監督官の仕事は、労働条件や健康管理状態の調査・指導を行う臨検監督、労働災害が起きたときの原因調査や再発防止を行う災害調査、労働関係法令に違反することがあれば特別司法警察官として捜査を行い、被疑者の取り調べや証拠の押収などを行う司法処分などです。
司法処分では、悪質な犯罪が明らかになれば、裁判所に令状を請求し送検することが可能です。
労働基準監督官の職に就くためには、労働基準監督官採用試験に合格した後に、志望する都道府県の労働局で行われる採用試験に合格する必要があります。
外務専門職(外交官)
外務専門職(外交官)は、国際社会で日本の国益を守るために活躍する国家公務員です。外務省本省及び世界各地にある大使館、領事館、政府代表部で勤務をします。
ノンキャリアではありますが、世界を相手にする仕事ということで人気があります。
外務専門職(外交官)の仕事は、世界各地の政治・経済や治安情勢に関する情報を集めること、外交政策について企画立案をすること、外国との文化交流を行うことです。
外務専門職になるためには、外務省専門職員採用試験に合格すれば外務省に就職できます。採用後の勤務先は、数年ごとに本省と在外公館を行き来することになるでしょう。
司法府
裁判所職員
裁判所職員は、裁判を円滑に進めるべくサポートをする仕事です。最高裁判所、全国各地の下級裁判所、検察審査会で勤務をします。
裁判所職員は、裁判所事務官、裁判所書記官、裁判所調査官の3種類に分類できます。その中で裁判所事務官は、裁判所を構成する裁判部門と司法行政部門で事務仕事をします。
裁判部門では、裁判の当事者が出頭しているのかどうかの確認や各種手続きの案内、司法行政部門では裁判関係の書類を作成・発送することが主な仕事です。
続いて裁判所書記官は、裁判所事務官の経験を積み研修を受けた人が就けます。裁判の手続きを記録し・証明するための公判調書や口頭弁論調書などを作成します。
裁判所調査官は、家庭裁判所の裁判官の命令を受けて、裁判・審判をするために必要な情報を仕入れるべく調査を行うことが仕事です。
罪を犯した少年の心理テストや少年の過去の調査を行わなければならないため、心理学、社会学、教育学など多岐にわたる専門知識が必要となります。
裁判所職員として働くためには、裁判所職員採用総合職試験あるいは裁判所職員採用一般職試験に合格して採用候補者名簿に名前を記載された後、各裁判所に推薦を受けて面接を受けて採用されなければいけません。
総合職に合格した場合には幹部職員候補となり、採用後は裁判所事務官か家庭裁判所調査官補として配属されます。一般職で応募した場合になれるのは、裁判所事務官です。
立法府
衆議院事務局/参議院事務局
衆議院事務局/参議院事務局の職員は、国会の立法活動を補佐し、国会議員の活動を支える国家公務員です。勤務地は基本的に国会議事堂と周辺なので、一部の例外を除いて転勤はありません。
そんな職員の仕事は、複数の部門に分けることができます。
会議が公正かつ円滑に行われるよう、中立な立場からサポートをする会議運営部門、特別委員会などで行われる政策立案をサポートするべく議会シンクタンクとしての役割を果たす調査部門、両院の対外活動や組織運営をサポートする部門は衆議院が活動補佐部門、参議院だと総務部門と呼びます。
さらに職種は細かく見ていけば事務系・技術系・専門職(衛視)という分類もできます。事務系は、関係者同士の連絡調整、会議で使う資料の作成、議員からの要請に応じた調査、人事や施設管理などです。
技術系は、両院で用いる情報システムの管理や施設・設備の営繕などを担当します。
専門職(衛視)は、国会の警備を担当しており、国会議事堂に出入りする者の確認、巡視、各部屋の施錠や火の不始末の確認などが主な仕事です。
衆議院事務局/参議院事務局の職員になるためには、両院が実施している衆議院事務局職員採用試験/参議院事務局職員採用試験に合格しなければいけません。
試験は、事務系・技術系・専門職(衛視)及び難易度で分かれていますし、一般職と総合職の違いもあります。
応募するときには間違えないようにしましょう。また、採用される人数が少ないので、応募するときには狭き門であることを覚悟して臨むことをおすすめします。
衆議院法制局
衆議院法制局は、議員の立法活動をサポートすることを目的とした機関であり、職員は議員や政党から提案された構想を話し合いを重ねながら具体的な形にしていくこと、審議中の法案に対する修正案の立案と審査をすること、法律問題について照会があったときの調査回答をすることなどが主な仕事です。
勤務先は、衆議院の内部にある施設なので転勤・異動は原則としてありません。衆議院法制局の職員になるためには、衆議院法制局職員採用総合職試験を受験し合格する必要があります。
試験は、基礎能力試験と法律に関する専門試験が第1次試験、続いて論文試験と面接試験の第2次試験、口述試験と面接試験の第3次試験の3段階です。
仕事選びに迷ったら
国家公務員にはどのような仕事があるのかを把握したけれども、自分にあった仕事はどれなのかと迷う人もいるでしょう。もし、国家公務員が自分には適していないというのであれば、他の仕事も検討しなければなりません。
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おわりに、「仕事探し」って実は難しくないんです
新たな環境に身を置こうと考えたとき、誰しも必ず「不安」と出遭うことになります。
本当に自分のやりたいことができるのか、よくない意味での「想像とのギャップ」はないだろうか、自分で務まる業務内容なのだろうか...。
「仕事探し」というものがとてつもなく難しいものに思え、孤独を感じている人もいるのではないでしょうか?
でも、「仕事探し」って実は難しくないんです!
仕事を決めるときに必要なのは「自分の良いところを武器に前向きにぶつかること」、言ってしまえばこれだけなんです。
「でも自分に良いところなんてないよ~…」なんて嘆いているそこのあなた!長所や強みは誰しも絶対にあります。可能性のある存在を否定するほどもったいないことはありませんよ。
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