高卒で就職するデメリットって?おすすめ業界・職種を知って賢く就活
「高校卒業後は就職したい。けれど、高卒という経歴はデメリットになるかも…」とお悩みの方はいませんか。
大学に進学した場合と、高卒に進学した場合、実はどちらにもメリット・デメリットは発生します。
本記事では大卒で就職する場合・高卒で就職する場合それぞれのメリット・デメリットを紹介しています。ぜひ就職活動の参考にしてください。
高卒就職の現状とは?
日本の社会は「学歴主義」だと言われ、大学を卒業していないと就職が難しい、あるいは職種の選択肢が極端に少ないというイメージが根強く残っています。
しかし、文部科学省の調査によれば、高卒で就職を希望した学生の就職率は98.1%と高く、大卒ともほとんど差がない結果となりました。
では、目指せる職業についてはどうでしょうか。未だに一定以上の学歴を求める企業やポジションは存在し、「どんな企業の、どんな職にでも応募ができる」という状況でないのは事実です。
ですが、時代の推移により学歴よりもスキルやポテンシャルを重視する職種が増えてきています。それにより、以前よりも職業選択の幅が大きく広がりました。
本記事では高卒で就職するメリット・デメリット、おすすめの業界やキャリアプランを紹介します。
高卒と大卒の違いを知ろう!高卒は決して不利じゃない?
高卒を募集対象に含めない企業がある、という事は前の項目でお伝えしました。では、それは一体なぜでしょうか?
企業が何を求めて学歴を応募要件に含めているのか、その理由が知りたいところです。
また、高卒と大卒では収入にも若干の差があると言われています。それが事実かどうかも、この項目でしっかりと確認していきましょう。
生涯賃金
求人情報を見ていて、大卒と高卒とで、初任給が異なる額に設定されている事に気づいた…という経験はないでしょうか?
高卒と大卒で収入の差がある求人の場合、多くは高卒の方がいくらか安く設定されています。それでは、平均的な収入の開きはどの程度あるのでしょうか。
厚生労働省が平成30年度に行った調査によると、大卒の初任給は20.7万円、高卒では16.5万円との結果が出ました。つまり、入社当初は給与に4万円程度の差がある事がわかります。
また、学校を卒業して働き始めてから、定年退職を迎えるまでにもらえるお給料の総額を「生涯賃金」と言います。
この生涯賃金の額を比較すると、大卒と高卒ではおよそ3000万円の差があるともいわれています。ですので、やはり大卒の方が一般的には高収入といえるかもしれません。
ですが、これはあくまで平均として算出された額です。最終的に高卒の人の収入が大卒を超えるという事もままあります。
なぜかというと、どのような職種であれ、自らスキルを伸ばす事で自分の市場価値を高めていく事ができるからです。
専門的な資格を取る事で、会社から手当が支給される場合もあります。高収入を目指すのであれば、積極的にキャリアアップを目指していくべきと言えるでしょう。
社会的地位
次に、「大学卒業以上を要件に含める企業が、大卒者をどういった存在と捉えているのか」を考えてみましょう。
これを理解するためには、大学生が一般的に何をして大学生活を過ごしているか?を知る事がカギとなります。
専攻や学校にもよりますが、授業で出された課題やレポートのために適切な資料を探し出したり、数千~数万字の文章を書いたりといった4年間を過ごす学生が多数派でしょう。
そのため、採用担当者は大卒者を「ある程度の論理的思考能力・問題解決能力が身についた人材」と考えるのです。
「大卒以上」という要件で募集をしている企業は、なにも差別的な感情で条件を設けているわけではありません。
最初からある程度の複雑な作業ができる人材を求めています、と提示しているに過ぎないのです。
また、当然の事ですが、高卒の場合は大学に進学している、というアピールができません。
採用担当者から見ると「このような経験をしてきたのだろう」と推測できる要素が、大卒に比べると不足している事になります。
つまり書類選考の通過しやすさとしては、高卒に比べて大卒が有利といえるでしょう。
取れる対策としては、履歴書の資格欄を充実させられるよう努める事です。資格の中には単なる知識だけではなく、読解力・文章作成能力に関わるものもあります。
こういった資格を取得する事ができれば、大卒にも劣らない能力があると伝える事ができるでしょう。
選べる仕事の幅
上の項目で、なぜ大卒以上を募集要件とする企業が多いのかをお伝えしました。この「大卒以上を求める求人」に応募できる分、高卒よりも大卒者が選べる求人数は多いと言えるでしょう。
ですが、一概にそれが良いとまでは言えません。
大卒者は、確かに自由度が高い就職活動ができるでしょう。しかしそのために志望業界や職種を絞り込めず、就職活動が難航してしまう事が珍しくないのです。
むしろある程度はじめから狙いを定めて就活に取り組めるという点では、高卒者の方がゆったりとした気持ちで取り組む事ができます。
「現時点で何が可能か、どのような仕事が選べるか」がハッキリしていると、就職活動における悩みが軽くなるのです。
高卒就職のメリット・デメリット
前の項目では、高卒と大卒の大きな違いを3つ取り上げました。大きく違うと考える人もいれば、それほど差がないと思える人もいるでしょう。
では、今度は「違い」よりもう少し詳しく、高卒で就職する事にはどのようなメリット・デメリットがあるのかを確認していきましょう。
メリット
まずは、高卒で就職するメリットから紹介していきます。
その1つ目としては、「キャリアアップを図れる年齢が早い事」が挙げられます。
例えば、23歳の高卒者と大卒者が同じタイミングで転職を考えたとしましょう。この時、同じ業界・職種で働いてきた高卒者であればすでに4年の実務経験があります。
ですので、「3年以上の実務経験」を求める中途採用の求人に応募する事ができるのです。ところが、高校卒業後すぐに進学・卒業した場合でも、大卒者はまだ1年目。
つまり、実務経験者向けの求人への応募資格を得るにはあと2年待つ必要があるのです。若いうちから経験を積み、よりスムーズに好条件の環境へチャレンジできるのは高卒の大きな強みと言えるでしょう。
2つ目のメリットは「学費がかからない」事が挙げられます。国公立か私立か、あるいは学ぶ分野によっても大きく異なる事ではありますが、安いと言われる国公立大学ですら卒業までにはおよそ250万円かかります。
また、実家から距離のある大学で学びたいという場合には、親元を離れて一人暮らしをする必要があるでしょう。
その場合、家賃や食費などの諸経費も負担となってきます。大学生の平均的な生活費は年間109万円ですので、4年間で436万円です。
つまり、一人暮らしをする大学生が卒業するまでには安くても700万円程度かかると考えておくべきと言えます。
もちろんアルバイトの給与を足しにする事はできますが、テストや課題の都合によっては長い稼働時間を確保できず、収入は不安定なものとなりがちです。
奨学金を借りるという選択肢を選ぶ場合、何十年にも渡って返済していかなければならない借金を背負う事になります。
大金を支払ってまでやりたい事がないのであれば、大学に行くよりも高卒での就職を選ぶ方がお得と言えるかもしれません。
そして最後にお伝えしたいのが、「早くから金銭的余裕ができる」というメリット。
大学に行かずに、正社員での就職を選ぶとします。すると、先にお伝えした学費がかからないだけでなく、大学生のアルバイトよりもずっと安定した収入を得る事が出来るようになります。
若いうちから旅行へ出かける事もできますし、収入を貯蓄に回して将来への備えとする事もできるでしょう。
デメリット
先の項目では高卒で就職するメリットをお伝えしてきましたが、同時にいくつかのデメリットをお伝えしなければなりません。
まず1つめに気がかりなのが、応募できる求人が限られてしまうという事。
選択肢が少なすぎる、仕事を選べない…という事はありませんが、応募したいと感じた求人への応募資格を持っておらず残念に思う事があるかもしれません。
ただ、「大卒以上」の求人数が多いために気になってしまうかもしれませんが、この点に悩まされるのは高卒者だけではありません。
大卒者もそれ以上の学歴を募集要項として掲げる求人へは応募できないのです。高卒だから選べない仕事がある…と悩みすぎないようにしましょう。
また現在、働きながら通信制の大学を修了する方も大勢います。もしも「大卒以上」の応募要件に悩まされている…という場合にはひとつの選択肢として考えてみてもよいかもしれません。
2つ目に挙げられるのは、「平均的に、給与は大卒よりも安くなる」という事です。大卒は前項目で述べたとおり、入社当初からある程度高い能力を期待されているためといえるでしょう。
支給される額面が高いため、大卒の方が比較的安定しているように思えるかもしれません。
ただし、奨学金を借りて大学に進学していた場合、卒業後は最低でも毎月数万円程度を返済していく必要があります。それを考えると、新卒の段階で自由に使える金額はさほど変わらないといえるでしょう。
最後にお伝えするデメリットは、「人脈を広げる事が比較的大変」という点。大学であれば日本全国、あるいは国外からもさまざまな人が集まる環境である事がほとんどです。
普段はまったく接点のないような人と交流する事ができ、場合によっては卒業後も関わる事もあります。
高卒で就職した場合、そういった特殊な環境に身を置くという経験をしないため、多様な人と関わる機会がぐんと減ると言っていいでしょう。
ただし、ここでお話ししたのは「様々な人と関わるチャンスが1つ減る」という事であり、大学に通えば絶対に多くの人と関わるわけではありませんし、通わなかったから人間関係が狭いままという事もありません。
自分でどういった選択をするかでいくらでも変わってくる事だ…という事を覚えておきましょう。
高卒就職が有利に進みやすい職種はこれだ!
高卒で就職するメリット・デメリットを把握した後は、どういった仕事をしたいか、労働条件はどのようなものが良いか…と具体的な方針をまとめていかねばなりません。
長期的にキャリアを積み上げていくためにも、今一度しっかりと考えておきましょう。
この項目では、高卒で就きやすい職業・仕事内容、有利になる資格など押さえておきたいポイントを紹介します。
営業職
営業職は、学歴関係なく就きやすい仕事のひとつであると言えます。
この職種においては何よりも重視されるのがコミュニケーション能力であり、募集要項もそれに準じたものとなっている場合が多いからです。
仕事内容は「営業」という名の通り商品を売り込む事ですが、企業や部署によって取り扱う商材や取引をする相手は様々です。
ですが、人と話すのが好きだ、苦にならない…という方に適性がある点は、どのような分野でも同じでしょう。
また、成績がよければ月給にさらに上乗せした給与が支払われるインセンティブ制度を導入する企業も数多くあります。
頑張れば頑張るだけ自分に返ってきやすいため、コミュニケーション上手かつ仕事に意欲的に取り組める方が収入を伸ばしていける傾向にあります。
なお、学歴を重視されにくい一方、普通自動車運転免許を募集要件としている場合があります。取得しておくと就職活動がよりスムーズに進むでしょう。
接客・サービス業
接客・サービス業は、大雑把に言えばお客様のお店・施設の利用をお手伝いする仕事です。
接客業というと飲食店スタッフが一番イメージしやすいかもしれませんが、アパレル・コスメ販売員、ホテルのフロントなど職種は多岐にわたります。
コミュニケーション能力に加えて商品や施設についての知識が必要となる仕事ですが、賑やか・華やかな環境で働ける場合が多い事が特徴です。
ただし、基本的には立ち仕事である事が多いので、体力や体調管理が必要な仕事であるとも言えます。
販売員であれば営業職と同じく、成績に応じてインセンティブが支給される場合もあります。応募する際によく確かめておくと、賢く働く事ができるでしょう。
介護職
少子高齢化の進行が著しい中、介護業界は深刻な人手不足に悩まされるようになり、未経験から介護スタッフを育てようと試みる企業が増えてきました。
介護スタッフの仕事は、よく想像されるような「施設に入居した利用者の生活を全面的にサポートする」事だけではありません。
利用者が自宅での生活に復帰できるよう支援したり、利用者宅へ訪問してリハビリや入浴の手伝いをしたりとニーズに合わせた様々なサービスを提供しているのです。
多様な業務のうち、どういった仕事を担当するにせよ、やや忙しい仕事ではあります。しかし、利用者や家族の助けになっているという実感を得ながら働く事ができるでしょう。
今もなお高齢者の数は増えていく傾向にありますので、安定した雇用、なくならない仕事を求める人にも向いていると言えます。
しかし一つ覚えておきたいのが、資格が一つもない状態では従事できる仕事が限られ、収入もその分下がってしまうという事です。
介護にかかわる資格は複数ありますが、入門である「介護職員初任者研修」はまず取得しておくとよいでしょう。
130時間のカリキュラム修了(一部は自宅学習可能)と筆記試験の合格で取得できる気軽さでありながら、持っておくと選考や給与面で優遇される場合があります。
プログラマー
介護業界と同じく、人手不足により未経験者を歓迎するようになったのがIT業界です。
ここ数十年でIT社会がめざましい発展を遂げた結果、専門学校卒などの専門知識を身につけた層や経験者だけを雇用していたのでは会社が立ち行かなくなってしまったのです。
今では学歴を問わず募集している企業が多く、高卒からも取り組みやすい仕事の一つと言えるでしょう。
しかし、プログラマーとはどういった仕事をするものなのか、イメージしにくい…という人も多いのではないでしょうか。
簡単に言えば、「システムを構築する」のがプログラマーの仕事で、普段利用するアプリやサイトの中身を作っているのもプログラマーです。
スキルアップするにつれて収入を伸ばしていけ、また将来的に独立する事も可能な職種です。勉強熱心な方がもっとも伸びやすいといえるでしょう。
仕事をしていく中で「Java」「Ruby」など様々なプログラミング言語の取り扱いが求められますが、たいていのプログラミング言語には資格試験が設けられています。
資格を取得する事で、知識の確認とともに書類上でも確かなスキルのアピールができるようになりますので、ぜひ取得を目指していきたいところです。
先輩の体験談を聞こう!
この項目では、高卒から就職した先輩がどのような就職をしているかの体験談を紹介します。
これからの就職活動のヒントとして役立てて頂ければ幸いです。
Aさんの場合
Aさんは高校3年生の時、競争率の高い企業を志望したため校内選考に通らず、就職しないまま卒業しました。
就職の意志は変わらずあったものの、就職活動は難航してしまいます。
やはり学校の推薦がなければ就職は難しいのだろうか…と悩む日々でした。
そんな時、親戚に紹介された就職エージェントに登録する事になります。
「紹介してもらえる求人があるのだろうか?」と不安に思っていたAさんでしたが、1か月で希望していたエンジニア職に内定を得る事ができました。
「求人サイトなどの、数多くの求人から自分で探すのは大変だったので、絞り込んだ提案をしてもらえて助かった」との事です。
Bさんの場合
自分に向いている事がわからず、高校卒業後も在学時からのアルバイトを続けていたBさん。
ですが、このままアルバイトを続けていても安定した生活は送れないのでは?と悩みはじめていました。
求人を探していた時に見かけた就職エージェントサービスに登録してみたところ、担当カウンセラーはまず「アルバイト経験をアピールできる」と、履歴書にきちんと書くようアドバイスしてくれました。
そのアドバイスに従って履歴書を整えたうえでエントリーしてみると、しばらくして数社から書類選考通過の知らせが。
Bさんはその後、営業職に内定。接客経験を活かして成績を伸ばしているそうです。
Cさんの場合
Cさんは高校卒業後、演劇の勉強のために専門学校への進学を志していましたが、家庭の事情で一旦保留に。
アルバイトでは資金を賄う事は難しく、会社勤めでは働きながら学ぶ事ができるかという懸念もありました。
就職エージェントに相談を持ちかけたところ、Cさんにぴったりの求人が見つかりました。
一般企業よりもずっと休日の多いドライバー職に就く事で、安定した収入と学びに充てる時間を確保できたのです。
「在学中は考えてもみなかった」というCさんでしたが、来年の進学を楽しみに仕事に励んでいるようです。
一人で心細い高卒就職。人気なのはエージェントの利用
高卒の就職率は大卒と変わりありませんが、一方で就職活動に抱える不安も同様といえるでしょう。
「この履歴書で本当にいいの?」「志望動機はどう伝えればいいのだろう…」といった不安は、就活にあたっては誰しも抱えるものです。
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